ワンダーエッグに酔い続ける
※感情を整理しやすかったので、某お笑い芸人のラジオ風SS仕立てになっています。が、途中から筆が乗ってきたのでそうでもなくなってます。
ひとつよしなに
※ワンダーエッグ・プライオリティのネタバレは含んでいませんが、多分見ている人じゃないと面白くないとは思います。
ただ、他人が知らないゲームやってるの見て楽しい人とかだったらいい感じの布教になるんじゃないかなーとも思ってます。ならんか。
はじめに
テンテテンテテーン(高音)
デンデンデンデーンデーンデーデデンデン(低音)
たかはし:やまたかプレゼンツ
ヤマト:ヤマトたかはしの
2人 :オールナイトニッポン!
ベーンベベンベンベーンベベンベンベーン
(Bittersweet Sambaが流れ出す)
https://youtu.be/uhOMW_NOXDU
たかはし:こんばんは、ヤマトたかはしのたかはしです。
ヤマト:土曜の夜、ヤマト。
たかはし:よろしくおねがいします
ヤマト:ひとつよしなに
たかはし:あの、ヤマトさん。まぁ今日土曜日ではないんですけど
ヤマト:うぃ
たかはし:2022年6月30日。なんの日だかわかりますか。
ヤマト:ん~……わからんねぇ。
たかはし:あ、わからない。
ヤマト:うむ。
たかはし:えー、正解はですね。TVアニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」の、あの特別編から一年が経ったわけなんですよ。
ヤマト:あー、もう一年経ったぁ。はやく感じるねぇ。
たかはし:えぇ。
ヤマト:で、どうしたんですか。
たかはし:いや、一年ね。私色々考えてきたわけなんですよ。
ヤマト:なにをよ。
たかはし:ヤマトさんね、ワンエグ特別編。見終えたときの感想覚えてますか。
ヤマト:まぁー、そうね。結構衝撃的でしたからね。
たかはし:聞かせてちょうだいよ
ヤマト:えーとね、まずはじめにね。これで終わり!?っていうね
たかはし:そうね。
ヤマト:あ、40分追加してこれで終わりなんだ!?って。なんも解決してないというか、え!?っていう。余計ひどくなってるんじゃないかみたいな。
たかはし:まぁ、きっとそう思われた方も多いと思うんですよね。
ヤマト:思いますよあれは……だって、ねぇ。
たかはし:僕も実はその一人でした。でもね、それはワンエグが悪いわけじゃないと思ったわけよ。
ヤマト:どういうことよ。
たかはし:だってさ、ワンエグって素晴らしいアニメだったと思うのよ。まず作画。すげぇ綺麗だしさ。細かいしさ。あのクールの中で、というかここ近年のアニメの中で見てもかなりずば抜けてたと思うのよ。
ヤマト:たしかに。
たかはし:日常シーンの動き、指先まで細かいしさ。表情もキャラ達のね、14歳の少女たちの細かな感情の動きを丁寧に描いているのよ。
ヤマト:ほんと細かいよね。で、視線の動きとか細かいなーと思ってたら、コミカルな表現とか使ってきたり。
たかはし:あれ可愛いよな!!
