企業の偽公式アカウントが急増!対策と予防策は
なりすましと言うと有名人の偽者が現れるイメージがありますが、昨年後半ごろからInstagramで「偽・企業公式アカウント」による被害が急増しています。
こうした偽アカウントは、ブランドの信頼性を損ねる恐れがあるだけでなく、企業を応援してくれているファンから個人情報をだまし取り悪用するといった被害が発生しかねません。
ブランドとファンを守るため、企業は対応が必要です。
偽・企業公式アカウントとは
実際は偽者なのに、企業や個人の"公式"を名乗るSNSアカウントが多発しています。特に昨年後半ごろから、Instagram で被害が急増しているようです。
偽アカウントの多くは、本物のアカウントからプロフィール文や最近の投稿をコピーしています。そのため、一見しただけでは企業公式アカウントのように見えてしまうのです。
よく見ると、本物と偽物には違いがあります。例えば、偽アカウントのユーザーネーム・ユーザー名は、本物とは微妙に違います。.(ドット)と_(アンダーバー)を入れ替えたり、iやfなどの文字を増やしたり減らしたりするのがよくある手口です。
あとは、長く運用している公式アカウントに比べて、偽者は投稿数が少なくなっています。さすがにすべての投稿をコピーするのは大変なので、最近の投稿だけをコピーしているんですね。
フォローバックを狙って色々なユーザーをフォローするのも、偽アカウントにはありがちです。多くの場合、本物アカウントのフォロワーがターゲットになります。そのため、フォロー数がやたらと多いのも偽アカウントの特徴です。
またプロフィールのURLが異なっている、ストーリーズハイライトがない、といった特徴もあります。
注意してみれば、本物と偽物のアカウントを見分けることはできます。しかし、ユーザーネームのみで判断したり、慎重にチェックしなかったりすると、うっかり騙されてしまいそうです。
偽アカウントを発見したら、早急な対応が欠かせません。
偽アカウントによる被害とは
こうした企業の偽アカウントは、企業のファンと思われる人にDMで連絡をするようです。偽アカウントをフォロ―した人や、公式アカウントをフォローしている人がターゲットになります。
多くの場合、「抽選に当選した、賞品を受け取るには以下のURLへ……」などとキャンペーンの当選を装っているようです。こうした偽者のURLにアクセスしたり、個人情報を入力したりしてしまうと、個人情報を悪用される恐れがあります。
大阪王将では、実際に偽アカウントから届くDM内容の一例を、鋭いツッコミを添えて公開しています。
(出典:大阪王将公式Instagramアカウントを装う「なりすましアカウント」に関する注意喚起)
偽アカウントを放置すると、ブランド公式を装ってこのような迷惑行為が行われ、ブランドイメージの毀損に繋がりかねません。また、ファンが個人情報流出の危険にさらされることにもなります。
偽アカウントを発見したら
自社の公式アカウントに偽者が存在するのを確認したら、以下の3点を行いましょう。
① 偽アカウントを通報
② 偽アカウントによる被害に遭っていることを報告
③ ファンへの注意喚起
以下、順番に解説します。
① 偽アカウントの通報手順
偽アカウントを発見したら、まずは「通報」を行いましょう。
偽アカウントプロフィールページ右上部の「…」を選択します。
メニューが表示されますので、
1. 「ユーザーを報告」
2. 「不適切である」
3. 「アカウントを報告」
4. 「なりすましアカウントである」
と選択していきます。
「なりすましアカウントである」を選択すると、このアカウントは誰になりすましていますか?と表示されます。被害に遭った企業自身で報告する場合は「自分」を選択してください。
② 偽アカウント被害の報告手順
①のアカウント通報だけでも対応してもらえるはずですが、より詳細な状況をフォームから報告することもできます。Instagramアカウントにログインした状態で以下の手順を行ってください。
まずは、Instagram ヘルプセンター内の、商標に関する下記ページにアクセスします。
「このフォーム」の部分をクリックすると、Instagramでの権利の侵害を報告するフォームに進みます。
貴社を偽ったアカウントが存在する場合、侵害されている権利は「商標権」を選択します。「商標権の報告で続行」を選ぶと、さらに情報を入力するフォームに進みます。
「私の商標権を侵害していると思われるコンテンツがある」「商標侵害の報告を続ける」と進みます。
より詳細な情報を入力するフォームが表示されますので入力していきます。入力するのは、「商標所有者の連絡先」「登録商標の情報」「報告するコンテンツ」の3点です。
報告するコンテンツには、偽アカウントのプロフィールURLや、コピーされた投稿のURLを入力します。理由の欄には、公式アカウントのプロフィール文や投稿がコピーされていることを記載しましょう。
手間はかかりますが、なるべく詳細に記載したほうが早めに対応してもらいやすいでしょう。
③ ファンへの注意喚起
Instagramに通報や報告を行ったとしても、偽アカウントがすぐに凍結されるとは限りません。日々数えきれないほどの違反報告があるため、Instagram側の対応に時間がかかることも考えられます。
対応を待つ間にファンが被害に遭ってしまわないよう、偽アカウントへの注意喚起を行うことがたいへん重要です。
注意喚起は、被害に遭っている公式SNSアカウントと、公式サイトの両方で行うのが良いでしょう。
③-1 公式SNSアカウントでの注意喚起
ファンの目に触れることが重要なので、いくつかの手段で行うのが効果的です。
Instagramなら、
・通常の投稿
・ストーリーズに投稿→ハイライトに固定しておく
・プロフィールに記載
Twitterなら、
・通常のツイート→定期的にリツイートする
・固定ツイートにする
・プロフィールに記載
このように、フォロワーのタイムラインに定期的に流れるようにしたり、プロフィールにアクセスすればすぐに分かるようにしておくことが重要です。
注意喚起の際は、下記の事項を含めましょう。
・正しいアカウントのユーザーネーム/ユーザー名を案内
・偽アカウントから案内されたURLにアクセスしてはならない
