足利銘仙はじめまして Vol.3
こんにちは。
前回は足利銘仙とは、どんなものだったのか簡単に紹介しましたが、今日は足利銘仙の特徴である『柄』について紹介したいと思います。
私も最初は足利銘仙の柄の魅力、豊富さに心を奪われました。最近、レトロ可愛いなんていう言葉もよく耳にしますよね。昭和の可愛いを詰め込んだ硝子器、アデリアレトロもいろいろな雑貨屋さんなどでもよく目にします。実は私も大好きで少しずつ集めているのですが、そんな私を見た母は「いっぱいあったなー、捨てたなー」と平気で言ってます(笑
そんなレトロブームもあってか、足利銘仙の柄を見ると、懐かしいだけではなく、今見ても可愛い~なるのは私だけではない!と思っています。こんな柄のポーチや帽子などあったら、人と被りにくくなかなかいいですよね。傘の柄でもいいなぁとか、浴衣の柄でも。浴衣と言えば、足利は「50万人の夕涼み」と呼ばれるくらいのとても大きな花火大会があり、そんなときに私ならどの柄が似合うかなぁなんて妄想も、、、
話を戻して・・・
足利銘仙は、カラフルでモダンな柄で溢れています。日本独特の模様から西洋のアール・ヌーヴォーやアール・デコのような柄まで幅広い模様があります。そして、豊富な柄が誕生した背景を詳しく見ていくと、足利銘仙の技術と当時の歴史的文化的背景まで知ることができます。
まずは足利の職人さんたちの努力の結晶、技術革新によって生まれた技法についてです。
足利銘仙の特徴の一つとして『解し織(ほぐしおり)』という技法があります。この解し織とは、大正中期にできた技法で、タテ糸を並べてずれないように仮織りし、柄を型染めした後、仮織りのヨコ糸を抜きほぐしながら、再度ヨコ糸を通して本織りします。これによって銘仙に使用される柄の輪郭部分には絶妙なずれが生じ、絣柄が出来上がります。そして足利銘仙は、特に細かく精密なものも多く、種類が豊富なことが特徴です。
それまで縞柄や矢羽根をモチーフにした矢絣といった日本古来の和柄から、多色使いが可能になり表現できることが増え、柄の種類も豊富になりました。そして、複雑な柄はもちろん、曲線的なデザインのアール・ヌーヴォーや直線的かつ幾何学模様のアール・デコのような柄を表現することも可能になり、抽象画のような模様や大胆な花模様などの柄も誕生したそうです。
私はもともと、花柄が大好きでした。そして、20代までは和柄より断然、西洋の雰囲気が大好きで、大学の卒業式では着物にレースやリボンを付けるような時代を過ごしてきました(笑
そんな私でも歳を重ねると和柄の良さに気付くようになり、足利銘仙の持つ独特な雰囲気、絣のなんとも言えないニュアンス、カラフルで大胆な色使い、どこか西洋を感じさせる表現の仕方など、今の私、今までの私の気分や好みに当てはまったのかもしれません。
柄が豊富ということは、それだけ多くの人にアプローチでき、好きになってもらう機会も増えるかもしれないですね。そして、自分を表現するアイテムにもピッタリかもしれません。
次回は豊富な柄が誕生した歴史的文化的背景に触れてみたいと思います。