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Apple II ▷ キーボード改修記(7)

▷ 30年ぶりの感光基板
電子工作のたのしみのひとつに基板をつくることがあります.このごろは電子回路から自動的生成したパタンデータをメーカーサーバにアップロードすると,完成基板が宅配されるという時代ですが,ただ感心するばかりです.
前回の記事でぼくはためしにキースッチのベース基板のデータを作成してみました.が,むかしを懐かしんで感光基板でベース基板を工作することにしました.いまでもサンハヤト社が感光基板を販売していることはありがたいことです.ちょうどこの文章を書くのに同社のウェブページをみたところ,ガラスコンポジット片面の基板に限られていますが,「後継品は年末発売予定」とアナウンスされています.進化し続けているのですね.
感光基板のことをご存知でないひともいるかもしれません,感光基板とは基板表面の銅箔の上に感光材が塗布されており,基板パタンのマスクをその上に乗せて光をあてて感光させ,現像するとパランが表面にのこるというものです.あとはエッチング液で不要な銅箔を溶かして基板ができあがるというものです.大学院生のころまでお世話になりました.
エッチングによる銅の廃棄は抑制する必要があります.そこでグラフィックデザインソフトでパタンを作成し,トレーシングペーパーに印刷してマスクを作成しました.コンピュータを用いてパタンを作成できることは大変便利なことです.ぼくが10代の頃はマスキングテープやマジックでがんばって手製で作成していたものです.とはいっても図1のような単純なものです.

図1.ベース基板パタン

感光やエッチングの様子は残念ながら写真で記録していなので,工作途中のベース基板を写真1に示します.

写真1.キースイッチベースPCB

写真1の基板は部品取り付けの穴が既にあいていますが,これがなかなかの難事業です.ドリルで正確に穴あけをするためにセンタポンチという道具でまず小さな凹みを基板につくり,これを利用してドリルで穴あけをするのです.しかるに今回は硬度の高いガラスエポキシ基板を採用したのでこの作業がたいへんでした.さらにその後基板を切り出します.こちらは薄刃の強力ノコギリで作業をしました.すべての作業が完了したものを写真2に示します.

写真2.キースイッチベースPCB

感光基板はそのままではスルーホールになっていません.そこで以前基板補修で紹介したハトメで基板の両面を短絡することにしました(写真3).両面ではんだ付けします.

写真3.ハトメでスルーホール基板を工作する

次にベース基板をキーボード基板に取り付けるためのピンヘッダをはんだ付けします.キーボード基板の端子間の距離をあわせる必要があるので,ピンヘッダは分割して用います(写真4).こうした規格のちがいは柔軟に対応します.

写真4.ピンヘッダの取り付け

ベースが完成したらCherry MXをはんだ付けして完成です(写真5).

写真5.Cherry MXの取り付け

▷ 余談あるいは反省
今回自作したベース基板は熱伝導率の高い銅箔部分の面積が大きいため,はんだ付けに苦労しました.熱が銅箔全体に放散してしまうのでハンダが乗りにくいのです.考えてみると当たり前のことで,前回お見せした線状のパタンがやはり良いようです.


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