療育現場からのつぶやき(15)
さて、10月号です。
月に一度程度しか発信しない私の投稿でも、読んでくださる方がいて、スキ♥️してくださる方までいる。ありがたいなぁ。
今月のお話も、誰かの心に届きますように✨
先日、久しぶりに担当した親子さん。
とにかくお母さんのコントロールが強くて、お母さんご自身が「良い」と思われる価値観や行動を、常にお子さん(小1)に求めておられます。
なので、その子は、表面的にはとっても「良い」子。
挨拶はきちんとするし、毎日毎日、学校に行く前にも宿題の後にも、お母さんが必要だと考えたワークをこなします。
でもね…。
前回、私と2人になった時「プリントするのが本当に嫌」「でも、お母さんには言わんといて。怒られるから」と、コッソリ打ち明けてくれました。
先日の帰りがけのことです。
外は少し風が強くて、ひんやりする夕方でした。
子:「お母さん、これ (上着) 持ってて」
母:「着ておきなさい」
子:「要らん」
母:「寒いから。着ておきなさい」
というやり取りがあり、
見かねて私が「外に出てみて、寒いかどうかで決めたらどうでしょう?」と声をかけたら、少し怒った口調でお子さんがお母さんに、
「寒いかどうかは、お母さんじゃなくて僕が決めるからな!!」
と言いました。
自分のことを認めてほしい!!という、彼の心の叫びだなと思ったし、
またこうやって、愛情のすれ違いが起こることが悲しいし。
寒さで風邪をひかないように、と心配するお母さんの気持ちも、わかるんです。
そして、自分のことを自分で決めさせてもらえないお子さんの苦しさも、わかるんです。
声のかけ方ひとつ、なんですよね。
「上着を着なさい 」ではなく、せめて「上着を着たらどう?」とか。
(本当は、そもそも上着を着るかどうかぐらい、お子さんに決めさせてあげてほしいですが。)
どうしても着てほしいなら、ちゃんと「寒くて風邪ひいて、しんどくなると心配だから、着ておいてくれる?」と伝えてみればいい。
それをすっ飛ばして「着ておきなさい」とだけ言ってしまうから、ますます反発したくなるんだよなぁ…。
日常的に、お母さんの価値観と自分の本当の気持ちの間で葛藤することで「自分には目標▪目的を達成できる力がある」と思える力(自己効力感)の醸成機会をじわじわと奪われていっている彼の将来に、危うさを感じずにはいられません。
▪子どもの声を聞いてあげてほしい。
▪子どもを信じて見守ってあげてほしい。
▪子どもに伝わりやすい言葉や態度で、愛情を伝えてあげてほしい。
子育てに悩むお母さんたちにこのことを伝えるために、明日からもまた、療育の現場に向かいます😊