初対面③
『行きましょうか。』
後ろをとことこと着いて行き、殿の車に乗り込んだ。
カラオケ店までの道のりの車中は、お互い何を話すわけでもなく沈黙が続いたけど、不思議と居心地が良かった。
とはいえ初対面なのだから、緊張と恥ずかしさで…とてもじゃないけど顔なんて見れない。
緊張と不安をごまかすために、カラオケ店でひたすらお酒を飲んだ。
もともと強いからもあるけど、そんな時に限ってまったく酔いが回ってくれない。
《お願いだから…お酒としての作用を働かせてよ…》
願いもむなしく、ただただお酒を流し込んでいくばかりだった。
殿は緊張しているmeikoに、優しく話しかけてくれて、『おつまみも遠慮しないで頼んでいいんだよ。』って気を使ってくれた。
話し下手なmeikoは、気の利いた話題も提供できず……ひたすらお酒を空けていく。
お酒の飲めない殿は、そんなmeikoをどんな気持ちで見ていたのだろうか。