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続 チェロのレッスン〜2月1回目〜
意外と!?大事な最初のカデンツ
鈴木4巻最初のソナタ。最初に3つのカデンツをジャンッ、ジャンッ、ジャンッと弾いたあと、アウフタクトでメロディが始まる。
前の先生のチェロ教室で重音は教わっていたので、正直なところ冒頭のカデンツは「音程が外れていなけりゃ良いでしょう。」という気持ちだったのだ。あくまでメインはその後の、色々な技巧的要素がぎゅうぎゅうに詰まったメロディだと。
だがしかし、予想に反して、今回のレッスンの山場はこのカデンツにあったと言っても良いくらいに捕まってしまったのだ。
低音から高音へ、最初の低音は最後まで響きが残るように
4本の弦が弧を形作るように並んでいるチェロ(および弦楽器全般)において、複数の音をいっぺんに同時に鳴らすことは結構難しい。一つの弦からは基本的に一つの音しか鳴らせないから、複数の音を鳴らすには同時に複数の弦を同時に弓で擦る必要がある。
空間の原理でいえば、2本までは可能なのだ。弓の毛のしなりを考慮すれば、強く押し当てれば3本くらいはいけるかもしれない(実際にはほぼ無理)。
でも楽譜には五線譜上で縦一直線に4つの音がジャーンと並んじゃったりしている。
ピアノなら両手の指を総動員して「ジャーン」と弾くところであろう。
同じことをチェロでは・・・多分できない(笑)。
最初の音が消えないうちに次の音、また次の音を時間差で急いで弾いて、最終的に全ての音(の残響)が合わさって「ジャーン」に限りなく近い状態を作り出すしかないのだと認識している。
さてソナタ冒頭のカデンツである。
3つのカデンツのうち最初の2つは3声、最後の1つが4声。
低音から2声ずつ重音をつなげていけば良いよねえ・・・という(決して軽率ではないけど)軽い気持ちで弾いてしまったら、
「最初の低音はもっと力強く、響きが後の高音に残るように!」
穏やかな先生には珍しく力の入った指導が飛んできた。
指の位置(音程)は弾く前にしっかりと決めておいて、多少ガリっとしてもちゃんと音を出しなさい、と。いや、ガリッとするくらいで良いのだ、と。
弾いた音の響きを残すために、響きを飛ばすという感覚
そこから怒涛の「ガリッとカデンツ」特訓だった。
まずは一つ一つをガリッと、次にそれを繋いでガリッと。
次のカデンツの運指を覚えていないと曲の流れがもたついてしまうので左手は3つのカデンツの指の位置を、体に染み込むくらい繰り返し弾いて覚える。
こういう練習になると先生のジャッジは急にシビアになる。・・・ような気がする。少しでももたつけばもう1回、もたつきが過ぎたら一つ一つ復習するところからやり直し、綺麗に弾けたらそれを再現できるようにもう1回、ある程度いいフレーズが続いたら、「あと3回やりましょう。(笑顔)」。
結構散々「ジャン、ジャン、ジャーン」を弾いた。たった3つのカデンツ、最初の2小節で軽く息切れなんかしている・・・。
「はい、だいぶ良くなりました。で、あとは弾いたあとなんですが・・・。」
うん?
「弓が止まってしまうと、音もそこで収束してしまうのです。特に最後のカデンツは一旦曲の節目にもなるので、終わるくらいの残響を残しつつ、余韻を背負って次の主題を弾き始められると良いですね。最初のカデンツはやはり残響を途切れさせないように次のカデンツに。シャカシャカ動くのではなく(よく注意される)余裕をもって・・・。」
「弓の先端に音が乗っていて、それを響かせたい方向に投げるように・・・」
そう言ってお手本として弾いてくださったカデンツは、
振動が塊となって正面からぶつかってくるようなカデンツだった。
弾き切った右腕はごく自然に大きな円を描いて再び指板に戻ってくる。
最後はポーンと投げ出すように。
・・・リサイタルで見た光景だ・・・
「ではやってみましょう。(笑顔)」
ですよねー。
時間いっぱいまで「響きを投げ出すカデンツ」をみっちり弾いたのは言うまでもない。
右腕がなんだかだるい(笑)。
色々なチェロ演奏の動画でみる動きですね。
正直「ちょっとカッコつけてるのかな。」と思ってたんです。事実かっこいいんですけど。ちゃんと目的のある動きなんですね。
「否定はしません。(笑顔)でも意味のある動作です。」
次は曲の主題を・・・・弾かせてもらえるのだろうか(笑)。
2週間後へ、いざ。