ヤマト:リカとかアイとかやるよね。
たかはし:でさ、戦闘シーンとかになるとこんどは「動き」の描写が凄いわけよ
ヤマト:わかる。ねいるじゃないけどさ、まさに『度肝を抜かれる』って感じで
たかはし:『あなたの度肝を抜いてあげる』!!ってな(笑)
ヤマト:そうそう(笑)ねいると言えばさ、やっぱり『第9回 誰も知らない物語』なわけじゃん
たかはし:あの回は全部完璧。最高。
ヤマト:本当に凄い。あんなんTVアニメの仕事じゃないって思ったもん(笑)
たかはし:高速道路のシーンがあってね。カーチェイス……ていっても車は一台も出てこないんですけどね(笑)
ヤマト:たしかにね(笑)蛇に乗って鳥から逃げるシーンですね(笑)
たかはし:そういうとわけわかんねぇな。美少女二人が蛇に乗って、高速道路を爆走して鳥から逃げるアニメ。
ヤマト:それが『ワンダーエッグ・プライオリティ』
2人 :(大声で笑いあう)
たかはし:あのシーンさりげなくとんでもないよね。
ヤマト:カメラワークがそこまで動いてないのに疾走感が伝わってくる。背景がきれいに流れてるんだよね。
たかはし:あれね。コンセプトアートを担当していた「taracod」さんがCGで全部組んでて、それを使って作画したらしい
ヤマト:すげーなおい
たかはし:「taracod」さん、なんとアカ達のいる地下庭園も全部3DCG組んだらしい。しかも咲いてる植物とかも含めて。それをスタッフそれぞれが好きな角度に動かして、背景づくりしてたんだって。
ヤマト:いや凄すぎでしょ、何者なんだよ。てかたかはしさん詳しすぎないか。
たかはし:これね、公式から出てる「総作画監督修正集」でアクションディレクターの川上雄介さんがインタビューで言ってたの。
たかはし:てかお前「taracod」さん知らないの?
ヤマト:失礼だけど、存じてなかったね。
たかはし:じゃあさ、ちょっといま「taracod」さんのTwitter送るから見てみてよ
ヤマト:……うわ!?なにこのケモノ!!超性癖!!!!本当に何者なんだこの人!?えぇ!?
https://twitter.com/dknrbssntri?s=20&t=qDm4ljqCrJ9O92whIAK62A
ヤマト:んー、確かにさっきの3DCGの話とかでワンエグの背景の細かさとかさ、建物同士の距離感?のリアルさみたいなのはわかったんだけどさ。それとは別にワンエグの背景があえてボカしになってることないかい?
たかはし:ありますね
ヤマト:あれはどういうことなんだろうね
たかはし:それはさっきの話とは対照的になるんだけどね。さっきの3DCGが使われていた場面っていうのは現実にはない場所なんですよ。
ヤマト:……ほぅ?
たかはし:うん。実はワンエグに出てくる現実世界のシーンにはほとんど実際にある風景がモデルになってるんだよ。
で、多く使われているのが千葉県印西市周辺とされているんだよ。
これについては聖地巡礼しているブログ記事も多いからそれを見て欲しいんだけど。
ヤマト:(スマホで検索する)本当だ!すげぇ!!
たかはし:で、俺も実際に聖地巡礼に行ってみたんだけど
ヤマト:行ったのかい
たかはし:てか、住んでるんだけど
ヤマト:住んでるの!?!?
たかはし:これね、行ってアニメの場面と同じように写真撮ろうとしてみると気づくんだけどね。望遠レンズがめちゃくちゃ多用されてるんだよね。
ヤマト:望遠レンズ……それを使っているから背景がぼけるってこと?
たかはし:半分は正解かな?望遠レンズの効果はそれだけじゃないんだけど、ここでは割愛するよ。
まぁ俺も絵描きじゃないから詳しくはないんだけどさ、この望遠効果で表現される客観的な構図が作品全体にリアリティを与えてると思うし、例の背景のぼかし、逆に言えば登場人物に焦点を当てることで、心理描写をより効果的なものにしていると思うよ。
ということで、聖地巡礼の際には望遠レンズと一眼レフを推奨します。
当記事のサムネを見てもらえばわかると思いますが、僕は持ってません。
ワンエグは投げっぱなしエンドではない
たかはし:ということでそろそろ本題に入りたいんだけど
ヤマト:「まず、作画」から語りすぎなのよ。
たかはし:正直、まだまだセリフ回しとか、音楽とか、声優さんの演技とか、演出とか語りたいんだけど。
ヤマト:一生おわらん。
たかはし:また今度の機会に。
ヤマト:うい。
たかはし:で、おまえはさ、この一年。放送終わってから一年ワンエグとどう向かい合ってきたかってことだよ。おい。
ヤマト:どう向かい合ってきた……まぁたかはしさんほどの熱量じゃなかったかもしれないけどさ。やっぱり何回かは見直して?その度に考察ブログ見たりとか、twitter検索とかしてたよ。
たかはし:それでどうだ。ワンエグにお前は決着つけられたのかよ!おぉい!?
