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ヘンテコなアイドル/東京妄想地図について

・東京妄想地図(もまっぷ)って?


簡単に説明すると
東京を拠点に活動する
街がテーマのアイドル

ただし、これでは言葉が足りなすぎるくらい
実態は応仁の乱の如く混沌を極める

※応仁の乱
15世紀後半、武家のお家騒動をきっかけに全国に波及した内乱。とある公家に「どれだけ頭を捻ってもなぜこの大乱が起こったのか分からない」と言わしめたほど混乱を極めた

私がもまっぷに出会ったきっかけはこの動画

架空の建設会社の社歌という謎テーマ
かつてタモリ倶楽部で紹介された
「日本ブレイク工業」的な雰囲気
ただし、歌うのは若い女性アイドル
しかも肝心のアイドル2人は
サビですら顔がほとんど出ず
トンネルの映像がメイン

初見で「なんだこれは」と思いながらも
間違いなく、かつて見たことがないものを見ているというワクワクがあった

現在はメンバーが1人抜け(ふるいまちさん。現:永井瞳子 )、さとうがし(がしちゃん)のソロプロジェクトとなった

・もまっぷって面白い!!


もまっぷを追いかけてみようと思った
そのきっかけがこの動画

私は平成生まれの逆張り音楽オタクなので
心の隅に「製作者の狙いにハマりたくない」
という不要な対抗心がまだ残っている

要は「これ奇抜でおもしろいでしょ?笑」感が全面に出ていると、興ざめする

もまっぷも、そう感じてしまう要素はあったはずだが
この動画を見てそんな感情は吹き飛んだ

この動画は「隧道建設株式会社」の
MV撮影を追ったドキュメンタリー映像なのだが

たった1本のMV
しかも非常にニッチなテーマに対して
3日間もかけてキャンピングカーに乗り
難工事で知られるトンネルをひたすら巡る

しかも、その間回し続けた映像を編集し
映像化するという手間のかかりっぷり

──もまっぷに最も似合わない言葉は
     「費用対効果」

動画内に出てきたこの言葉が
全てを物語っている

そもそもトンネルの映像なんて、
移動費を考えれば
現地に撮影しに行く必要はない

映像素材で済ませるか、
近くのトンネルで撮った方が
コスパに見合っている

やるからには、(Pが消費者金融の力を借りてでも)本気でやる

きっと、メンバーと制作陣に
そういう共通認識があるのだろう。

もまっぷがただのおふざけアイドルでは無い所以はここにある

だからこそ、面白いし応援したくなる

・ニッチ産業の面白さ


もまっぷは、アイドル業界のニッチ産業と言えるだろう

需要は少ないが、その面白さの
虜になる人が一定数存在する

思えば昨今、
こういったニッチなものを追究する
所謂オタクやマニアに対して、
世間の理解が得られるようになった

何かに熱中する子どもを取り上げ
「博士ちゃん」と称する某テレビ番組がある
あれに出ている子供たちは、
きっと十数年前だと
今のような扱いは受けていないだろう

そんなことして何になるの?
勉強しなさい!とか言われ、
酷ければいじめの対象に
なりかねない異端者だったはず

それが今やテレビで持て囃され、視聴者はそれを「面白い」と感じているのである

この背景には、多様性が認められるべき社会になったことに加えて、単純に解像度が上がったこともあるだろう

オタクやマニアは
興味のない人からすれば、
価値のない無駄なことに
時間を費やしてるように見える

ただ、それは結果だけ見た場合で
オタクやマニアになる迄には、
人並み以上の熱量を持って、
何かを極めるという過程
が存在する

対象そのものに興味が無い人も、
熱量を持って何かに打ち込むという
その「過程」は理解できる

人それぞれ、部活なり仕事なり趣味なり
何かに熱量を持って打ち込む経験を
していることは多い

あるいは、コスパ悟りといった
現代社会全体の志向が、
コスパ度外視で情熱的に
何かに打ち込む姿を、
より輝かせているのかもしれない

そして、もまっぷのようなニッチ産業の面白さはここにある気がする

作品への熱量やそこにかけるコストの大きさは
人を感心させたり
共感させたり…

いい意味でバカバカしくて面白い
感じさせるのかもしれない

武蔵新田駅近くの残余地。新田神社に寄るついでに、かつてもまっぷの企画で来ていた場所だったので聖地巡礼した。(右京大夫撮影、2024年10月6日)

