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はじめに

ご理解いただきたいこと

このブログの内容は個人の意見・見解の表明であり、所属組織の意見・見解を代表しません。またブログ記事の内容の正確性については一切保証いたしません。学術的・技術的コンテンツを求めて来訪された方は、必ず学術書や論文などの資料をご参照ください。私自身のスキルアップのため知識を言語化している記事も多いです。後学のため、誤りを見つけた場合はコメント欄などでお知らせいただけると有難いです。

内容自体も公開後に改変することもありますし、改変の事実を必ずしも明示するわけではありません。

以上の点をご理解の上、お読み下さると有難いです。


自己紹介とモチベーション

 私は大学ではトライボロジーの研究をしていました。卒業後は潤滑油業界で、フォーミュレーターとかテクノロジストとか研究員と言われる仕事に10年くらい従事してきました。いまは潤滑油添加剤の開発に携わっています。

 潤滑油はベースオイルと添加剤を組み合わせて構成されます。この組み合わせを「処方」といいます。潤滑油の種類は自動車に入れるエンジンオイルやギアオイル、建設機械を動かすための作動油など多岐に渡ります。

潤滑油の処方をつくり、ビジネスとして安定的にお客様に供給するために、どのようなことが重要なのでしょうか。マーケットニーズを理解し、原料の特性を活かしたレシピを考え、実使用に耐える潤滑油として提供することだと思います。

潤滑油「処方」の開発に携わって、思ったことは暗黙知的な部分が非常に大事であるということです。一定の理論や規格は普及していますが、すべてのオイルの性能が理論的に計算できるわけではないと、正直思いました。特に添加剤は、詳細な化学成分や化合物の情報は社外秘としてブラックボックスになっていることが多いと思います。そのため、良い潤滑油を開発するための核心は「暗黙知をいかに処方に反映できるか」であると大きいと思ったわけです。

良いフォーミュレーター(処方開発者)になるためには、この暗黙知の部分により多くの時間を割くことが重要でしょう。社会人一年目の時は「試験法、理論、規格などの基礎知識にもっと簡単にアクセスできたら、効率的なのに」と思いました。転職時は付加価値の高い業務を遂行するために、担当の添加剤の「基礎」をいかに早く習得するのかは非常に重要です。

営業担当であっても、担当商品の技術的内容を業界常識レベルで知らなければ話になりません。新社会人だけでなく、転職者、製品分野が異なれば社内異動の際でも、素早い知識のキャッチアップが肝です。オイルを選定する側のメーカー等の担当者も、自社の要求仕様が拠って立つ前提を理解する必要があると思います。このような担当者が、サプライヤーとより良いコミュケーションが取れるのではないでしょうか。

 こういった問題意識もあり、このブログではよく使われる理論的な事柄や、さまざまな規格を紹介します。読み手は、機械系・化学系など「トライボロジー」や「潤滑」を扱う学生から、オイル業界の若手、転職者、メーカーの担当者の方などを想定しています。皆さんの参考になれば幸いです。




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