ヤマト:なんだよもー、急に怒鳴るなよ
たかはし:どうも、すみませんでした。
ヤマト:で、決着ってなんなのよ。どういうこと?
たかはし:最初に話したけど、お前はワンエグ見て、特別編見て、「これで終わり!?」って思ったんだろ?
ヤマト:そうね
たかはし:で、今もそう思ってんのかって話
ヤマト:まぁ……そうだね。だってあれっきりだし。
たかはし:そうなんだよ、わかってるじゃねぇか。あれっきりなんだよ。あれで終わりなんだよ。
ヤマト:どういうことよ。
たかはし:ワンエグはもう終わったの。いつもなら次回予告が流れるところで四人が「せーの、おわり!!」って言ったんだよ。だろ?
ヤマト:やめてくれよ、若干トラウマだよ。
たかはし:だからそこで逃げてんじゃねぇって話なんだよ!!おぉい!!!
ヤマト:だから急に怒鳴るなって。
たかはし:どうも、すみませんでした。
ヤマト:はい
たかはし:「逃げてるだけで物事が解決するわけないじゃあないか!!」って裏アカが言ってたろ。
ヤマト:覚えてないね
たかはし:「第2回 友達の条件」見直してこいバカ!!
ヤマト:口が悪いな(笑)
たかはし:どうも、すみませんでした。
ヤマト:うい。
たかはし:何回謝らすんだよ。
ヤマト:いや、たかはしさんが怒鳴ったりするからでしょ
たかはし:いや怒鳴りたくもなるわ!!いいか、ワンエグは終わったの!!でもあそこに!若林監督が!!悩みに悩みぬいた答えが詰まってんだ!!携わったクリエイターの皆様が全力で向き合った答えがもうでてるっていうならそれに向き合うのが筋ってもんだろうが!!おぉい!!
ヤマト:わかったわかった、私が悪かった。
たかはし:ということで、俺がこの一年間どうワンエグと向き合ってきたかを今から語る。真似しろとは言わないが、もし、もしワンエグに納得いかない人間が居て、でも、ワンエグと向き合おうという情熱の火が燃え続けている。「命が燃えてる」って人が居たら参考にしてほしい。
ヤマト:「anemos」だ
たかはし:「anemos」YoutubeMujicのRecap機能によると私が2022年再生した楽曲ランキング一位でした。
ヤマト:大好きじゃん
たかはし:あの曲も凄いよね。声優にやらせるハモリじゃないぞあんなの。
ヤマト:みんな歌うまいからね。にしてもやらせすぎだけど。
たかはし:ほんとめちゃくちゃ高値でもいいから「anemos」のパート別音源出して欲しい。
僕はそれなりにアイマスPもやらせてもらってるんですけどね、担当にカバー曲歌ってもらえる指名権と「anemos」のパート別音源どっちかっていわれたら悩みすぎてそんな重い決断を下さなければならないなら自決してしまうかもしれない。
ヤマト:価値観がわからないよ。
たかはし:て、ことでですね。とりあえずワンエグ完結後に僕がやったことなんですけど。
ヤマト:うい。
たかはし:まぁ、はじめのうちはめちゃくちゃくすぶってましたよ。とりあえず、当時の俺の反応を見てみようか。
たかはし:で、見終わった後の感想
ヤマト:……いや感想じゃないだろこれ!(笑)
たかはし:当時の俺はこれを呟くのが限界だったんだよ……
ヤマト:いや、でも……もっとあるだろ、これ(笑)
たかはし:いやないね。これが全力全開。でね、一応この後にさっきも言った「総作画監督修正集」と、Blu-ray第3巻の発売が決まってたのよ。
だから、そこで何かしらの種明かしがあるかもしれない。そう思って生きてたのよ。ヤマトさんはBlu-ray買った?
