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細いチューブと太いチューブ、どちらが滅菌しづらい?内腔器材の空気除去特性について、文献を基に解説します。

皆さんは、高圧蒸気滅菌で同じ長さのチューブを滅菌する時、径が細いものと太いものとではどちらが滅菌しづらいかを考えたことはありますか?

「細いチューブの方が滅菌しづらそう」「太いほうが滅菌しづらいと聞いたことがある」など、いろいろなご意見があるかと思います。

本記事では、内径や長さの異なるチューブを用いて検証した「高圧蒸気滅菌における内腔器材の空気除去の検証」という文献を読み解きながら、径が細いものと太いものとではどちらが滅菌しづらいかを解説します。


1. 「高圧蒸気滅菌における内腔器材の空気除去の検証」とは

1-1. 1998年にU.カイザー氏らにより発表

「高圧蒸気滅菌における内腔器材の空気除去の検証(Investigation of Air Removal from Hollow Devices in Steam Sterilization Processes)」は、U.カイザー氏とJ.ゴーマン氏により発表された文献で、1998年にCentral Service(発行元:mhp-verlag GmbH)に掲載されました。


1-2. 滅菌業務に関する国際的な専門誌に掲載

Central Serviceは、隔月で発行されている滅菌業務に関する国際的な専門誌です。日々の滅菌業務に携わる方にとって役に立つ、実践的かつ専門的な内容が掲載されています。Central Serviceは、世界各国の病院滅菌供給業務関係者団体による国際組織、WFHSS(World Federation for Hospital Sterilization Sciences、滅菌供給業務世界会議)のWebサイトでも紹介されています。


1-3. 内腔器材は空気除去が難しく、蒸気が浸透しづらい

高圧蒸気滅菌では、高温の蒸気が器材に暴露し、凝縮を生じ高温の水となって器材を滅菌します。滅菌器内の器材のあらゆる表面に、飽和蒸気が到達することが必要不可欠です。

滅菌器内に空気が残存していると、飽和蒸気が到達せず、空気が残存した部分は乾熱状態となり、温度が上がっても滅菌不良の原因となることがあります。特に、内腔構造を有する医療器材は、器材内部に含まれる空気の除去が難しく蒸気が浸透しづらいと言われています。


1-4. チューブの内径や長さが空気除去に与える影響について検証

内腔器材と言っても、吸引嘴管や気腹チューブ、ラパロ鉗子のように様々な器材が存在し、チューブの内径や長さによって空気除去の難しさは変わります。

本文献では、高圧蒸気滅菌における内腔器材の空気除去について、同じ材質で内径や長さが異なるチューブを使用して検証しています。チューブの内径や長さが、空気除去にどのような影響を与えるのかを明らかにしています。


2. 検証概要

2-1. 使用した器具:内径と長さが異なる25本のデッドエンドチューブ

本検証では、内径と長さの異なるPTFE(テフロン)製のチューブとケミカルインジケータ(CI)を使用しています。チューブは、片側が閉じているデッドエンド構造です。内径・長さが異なる計25本のチューブを滅菌し、そのインジケータの変色結果を基に空気除去特性を明らかにしています。



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