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Apple II ▷ キーボード改修記(2)

▷ キースイッチの分解
応答のわるいキースイッチを基板からとりはずして分解してみました.
ケースはネジどめではなく接着されているので少々強引なことをします.接着面を探り,大型カッターナイフの刃をほとんどない隙間にあて,ハンマーで軽くたたきます.カチッという音がしてほんのわずかな隙間ができればあわてず反対側の面でおなじように取り組みます.両側にできた隙間に交互にカッターをあててたたき,勢いあまって中身が飛び散らないように注意しながらケースを割ります.
キースイッチを構成する部品は冒頭の写真1のとおりです.

写真1.キースイッチの分解

写真2は部品がしかるべき組み合わせとなった状態です.奥のケースには接点プレート,手前は接点に圧力をかけるステムです(スプリングは写っていません).
接点を詳しくみてみましょう.写真3の上側にみるように右より接点プレート,金属プレート,赤いプラスチックで構成されています.接点プレートは,丸い穴のあいた透明プラスチックシートを間にはさんで2枚の金属片が対向しています.プラスチックシート1枚分の隙間で両極を絶縁していることになります.金属プレートは透明プラスチックを補強するために接着されているものと思われます.赤いプラスチックはカンチレバーになっています.一端が固定され,他端が自由端となっています.このカンチレバーは,キーが押下されると,ステムにある板バネ(銅箔)に押され,接点に圧力が加わるしくみになっています.

写真2.キースイッチのしくみ
写真3.キースイッチのしくみ

「物理的接点のある部品はバラして磨いて元に戻す」とおなじことを考えて実行するひとがこの世にいるようで,その様子が動画で公開されています.こういう動画は心強いものだと思います.

▷ 経年劣化は手強い
動画をみると接点プレートを研磨してもとに戻しています.基本的にはこれで問題は解決します.ところが分解して接点プレートを仔細に検証すると緑色の付着物があります.これは明らかに接点プレートを補強する金属プレートに用いられた接着材が劣化・剥離して発生したものです.むろんこれ自体も洗浄すれば除去できます.が,この明らかな潜在的原因をかかえたままキーボードを使用し続け,トラブルが発生するたびにこの物理的治療を施すのもたいへんそうです.

【参考】
今回の工作ではDatanetics キースイッチカタログが大変参考になりました.
ぼくが中高生のころ,配布されていたこうしたカタログを多数集めては眺めていました.
https://telcontar.net/KBK/Datanetics/docs/Datanetics%20DC-50%20Series%20Key%20Switches.pdf

Datanetics キースイッチカタログ

こちらも面白いです.Datanetics社の歴史について書かれています.
https://deskthority.net/wiki/Datanetics
写真のなかに” DC-50 switch assembly in the factory”とありますが,手で組み立てています.なんだかいいなぁ.


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