ヤマト:買ってないね。
たかはし:買ってないか。3巻には初回生産限定盤特典としてドラマCDがついてたのよ
ヤマト:ドラマCD!?
たかはし:聴く?飛ぶぞおい……
2人 :……(視聴中)
たかはし:……どうだった?
ヤマト:……ワンエグだったね。
たかはし:だよなぁ!!
ヤマト:なんだろうね。ワンエグだったとしか、言いようがないね。音だけだったけど、完全にワンエグだったね。てか、映像もうっすら見えたわ。
あの一話の中で時間軸が複数同時進行するワンエグ独自の構成とかも含めて、ワンエグの完全新作だった。なんだこれ!!?
というか、これどこの部分の話?
たかはし:まぁまぁまぁ。それは明かされてないけどさ。こういう終わり方もありえたというかさ。これが真のエンドとかは捉えてないよ?ただ、これがワンエグの示した可能性というかさ……
ヤマト:いやこれはすごい。
たかはし:これはワンエグに納得がいったいかないとかじゃなくて、ワンエグが好きな人だったら是非聞いてほしい内容だよね。
で、これと併せて円盤にはブックレットがあって。それぞれインタビューが掲載されているんだよね。
1巻には脚本・野島伸司さん。二巻には音楽担当DÉ DÉ MOUSEさんとミトさん(クラムボン)。三巻には監督・若林 信さんとキャラデザと総作画監督・高橋沙妃さん。
で、この第3巻のインタビューは実は一部分抜粋して公式サイトに掲載されているんだよね。
ヤマト:見たいねぇ。
たかはし:これ見ればさ、投げっぱなしエンドじゃないって。どれだけ悩みぬいた結末だったかってわかるだろ。
これ見て俺はさ。若林監督が、大戸アイが悩みぬいたその次元まで読み解けてないんだなって思ったわけよ。
ヤマト:……確かに、勘違いしてたかもしれない。ワンエグに対して向き合えてなかった。
というか、監督がここまで結末に関与してたと思わなかった。正直、あの脚本の野島伸司って人が悪いんだと思ってたわ。
たかはし:それなんだけどさ……
野島伸司を舐めるな
たかはし:もし野島伸司一人が主導権を握ってたら、あんなもんじゃ済んでない。
ヤマト:……え?
たかはし:だから、野島伸司本気出したらあんなもんじゃ済まない。舐めるな。
ヤマト:どういうこと?
たかはし:お前野島伸司作品ワンエグの他に何か見たことある?
ヤマト:ないね
たかはし:まずそこなんだよ。俺だってそうだったんだけど、今のアニメを見ている多くの層がきっと野島伸司作品に触れた経験が少ないんだ。
ヤマト:だってドラマの脚本家でしょ?そりゃアニメ好きな俺らとは交わらない。
たかはし:だと思うよな。でも、俺は野島伸司作品に触れていくうちに気づいたんだ。正直、1990年代において野島伸司はかなり圧倒的な影響力を持っていた。それこそドラマの脚本家という立場からアニメ・ゲーム界にも影響を与えるほどに。
ヤマト:ほうほう
たかはし:つまり、ワンエグは野島伸司がアニメ界に参戦してきたという作品じゃない。一時代をつくりあげてアニメ界にも多大な影響を与えてきた猛者が帰還してきたみたいな意味合いの方が強かったんじゃないかなと思うんだよね。
ヤマト:うーん、影響って具体的にはどんな感じに?
たかはし:例えばなんだけど、「鬱アニメ」って言葉あるじゃん。何か思い浮かべるものある?
ヤマト:あるね。パッと出るのは「SchoolDays」とか「まどマギ」とか?