・偽アカウントにフォローされたらブロックが望ましい
・通報や報告を行っていること
以下、被害に遭い、注意喚起を行っている企業の例をご紹介します。
岩谷産業では、フィード投稿とストーリーズで注意喚起を行っています。
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投稿だけだと、じきにタイムラインから流れて目立たなくなってしまいますが、ストーリーズハイライトにしておけば、プロフィールにアクセスした人が見やすいところに固定できます。
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コイケヤでは、注意喚起のツイートを自らリツイートして、定期的に呼びかけを行っています。
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③-2 公式サイトでの注意喚起
出来ればSNSだけでなく、公式サイトにも注意喚起のメッセージを掲載すると良いでしょう。
ユーザーに広く注意を促すことができますし、文字数の制限なく、詳細な情報を載せることができます。例えば、具体的にどんな偽アカウントが存在するのかや、対応経過の報告など。
また、公式サイトの注意喚起が他のSNSやネットニュースなどで取り上げられることで、情報が拡散されやすくなります。
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被害に遭う前の偽アカウント対策
偽アカウントは次々と作成されています。偽アカウントが凍結されてはまた新たな偽者が現れる、いたちごっこになりがちです。まだ被害に遭っていない企業も、いつ偽アカウントに悩まされるか分かりません。
そこで、実際に偽アカウントが現れる前に、予防的に行える対策をご紹介します。
① 認証マーク/認証バッジを取得する
認証マーク/認証バッジとは、アカウントが本物であることを証明するマークの事です。主に著名な人物やブランドに対して付与されます。
認証マーク/認証バッジを取得するのは容易ではありませんが、取得できれば本物のアカウントがずっと見分けやすくなります。
Instagramの場合
Instagramの認証マークは、以下の4条件を満たすアカウントの申請に応じて付与されます。
本物である:実在する個人や企業であること。
唯一である:1人の個人や1つのビジネスに対して、認証を受けられるのは1アカウントのみです。
完全である:公開アカウントで、自己紹介、プロフィール写真が設定されていて、1つ以上の投稿があることが最低限必要です。
有名である:社会的関心の高い個人やブランドである必要があります。
上記を満たす場合に申請を行い、認められれば申請マークが付与されます。
また、承認申請が却下された場合は、30日経過すれば再び申請できるようになります。申請方法は下記ページを参照ください。
Twitterの場合
長らく休止していたTwitterの認証プログラムですが、2020年12月に新しい認証プログラムの指針が示されました。新しいポリシーによると、企業、ブランド、組織が認証バッジを取得するには、"著名"であると認定されるために、以下のうち2つの要件を満たす必要があるそうです。
・一般的な認知度が反映された媒体において存在が確認できること。Googleトレンド、公開株式取引、百科事典が公表している表記や一般的な記事の品質基準に沿ったウィキペディアの記事、Charity Navigatorをはじめとするデータベースなど。
・応募日から6か月以内に「ニュース」に記載された条件に該当するニュース報道機関によって取り上げられたことを示す参考資料が3件以上ある。
・フォロワー数が、当該アカウントが所在する地域のアクティブアカウントのうち上位0.1%に入る。
(About verified accountsの英語版より、抜粋・翻訳したもの)
認証申込みの再開は2021年中を予定しています。Twitterのアカウント設定のページから申請ができるようで、詳細な申請方法は近々明らかになるはずです。
② アカウントの完成度を高める
偽アカウントは短期間で作成されるため、本物アカウントの全てをコピーすることは出来ません。
たくさんの投稿があれば、投稿数で見分けることができますし、Instagramの場合ストーリーズハイライトまでコピーされることは稀です。
リール、ショップ機能など、さまざまな機能を活用しているほど、本物と偽物のアカウントの違いを見分けやすくすることができます。
つまり、完成度が高く、よく活用されているアカウントほど、偽者にコピーされづらくなります。SNS公式アカウントは定期的に更新し、さまざまな機能を活用して、アカウントを育てておくことが大切です。
③ 公式サイトから、公式SNSアカウントへリンク
公式Webサイトに設置するSNSへのリンクは、アカウントの認知を増やすだけでなく、アカウントが本物である証明にもなります。
たまに、公式SNSアカウントを持っているのに、公式WebサイトにSNSへのリンクを設置していない企業があります。
いざというときに本物のSNSアカウントを見分けやすくするためにも、WebサイトにはSNSアカウントへのリンクを設置しましょう。
まとめ
◆偽アカウントにより、企業イメージが傷つけられ、ファンが被害に遭う可能性も
◆偽アカウントを見つけたら、通報と報告
◆ファンへの注意喚起は、複数の方法で行う
◆認証マーク取得にチャレンジ
◆普段からSNSをよく活用することで、なりすまされにくいアカウントに
◆公式WebサイトにSNSリンクをはれば、本物の証明になる
普段のアカウント運用を丁寧に行い、なりすましにくいアカウントを育てておくことと、何かあった時にすぐ情報を察知できるよう、ファンとコミュニケーションを取っておくことが大切です。
偽アカウントの情報を察知したら、なるべく迅速に、通報・報告・注意喚起を行いましょう。
大切なブランドとそのファンを守るために、適切な対策を行った上でSNSを活用していきましょう!
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