・ワンマンライブ「隧道建設株主総会」に行く


もまっぷにハマり、追いかけはじめて約一年

私が関西在住な事もあり
ライブには一度も参加できていなかった

しかし、この度ワンマンライブが開催されると聞き
意を決して馳せ参じることにした

さながら、秀吉の小田原征伐に遅れて参陣した伊達政宗。あるいは、源頼朝への参向が遅れた新田義重の気分(大袈裟)

ワクワク緊張が心を半分ずつ占領し、
冷戦を繰り広げる中、会場の恵比寿CreAtoへ向かった

恵比寿CreAto

「ワンマン」の手作りフリップを見た時
ずっとネット経由で見てきた、もまっぷの世界が(これはでんちゃオタクの石川さんの世界だが)目の前にちゃんとある!という謎の安心感を抱いた

信じて探し続けてきた新大陸が
本当に見つかった時のような
大袈裟に言えばそんな気分

さとうがしさん (ワンマンライブ 「隧道建設株主総会」より、右京大夫撮影、2024年10月6日)

もまっぷって本当に存在したんだ~!?
まずはそんな感想を抱いた
実物のがしちゃんめっちゃかわいい!
ちゃんとアイドルしてる!!

そしてなによりも
もまっぷで盛り上がってる
この空間が楽しい!

そういえば、男・女・グループ問わず
アイドルのライブ自体が初めてだった

音楽として聞いていたアイドル(Perfume、でんぱ組、WUG等)はあったが、思えば誰かの推しだったこともないし、ライブにも行った試しがなかった

声優さんだと田中美海さんが好きで
ラジオや生配信をよく聞いていた

ただ、それは見た目が好きだからとか、
トークがおもろいからという理由で、
イベントに駆けつけたりするような
熱量はなかった

結局、それに替わるコンテンツに気が向くとそのうちに追いかけなくなった

ただ、もまっぷのライブを見た時 自分はがしちゃん推しであり 石川さん推しであり つまるところ、もまっぷ推しだ!と確信した

・抜粋要訳 「隧道建設株主総会」


教室を見に来る校長先生みたいながしちゃん(ワンマンライブ「隧道建設株主総会」より、右京大夫撮影、2024年10月6日)

石川さんがこだわりまくったであろう映像は、オープニングだけで数分間あったり、急にQRコードが出てきて読み込んでみたら、電車関連のニュース記事だったり…

震災戦争による街の変化という
シリアスなテーマから

MCのカンペが映像に表示され
がしちゃんが普通に客に背中向けて
それを読むシュールな場面まで

起承転結があって愉快痛快

あと、18時ピッタリに「時刻は18時になりました」というセリフで「南関東高速物語」が始まる演出には、思わずやられた!