たかはし:だいぶメジャーどころ選んだな
ヤマト:まぁ、鬱アニメって世間的にも言われてるようなものじゃないとネタバレになるからな。
たかはし:それらはどこら辺が鬱要素だと感じる?
ヤマト:そうだな……まぁ登場人物が悲惨な死を遂げるとか、辛い展開が連続して起こるとかかな?
たかはし:なるほど。ではここで有名な野島作品のひとつ、「高校教師」のあらすじを見ていこう。かなりボカシてあるし、わかりにくいところもあると思うけど。
たかはし:どうだった
ヤマト:そうだな……ヤンデレヒロインがでてくるのと、衝撃展開にが続くこと、あらすじには書いてないけど間違いなくハッピーエンドではないんだろうなということはわかった。
たかはし:これを1993年にゴールデンタイムのドラマ脚本として書き上げ、最終回ではなんと視聴率30%を記録したらしい。
ヤマト:恐ろしすぎるだろ。
たかはし:野島伸司はあの武田鉄矢の「僕は死にましぇん」で有名な「101回目のプロポーズ」等のトレンディドラマも手掛けているが、それらで売れてきた全盛期ではこういったハードな作風を展開しているんだ。
ヤマト:振れ幅エグいな
たかはし:しかも恐ろしいのがこれがただ陰鬱な展開にしたというわけではなく、当時の社会問題やタブー視されていたことに切り込んでいったところなんだよ。見ている側にはただのフィクションではなく、どこか不気味さすら感じるようなリアリティがあったはずだ。そして、それに影響されたドラマ作品が90年代の一時期に多く見られることになる。
ヤマト:先導者のひとりだったわけだ。
たかはし:そう。そして90年代でそういった路線のアニメ作品とかノベルゲーとかに思い当たりはないか?
ヤマト:……あるな。とくに90年代後半。
たかはし:うん。そう考えると90年代前半に「高校教師」「人間・失格〜たとえばぼくが死んだら」「未成年 」等を打ち出した野島伸司はその一連のムーブメントを作り出した一角だったと思うよ。
ヤマト:タイトルからして不穏なんだよな。
たかはし:ちなみに、僕が視聴した野島伸司作品のリストです。どれも面白かったけどどれもおすすめしません。見た人のメンタルが心配なので。
(好きだった順)
・高校教師
・未成年
・聖者の行進
・ラブシャッフル
・人間・失格〜たとえばぼくが死んだら
・お兄ちゃんガチャ
↓ワンエグ視聴前に見ていたもの
・プライド
・薔薇のない花屋
・101回目のプロポーズ
たかはし:で、野島伸司を舐めるなって話なんだけど。
ヤマト:はい
たかはし:恐らくね、今話してきた90年代の野島伸司作品なら
ヤマト:(ゴクリ)
たかはし:まず沢木はアイの母ともアイとも○○○してて、あ、小糸ちゃんとか百恵もか。で、色々なもつれからアイが母を○して返り血を浴びている時に沢木が駆けつけてそのまま夜逃げするよね。これで要素的には近親相
ヤマト:いや急になに言い始めてんの???(食い気味)
たかはし:いや野島伸司作品ならこれくらい起きたっておかしくないんだって。それか、オクラホマ踊り出したり急に選挙立候補演説エンドとか。
ヤマト:それは本当に何の話なんだよ。
たかはし:これは「ラブシャッフル」って作品。タワーマンションに住むカップル4組が、それぞれのパートナーを交換し合うことで自分たちの相性や愛情を確認したりするなかで様々な波乱の展開が巻き起こるドラマの最終回。
ヤマト:いやあらすじ面白そうなのになんで最終回で急に選挙に立候補して演説するの???
