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Apple II ▷ タッチディスプレイ工作記(7)

▷ タッチパネルの有効表示領域の決定
"The Apple II Circuit Description"(Winston D. Gayler, 1983)によれば,Apple IIのテキスト表示領域は図1のようになっています."OUTLINE OF APPLE'S 40x24 CHARACTER DISPLAY"はApple IIの文字表示領域であり,高分解能・低分解能グラフィックスの表示領域でもあります.この領域の外側にマージンが設定されており,ここにはなにも表示されません.以下この表示領域を有効表示領域と呼ぶことにします.
さてこの図のタイトルは,"The video area of the Apple compared with the standard broadcast image"とあります.Apple IIが販売された当時,テレビをディスプレイとして用いていたこともあり,テレビ画像とApple IIの表示画像を対比させた図となっています.この図からわかることはApple IIは,ディスプレイの全面ではなくその一部を使っていたということです.さらに現代のデジタルディスプレイはアスペクト比が当時とは異なります.こうしたこととからタッチパネルと組み合わせて使用するディスプレイごとに有効表示領域を決定する必要があります.

図1.Apple IIのテキスト表示領域

有効表示領域を決定するといっても,至極原始的な方法です.
写真2に写っているのは今回の工作で採用した10.1インチ液晶ディスプレイですが,これにテキストやグラフィックを表示して有効表示領域の内と外を決めるだけのことです.マスキングテープを貼った内側が有効表示領域となります.

写真2.有効領域の決定

ディスプレイ画面上で表示領域が決まったら,タッチパネル上の座標を決定します.これはちょっと厄介です.可能なかぎり有効表示領域の境界線に近い数字が欲しいので,境界領域近傍を指やタッチペンで触れながらシリアルモニタに表示される検出データを記録して「ほどよいところ」の数字を決定します.そのようにして決定されたのが前回の記事で書いた数値です.

▷ 動作確認
図1はタッチパネルの起動時のシリアルモニタの出力です.最初の5行は初期動作確認で,以下4行は1点タッチ,続いて2点タッチで取得された座標データと計算上のデジタルポテンショメータの抵抗値です.

図1.シリアルモニタの出力

タッチディスプレイの動作状況を以下の動画でお見せします.手ブレが大きく見にくいかもしれませんが,1点タッチ,2点タッチの応答の様子がわかります.この動作状況確認プログラムはApplesoft Basicで書いています.ゲームポートへの入力をPDL()関数で読み取り,低改造グラフィックでプロットしました.若干のタイムラグが生じており,指先と座標プロットが鬼ごっこになっていますが,工作は一応の成功を収めたと考えています.

次回はこのタッチディスプレイを用いた応用を紹介します.

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