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初心者の第二回クトゥルフTRPG『カタシロ』

先に言っておく。
今回、読み手のことは一切考えていない。

だからここで言っておく。
【今日もめっちゃたのしかったぞ。時空歪んだもん。】


 2022/01/31、早くもこの日が来た。
数日前に、使わせていただいていたキャラクター保管所がサーバーダウンしたらしく、バタバタ準備をしていたが無事に乗り切れてホッとしている。
大根役者、という私のスキルも今回KP、SKPをしてくれたTさん、Yさんの自然な演技に引っ張ってもらえてどうにかなったような気もする。おふたりを大変困らせたLPをしたような気もする。

 今回は記憶喪失ということで、設定がどこまで活かされるのか、活かしていいのか疑問だったし事前情報がほとんどなかった。自分に近いキャラクターがいいよ、とは聞いていた。それを無視したせいで随分と大変なことになったが、絶対に私が取らない選択肢に進むことができたので、これが結果オーライというやつである。そうしておこう。

 前回も言った気がするが、今回も余韻から抜け出せない。
それは、映画や小説、またはゲームでもなんでもいいが、そういった"できあがった芸術"に慣れてしまっているからだろうか。その物語には必ず終わりと正解があるものだ。正解というのは、物語を構築した作者の正解という意味で。そこに部外者である消費者は口を出せない。
ただ、おそらく、TRPGは出演者全員が本当の意味で脚本家なんだろう。発言した人が、行動した人が全員。一瞬の所作で、言葉尻ひとつで人の心は変えられるのだから。

※ここから先は医師に対しての愚痴….考察である。ネタバレもある。


 囚人のパラドックス、テセウスの船、臓器くじ。
今回のキャラクター謡田うたいだは、記憶喪失の中、謡田を治療したという医師と3日かけて話をした。
医師の建前は『君の記憶を取り戻すため』だった。そう言っていたはずだ。しかし最後まで医師は謡田を試していた。少なくとも”私”はそう感じた。わざわざ記憶を消し、0の状態の謡田の根っこの部分を、柔いところを探していた。
そうして謡田に対しすべてを明るみにすると、「先ほど臓器くじの話をしただろう。君はどう答えた?」と問う。「君が決めていい」「君の身体をくれないか?」と。医師は狡い。おそらくそれを無意識でやっているのが更に拍車をかける。
今の君は既に新しい身体だが特に不便はないだろう?だからわかってくれるよね。と、そう言っているのだ。そうして謡田に"自分"と"彼女"を比べさせ、少なくとも感情では彼女を選ぶように誘導される。
狡いと思うのは私だけだろうか。それとも私がひねくれているだけで、「この問いに正解はない。だから君がなにを選択しても受け入れるよ。」という意味だったのだろうか。

 しかし彼女と対面する前の2日目、3日目の医師もそうだ。
「なにか変わったことはなかったかい?」と聞くのだ。私が探索した限り、周りに人の気配はないのに。体調変化を気にしているのももちろんあるだろうが、隣の部屋の彼女と話したかい?という意味だ。そうして気に入れば―――いや、気に入らなくとも少なからず情が移ればいいと、そういうことではないのだろうか。

 謡田は自分主体の人間だからそうはならなかったが、きっと、二つ返事とはいかないものの情に流され了承してしまった人もいるのではないかと思う。私も、前回動かした江藤だったら頷いていただろう。
ただ、医師の願いには未来がなかった。彼が生きているのは"今"でしかなく、自分の気持ちしか考えてなかった。
少なくとも彼には死亡率の高い落雷から実験者を救ってきた実績がある。救ってきた、と言うと多々語弊があるが、要は落雷で実験できる技術があるということだ。あの親子が言うように名医なのだろう。そこに嘘はないと思う。
ただ、なんとかなる、と思っている節がある。きっとあの種族が助けてくれるだろう、と。そこに、現実に基づいた計画性は皆無だった。借金を返すために借金をする自転車操業のようなものだ。そうしてひとつがダメになると総崩れを起こす。彼に未来を預けるのは博打に思えた。だから謡田は蹴ったのだ。
彼は、残されたものを数えるべきだった。

 例えば、アユムと呼ばれた少女には選択肢がなかった。
謡田が頷いていた場合、彼女は謡田と同じく実験が終わってからすべてを知らされるのだろう。そうして謡田とは違い選択肢のない彼女は、生きている限り彼女の意思と関係なく父の責をも背負うことになる。父がその責を負ったのは自分のせいだと思い生きていく。思えば彼女が一番の被害者だ。
所持していたカーボン製ハードケースでも使って、彼女との間にある無機質なあのガラスを割ってしまえばよかったかもしれない。それはそれで私のエゴの押し付けになるが。

 ひとの人生を借りることや覗くことは多々あれど、誰とのシェアもなくひとりを形作ることは日常生活であまりないだろう。その人間の重みを今回は特に感じた。


▽CREDIT
Screenwriter:ディズム (@DizmKDC) さま

Illustration:昔(@hu__________san) さま
『はりねず版男子メーカー2』

Keeper:千田黒目(@tida_kurome) さま
Subkeeper:翼翠 (@yokusui) さま


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