たかはし:俺だって聞きたいよ。でも「ラブシャッフル」は比較的万人向けだし、例の演説シーンも名シーンなのでおすすめです。
愛すべき結末
たかはし:まとめると、ワンエグの最終回は野島伸司脚本作品として見れば比較的綺麗にまとまってるんだ。
ヤマト:えー……
たかはし:それに、今までの話で出てきた社会的なテーマに切り込む姿勢、ワンエグにもあったよな。
ヤマト:そうだな。まぁ一番作品に絡んできたのは自殺。それからそれぞれのエッグの少女が抱えていたトラウマか。イジメ。パワハラ、虐待、性被害、自傷行為、性的マイノリティ……まだまだあるな。
たかはし:でも、それらって抽象的な描き方されてなかった?
ヤマト:確かに。そういうことなんだろうなって、察することはできる描写やせりふはあったけど、それぞれが直接的に描写されているシーンてほぼなかったな。
たかはし:そうなんだ。つまり脚本の時点からそういった要素は含むけど、あえて省略して書かれていたんだ。他にもワンエグは設定面含めて語らなすぎ部分が沢山ある。でも作品として破綻することはない。これは脚本家として圧倒的な技術力だと思うよ。
ヤマト:でもそれが気に入らなくもあるけどね。
たかはし:わかる。めちゃくちゃわかる。ただ、俺はそれもワンエグの魅力のひとつだと気付いたんだよね。
ヤマト:どういうこと?
たかはし:つまりさ、さっきの話から続けるけど、イジメとか虐待とか……そういったものってやっぱりいつまでもなくならない。程度が違えど、どこかに存在しているものなんだよ。
だから、テーマではないにしても、どこまでも等身大な14歳の少女たちの関係性を構築する上で、重要な要素だったんだと思う。
そういった要素は与えつつも、フォーカスは常にアイ達4人にある。
これはインタビューで語られてたことなんだけど、野島さんは
「普通の女の子の青春群像劇的な部分はドキュメンタリックに作ってほしい」とお願いしたそうだ。
ドキュメンタリックに作ってほしいというくらいなら、脚本の時点から説明っぽいセリフ等の「書きすぎ」な部分は極力省いているはず。
そして、さっきの野島さんのお願い若林監督は「キャラクターが勝手に動いているように見せていくこと」と捉えた。
それらの要素が合わさってワンエグのリアルな世界観や等身大なキャラクターに命が吹き込まれていったんだと俺は感じている。
ヤマト:なるほどな……ていうか、言われてて思ったんだけど、ワンエグって確かに色々なものが省かれていて、セリフ回しとかも最小限って感じだよな。
たかはし:そうだね。俺はさっき挙げたような昔のドラマ作品を見てからワンエグを再度見たとき、こっちのほうがリアルだなって思ったよ(笑)
ヤマト:アニメなのに実写よりリアルなの?(笑)
たかはし:いや本当だから。ワンエグはそこらへんグロテスクなまでに突き詰めているよ。正直、俺はそこらへん同じCloverWorks制作のアニメ「明日ちゃんのセーラー服」とは対極にあると思ってる。
ヤマト:というと?
たかはし:ワンエグと明日ちゃんを比べたとき、どっちのキャラクターがリアルっぽい
ヤマト:明日ちゃんじゃないかな。
たかはし:じゃあどっちの描写が現実的?
ヤマト:描写でいうと……明日ちゃんは透明感はものすごいけど、どこかオタクの理想を突き詰めたみたいな感じだと思う、だからリアルではないかな。逆にワンエグはSFなのにどこか息苦しささえ覚えるほどリアル。
たかはし:俺も同意見。ワンエグは外面は完全な虚構としてつくられているのにグロテスクなほどに現実的なシーンがあるんだ。一方で明日ちゃんはどこか自分たちの世界と地続きになっているようで、絶対に交わらない理想郷がある。
ヤマト:ワンエグはそうだな……確かに、俺らの世界と地続きになっていると思ってしまうような何かがあるな。
たかはし:そう。確かにあの季節に彼女達は居た。居たんだよ。だからこそ、全部説明してくれなくて良かった。それで終わりにされるならあの特別編のあとも大戸アイは闘っている。ねいるがきっとどこかで待ってる。その先がドラマCDの世界線に繋がってなくても、百恵が自分らしくいられる場所を見つけられたら、リカが生きることを諦めなかったらそれでいい。きっとどこかで彼女たちのこれからが続いている。命が燃えてる。
そんな可能性があるこの結末を愛していく。それが俺のワンダーエッグ・プライオリティという物語への最終結論だ。
とはいっても望んでしまう。
ヤマト:お疲れさまでした。
たかはし:いえいえ、こちらこそありがとうございました。
ヤマト:若林監督達が作りあげた等身大な世界観がオタクに無限の活力を与えるんだ……
たかはし:しかもこのアニメ何回見ても面白いしね。俺実は円盤3セット持ってるんだけどさ
ヤマト:……ん?
