Apple II ▷ キーボード改修記(4)
▷ スタディ模型をつくる
先の失敗は,不安定であること,美しくないことに集約できます.
そこで両者を同時に解決することを考えます.そのためにはまずしっかりとしたベースをつくります.そのベースがあってこそ美しさも追求できるというものです.
そのベースですが,Cherry MXスイッチの端子間ピッチとキーボード上の端子間ピッチを変換する役割を担えるようデザインします.ジャンクボックスからユニバーサル基盤の切れ端を発掘してきて,ステムのセンターを考慮しながらキーボード基板と位置合わせをします.さらに使用不能になったオリジナルのキースイッチを分解して取り出したステムを加工してCherry MXスイッチのステムに取り付けて,Apple IIのキートップを被せられるようにアダプタを工作します.
いくつかの検討用の模型,スタディ模型の試作を経て最終出来に完成したのが写真1です.写真1左がスタディ模型,右がオリジナルのキースイッチです.サイズとして収まりは良さそうです.写真2は真横からみたもので(模型とオリジナルは左右逆転していますが),ステムを延長するアダプタのデザインの方向性も確認できました.
写真3は模型で使用した部品です.このようにしてこれから工作することになる部品の形状や材質などを絞り込んでいきます.
ぼくは何か工作をするとき,しばしばスタディ模型をつくります.小さなころより,ありあわせの素材で思いついたものをかたちづくったり,スッケチを描いたりしていました.手を動かすことでより具体的に,より洗練する大切なプロセスなのです.
その後,大学に通うようになって物理学を勉強していたのですが,建築デザイン事務所でアルバイトをしていました.採用面接があって「デザイン系ではないけど・・・できるかな?」と問われました.が,そうして経験があったので採用してもらうことができました.そのバイト先で検討のための建築模型をスタディ模型と呼ぶと知り,以来,ぼく自身がつくる試作品もそのように呼びようになりました.