納品無きジェット機その5

   飛ぶには飛んだが型式証明が取れずに一兆円かけて8年を費やして、結局撤退だろう。国の予算ももらっているのだから、たしか500億円も補助金が出ているにも関わらずのていたらくである。大型旅客船の失敗の時からこの企業のもの作りへの姿勢に疑問を呈する人もいた。何処から歯車が狂ってしまったのだろうか。そもそも部品を作るのと完成品のジェット機を作るのとは次元の違う話であるらしい。モノを作るには役に立たない根拠の無い高いプライドは邪魔になるだけでしかなかった。この国を牛耳る社格の論理も全社的な姿勢もまったくやくには経たなかった。そもそも外国には通用しない。モノを生産して売ることに何ら関係は無いのだ。何が必要かと言われても困るが。
   こちらも覇者の奢りだろうか?もの作りはもっと泥臭いギリギリの闘魂のようなものがかけていたのかもしれない。体裁だけを繕いすぎで官僚化した独創性と創造性を極端に排除した環境のなかでは心臓の代わりにエンジンがあるような人間は育つはずがないのだ。その上誰も責任を取らず、本当の意味での反省などするわけがなく、本当の敗因は永久に悟らないだろう。もの作りと言うフィールドでは厳しく真理のようなものがあるような気がする。モノは人よりも正直なのであろう。早く損切りをすればいいが、大きすぎで切れない。その決断さえすることも出ずにこのまま引きずるのだろうか?かつて自動車産業の時のデトロイトのように斜陽の一途をたどるのだろうか?原子力発電事業でも大失敗し大きな損失を出し周回遅れの宇宙事業にすがる姿は何に例えればいいのだろう。

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