たかはし:だから円盤3セット。うち1セットは海外版ね。
ヤマト:……なんで?
たかはし:特典欲しさと……貢いでるみたいな感覚?
ヤマト:よくわからん
たかはし:で。俺はこの3セット分の金額間違いなく元とれるくらい周回してるからな。
ヤマト:計算方法がよくわからないけど、楽しそうで何よりです。
たかはし:うむ
ヤマト:結論出たところで悪いんだけどさ、じゃあたかはしさんはもうワンエグの続編とかは望まないわけ?
たかはし:そりゃ望んでるよ。
ヤマト:えぇ
たかはし:そりゃ彼女達の姿が見れるならなんだって出して欲しいよ。
新作アニメ!ドラマCD!小説版!新規ビジュアル!設定資料集!もうとにかくなにか!なんでもいいよ。なにかください……お金を払わせてください……
ヤマト:哀れなオタクだ……
たかはし:てかそうでもそう思わなきゃブクマした公式サイトを毎日巡回しないよ
ヤマト:いやあのサイト絶対更新されないだろ!いつまで特別編の制作決定バナー出てると思ってるんだよおい
たかはし:バカ!!あれがあるから、もしかして……って思えるんだろ。あれ見て今日も一日頑張ろうって思うんだろ
ヤマト:病気だろ
たかはし:まぁ、それでも唯一、これだけはと望むのはですね……
ヤマト:なんですか。
たかはし:一人だけ配布されていない川井リカの誕生日壁紙配ってください
おわりに
デーンデーデンデデンデーン デーンデーデンデデンデーン
(The Fratellisが流れる)
https://youtu.be/vhn_t9ZpUBE
たかはし:さぁエンディングですけども
ヤマト:へぇ
たかはし:どうでしたか、ちょっと熱く語ってしまいましたが。
ヤマト:そうですね……とりあえず一回、見直してみようかな。ワンエグ。
たかはし:いいですねぇ……ぜひ一緒に観ましょう。
ヤマト:お、じゃあいろいろ考察とかも聴かせてもらおうかしら。ねぇ。
たかはし:特別編の解釈バトルとかしましょう。
ヤマト:厄介
たかはし:いや、正直俺もようやくワンエグについて語れたなということで。実はね。今までも何度かこうブログとかにね、感想とか、二次創作とかあげたかったんですよ。
ヤマト:二次創作も。
たかはし:本当は今日、特別編放送から一年経ったということで二次創作小説を上げようかと思ったんですけど……一週間前くらいに急に書きたいことが増えすぎて書き終わらなかったです。
ヤマト:突然のカミングアウト
たかはし:でもなにかアップしたい。そう思って昼過ぎから書き上げたのがこれです。
ヤマト:もとからある奴を供養すればよかったのに
たかはし:考察とか書いたものもあるんですけどね。でもまぁ、今日書いたこの文章で、僕がこのアニメに思ってる気持ちをようやく形にできたのですっきりしました。
ここまでお付き合いいただいた皆さん。ありがとうございました。
良かったらワンダーエッグ・プライオリティという作品を見て、見直して、あの季節に囚われ続けましょう!!
ヤマト:台無しだよ。
たかはし:それでは、ミッフィーちゃん
ヤマト:夢でまたお逢いしましょう。アディオス。
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