全て挙げればキリがない
ギミックだらけのライブ

派手な特効やエモいMCなんかしなくても
工夫次第でこんなに楽しいライブになるんだ
と感心した

お客さんも十人十色だった

全力でコールをする人
バンドのライブみたいなノリ方の人
落ち着いて見てる人

各々の楽しみ方をしていて
もまっぷが好きだということだけが共通点

みんなでコールを揃えて、推しの名前を叫ぶようなアイドルの現場ではなく、色んな形でもまっぷに出資している株主が集まる総会だった

・はじめてのチェキ会


あっという間にライブは終わった
すぐに物販に並んで、
チェキ券アクスタを買った

チェキ撮ってもらいアイドルと交流する、界隈ではよくある流れかもしれないが、初めてだったので新鮮に感じた

並んでいるとどんどん列が伸びていく
そらそうか、だってみんな
もまっぷに出資しに来てるんだから

チェキ券は遂に足りなくなり、
ライブハウスの方がその場で手作りしていた

しばらく並んで自分の番が来た
がしちゃんとの初対面は緊張したが
「かわいい男が来たねえ~w」と煽られ
緊張が少し和らいだ

チェキを流れるように撮影し
私がTwitter(X)垢を見せると、
流石はがしちゃんで
しっかり認知して下さっていた

以前、拙いながらも
東京妄想地図の「南関東高速物語」を
カバーした動画を上げていて
その事を触れて下さった

石川さんも、もまっぷのカバーは初めてじゃない?と言って喜んでくれていた

もちろん、近藤さんに原曲が良かった旨も伝えた

あとはお土産を持ってきていたので
渡しているとお時間が来てしまい
アワアワしつつ退場

がしちゃんとのチェキ会と言いつつ
石川さんと近藤さんも見守っていて
すごくあったかい空間だった

ここで書く話では無いが、アワアワしてしまいお土産が紹介しきれなかった。
阪急電車の駅名標のマスキングテープ
ちゃんと石川さんに届いただろうか
あと、お手紙も書いたんだけど
気づいてくれただろうか
まぁ、きっと届いただろう

・ライブ後の寂しい気持ち


恵比寿CreAtoを後にして駅へ向かう帰り道
「寂しい!!!」
という感情が湧いてきた

バンドのライブや、関西のフェス等は
何回も行ったことがあるし、
ライブ自体は慣れている方だ

ただ、ライブの後は大抵
疲労感と好きな音楽を聞いた満足感
次はどのライブ行こうかな~とか考えて
翌日仕事がある場合は憂鬱になる
そんな感じである

ライブ後に寂しいと思ったのは初めてだった

たぶん、それほどあの空間が楽しかったのだろう

小学生の頃、九州に住んでいた
親戚の子が関西に遊びに来て
数日間寝食を共にしたことがあった

親戚が九州に帰ったあと、
あまりに楽しすぎたのか、
寂しくて涙が止まらなかった。

母親は「それだけ楽しかったってことや」と慰めてくれた

まさかもまっぷのライブで
この時と似た感情になるとは思わなかった。

ステージが近くて、
実際にがしちゃんや
石川さんとお話もできて、
親近感が湧きすぎたせいもあるだろう

ただ、それ以上にもまっぷワンマンには、
まるで地元のお祭りのような、
ホーム感があったことが大きい気がする

個人的に軽音部時代に
何度もステージに立って感じたことだが、
ステージがちっちゃくて、
客席がどれだけ近くても、
そこには大きな溝があると思う

実際、自分がライブに行って感じるのは
楽しさや満足感などで
一体感というのは
そもそも一体感という言葉を使って
客を煽らないといけない時点で、
幻の類いなのかもしれない

この話は長くなるので割愛する

何が言いたいかと言うと
この点でもまっぷは、
お客さんと演者や制作陣が
「ニッチなテーマを愛する同盟者」
のようなところがあり
ステージとの心理的な垣根が低い

もちろん、石川さんは愛されキャラ故に
友達みたいに話しかけている人もいて
そもそも物理的にも垣根が低い

あまり格好のいい言葉ではないが
要するにアットホームな雰囲気が漂っている

ヘルメットを持参したり、謎の技術でLED電光掲示を作ったり、ライブ前にサイリウム配ったり…

みんなそれぞれ主体的にもまっぷを楽しんでいる

がしちゃんの人柄的に、
良識ある範囲で来るもの拒まずな
そんな感じがあるのも助けとなり
このあったかい(たまに蒸し暑い)空間が
出来上がってるのだろう

そして私もそんな空間の
構成員の1人だった

同じ祭りを盛り上げた張本人として、祭りのあとの静けさが寂しいのは当然だった

・総括

わたしは音楽好きではあるものの
アーティストのファンと言うには
おこがましいと思っている

おこがましいと自分を下げる傍ら
熱狂的なファンを少し冷めた目で
見ていた部分もあったかもしれない

そんなわたしにとって
もまっぷは決して替えがきかない
(きいてたまるか)
唯一無二の推しとなった 

わたしはもまっぷの大ファンです

関西妄想地図をいつか期待してます

これは「ホテルニューカマクラ」だよ、がしちゃん(右京大夫撮影、2024年10月7日)

以上

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