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日中のIT発展の背景にあるもの(旧正月ブランド事例を埋め込みながら)

こんにちは。少し遅くなってしまいましたが・・・もう1年ほど中国に行けていない中、SNSの中で感じた中国の旧正月をご紹介させてください。

1.2021年旧正月に目立っていた中国でのプロモーション

中国で旧正月といえば除夕(日本でいう大晦日)に放送される春晚です。
春晚の内容は色々な著名人が歌ったり、漫才を見て基本皆で笑って年を越すものなのですが、今年はコロナの影響で帰省していない人が多く、家族団らんでの食事(年夜饭)が少ないため通年よりもオンタイムで見る人が多かったのではといわれています。

各省のテレビだけでなく、動画サイト、抖音(TIKTOK)などでも生ライブされておりました。
その春晚で特に目立っていたのが今年のメインスポンサーになった抖音(TIKTOK)の広告です。10分に1回位は言っているのでは?と思うほどの「抖音(TIKTOK)でも春晩配信中、お年玉(红包)をばらまいています」という告知内容でした。広告の連続で拝見しながら広告費いくら払ったんだろう・・・とそればかり気になりました。それに負けずと他のプラットフォームも抖音(TIKTOK)のお年玉(红包)が20億ならうちは・・・とAPPのアイコン上でユーザの取り合い状態でした。

2.we chatでのラッキーマネー施策

旧正月期間は中国では基本的にお年玉を渡す文化がありますが、どんどんpayment事情が進んでいる中国では会えない時のお年玉を渡す方法として、wechatを経由してのお年玉が主流です。
とくに今年は帰省を推奨していない中、親戚や会社のwechatグループ内でラッキーマネーが飛び交っていました。

また、企業による参入が今年も多数でした。
例えば「ペプシ」「セブンアップ」などの中国語を旧正月期間wechatで入力することでお年玉の雨が降ってくるというCPなどを実施されてました。

またお年玉を送付する際のパッケージに関しても、ノーマルなタイプのものもあれば企業が広告を植え込んでいるのも多くみられました。(ユーザは無料で使用可能)

3.日中におけるオンライン発展の大きな違い

こういう場面に出くわす度に、中国の決済ツールの発展は本当にすごいなと・・関心するのですが、周知のとおり中国においては、市場において主な支払いツールが現金でもクレジットカードでもなくQR決済となってます。

2020年のデータによると74%のユーザが毎日QR決済を使用しているというデータがでています。(下リンク先参照)
ですが、正直私はこれを見た際に本当に74%なのだろうかと感じました。(日本的にはすごく多いと感じるのですが、私はこの74%を中国市場では少ないと感じました)なぜなら、スーパーにいってもファーストフードにいっても基本QR決済対応POSのみで、現金対応POSは店内に1台しかない、などが普通にある状態です。
アリババが展開している盒马スーパーなどはアリペイしか使用できませんが、老若男女のお客さんで賑わっています。(アリペイが使用できない年配者などの為にスーパー内のサービスセンターではスマホにアリペイのDLと銀行カード連結サービスなどをお手伝いしており気軽にQR決済を老若男女が始める事に貢献しています。)

ここしばらくコロナのため出張にいけていませんが、通常中国へ出張へいくと1度も現金を使用せずに戻ってくるほうが多く周辺の年配者を見ていても皆QR決済を使用しています。

日本においてもpaypayなどがさまざまな施策を展開されておりシェアを拡大していますが、まだユーザ層においては偏りがあるのが現状です。

中国におけるQR決済のシェア上昇の速さに関しては、そもそも市場に偽札が多かったなどが理由に上がっていますが、私は個人的に環境の変化に伴う適応能力の高さが総人口において大変高いと感じています。
15年前の日本と現在の日本を比較すると、もちろん多少の発展変化はありますが、中国ほどの発展はでていません。(すでに発展していたためその後デフレも伴い?大きな発展をしていない状態)
15年前日本ではすでに液晶携帯が主流だった頃中国はまだNOKIAのモノクロ携帯が主流でした。

中国携帯30年の変化歴史(中国語)

それが北京オリンピックや上海万博といった発展と同時にappleブームがわき起こり、(NOKIAのモノクロ携帯からAppleスマホなんて人も多かったです)
現在では中国ではappleスマホは沈下状態にあり中国ブランドのhuaweiやoppo、xiaomiが携帯シェアを拡大しています。

ほぼ全てというほどの物や環境が進化し、次々にコンテンツやものが刷新されるのが日常化しているからこそ新しい決済ツールに対しても受け入れるのに特に障害がなかった。
またクレジットカード文化ではなくデビット文化が主流だったことも大きく関係しているとおもいます。

中国は発展に伴い新しいものを受け入れる習慣がすでにある状態での展開と、そうではない日本の差が大きく出ているとのだろうといつも感じています。

また、ペイメントだけでなくIT企業やSNSでも日中間で大きく差がついているのが世界企業ラインキングなどをみていても理解できます。(下記2021年世界企業ランキング500で、中国からのランキングは51社で2位、日本は30社で3位となっていますが、入っている企業が日本はTOYOTA・SONYなどハードを制作する会社が多いのに対し中国は上位にランキングしている会社がアリババ・テンセント・美団(デリバリー・OMO)・拼多多(EC)・JD(EC)などIT企業がとても多い状況です。

この背景には日本がアメリカのGAFAなどが制作したツールを使うベース(日本で開発されているハードに関してはグローバル展開を想定しているが、システムはグローバル展開を大きく想定されていない)に対し中国はFBやインスタを自国で使用出来ないため自分で作るというスタンス。かつベースとなる市場が14億人という差も大きいと思います。

2021年世界企業500ランキング(中国語)

またそれ以外にもう1つ日本と中国の大きな違いはスピードで、日本のシステム企業は100%の完全なサービスを消費者に届けなくてはいけないという発想で、何度もテストを繰り返しやっとローンチという状況に対し、中国企業はとりあえず動いて大きな問題がないならローンチ。そして、回しながら短期間で欠点を直していく。また都度修正対応しながら一緒にレベルアップしていく考えのスピード感です。

日本で1つのシステムがローンチされるまでに、おそらく中国では3回PDCAが回っています。バグを治すだけでなくすでに運行しているため欠点、改善点を3回分析完了しそこに対応したバージョンアップもされています。(この工程に関して、中国企業で働き始めたとき私は当初戸惑いを感じました。ただそれを3年4年続けているとバグ対応だけでなく、分析が進み全体的に便利機能が増えるという結果も見ており今は中国IT企業の強みだと感じていおり、オンラインという社会においては中国方式のほうがダントツ効率が高くなると感じています。)

おそらく他にも色々要因はあると思うのですが、こういった背景なども関係し、日中におけるIT発展の差が出来ているのだろうと感じています。

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