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女子志願者を増やすには?【学生からの提言】|企業と連携したマーケティング講座



「デジタル・マーケティングの授業に出ていただけませんか?」

情報コミュニケーション学部事務室の職員Aさんが、入学センター(入試広報事務室)を訪ねてきました。いつもニコニコしている彼が、今日は何やら真剣な表情。

「マーケティングの授業を行うのですが、入試広報事務室も協力していただけませんか?」

開口一番、意外な言葉が飛び出しました。
授業に関わることが無い部署なので、突然のオファーに驚きです。

「情報コミュニケーション学部の『実践キャリア支援講座』という授業なんですが、毎回、企業の第一線で働く担当者をお招きするオムニバス形式の授業です。」

授業の内容を詳しく聞いてみました。

◆ 企業の方が実践的な知識を講義でインプット。ゲストは「株式会社博報堂DYメディアパートナーズ」「TOPPAN株式会社」「株式会社オプト」の方々。

◆実際のビジネス上の課題が提示されるので、学生たちはグループ単位で課題について議論。分析やソリューションを、企業の担当者にプレゼンする。

◆ 授業の統一テーマは「DX」。デジタルマーケティングを取り扱う。

◆ 講義を締めくくる最終回として、学生にも身近な「大学」をテーマに取り上げたい。

とても面白そうな授業です。何より、現役学生の考えは、われわれ職員としても気になるところ。
2つ返事でOKして、授業準備を進めました。

テーマ:女子志願者数の増加

さて、入試広報の担当者で、授業内容やテーマを検討します。
現役学生の知識や感性を活かすことができて、しかも、明治大学が抱える本物の課題は何か・・・。

ディスカッションした結果、「女子志願者数の増加」をテーマにすることになりました。

こちらのサイトをご覧ください。

近年、明治大学は女子からの人気が高まり、在学生に占める女子の比率が上昇しています。しかし、まだまだ男子の方が多いのが現状です。早慶MARCHの中では、最も低い部類です。

入試についてはどうでしょうか?

2024年度一般選抜における志願者数(延べ人数)は、男子69,935名に対して、女子39,224名でした。約1.8倍の差があります。

こうした数字をどのように評価・分析するかも含めて、在学生の考えを聞いてみたいと考えました。

<最終課題>
女子志願者を獲得せよ

これまで学習した考え方やフレームワーク、自身の経験などをもとに、女子志願者獲得のための戦略及び戦術(施策)について、「顧客」である入試広報事務室に提案せよ。

<条件>
◆ 提案の軸にデジタル・マーケティングの考え方を含むこと。
◆ 予算は●●●万円以内。
◆ 単年度内に実施できる施策が望ましい。
◆ 入試制度や大学組織の変更は不可。(明治大学にいわゆる「女子枠」はありません。)
◆ その他、複数の細かい条件を設定。

参考となる統計データや内部資料は、事前に受講者に共有しました。実のある提案をして欲しいので、包み隠さず、色々な情報を開示しました。

学生への提供資料の例①
(画像はぼかしてあります)
学生への提供資料の例②
(画像はぼかしてあります)

ちなみに、施策の範囲や方向性について、細かく指定することはやめました。課題の分析からターゲットの絞り込み、目標値の設定、ツール選定など、総合的な分析力・提案力を見たいと考えたためです。

どんな提案が出てくるのか、楽しみにしながら当日を迎えました。

企業とコラボ! 実践的に学ぶ

当日の様子に移る前に、「実践キャリア支援講座」について詳しく説明させてください。

情報コミュニケーション学部は、「情報社会における問題発見・解決」「学際的な学びを通じて、一つの問題に対して複数の観点からアプローチすること」といったコンセプトに基づき、自由度の高いカリキュラムを展開している学部です。

「実践キャリア支援講座」は、2024年度に新設されました。

この授業は、いわゆる「クオーター制」なので、開講期間は7週間(2024年度は9月25日~11月13日)。週に2コマ分の授業が行われます。

複数の講師が講義を担当するオムニバス形式で行われ、「DX」を共通テーマとして、多様な業界の企業・団体が協力します。

2024年「実践キャリア講座」の授業テーマ一覧

授業は2コマ連続で行われ、インプット(講義)とアウトプット(グループワーク、プレゼンテーション)のサイクルを何度も回せることが特徴です。

自分たちで調査・検討し、まとめ上げた施策を、第一線で働くプロにプレゼン。専門家からフィードバックをもらえるという贅沢な体験です。

他の授業回の講義資料や、学生のプレゼン資料も見せてもらいましたが、いずれも実践的でレベルが高く、着実に力がつく授業だと感じました。
アクティブ・ラーニング型の授業なので、受け身ではなく、積極的にコミットしていく姿勢が求められます。


大学生が考える「入試広報戦略」

当日のタイムライン

授業当日。11月13日(水)の1・2限が授業時間です。
早めに教室に向かい、授業の準備。・・・緊張します。

ちなみに、当日のタイムラインはこんな感じです。

9:00-9:15
 資料について説明(入試広報事務室)
9:15-11:10
 グループワーク、発表資料作成タイム
11:10-12:20
 各グループのプレゼンテーション
 質疑応答・フィードバック
12:20-12:30
 まとめ

グループは、講義の回ごとにランダムで組み替えられます。したがって、メンバーには初めて会話する人も含まれます。

学生たちは、2時間足らずの間に・・・

①課題の分析
②ターゲットや目標の設定
③ソリューションの設定
④発表資料の作成
⑤プレゼンテーションの練習

・・・を終わらせないといけません。

率直に言って、結構な無茶ぶりです。(事前に課題は提示しているとはいえ・・・)

事前課題資料について担当者から説明。
入試広報戦略のポイントを短時間で解説します。

正直、我々も準備段階では「本当に間に合うのかな?」と半信半疑でした。しかし、情報コミュニケーション学部事務室のAさんが「受講生のレベルが高い!」と力説するのを信じて、負担の大きいテーマを設定しました。

ディスカッション、そして発表へ

グループワークの時間、それぞれの班の様子を見て回ります。活発なディスカッションが繰り広げられています。

ディスカッションの板書①

板書を見ていると、ターゲットの絞り込みや、目標設定に関して、各グループの個性が出ていて非常に面白かったです!
やはり、青山学院大学立教大学をベンチマークとして、明治大学のポジションやアピールポイントを考えるグループが多かったような気がします。

ディスカッションの板書②

現役学生ならではの視点やツール選定も興味深いものでした。ターゲット(受験生)と年齢が近いという強みが活かされていたように思います。

グルグル巡回していたら、あっという間にタイムアップ。
プレゼン用スライドをクラウドにアップロードしてもらいます。

さて、どんな提案をしてくれるのでしょうか。

短時間で質の高いアプトプット

発表時間は1グループあたり7分間。その後、入試広報事務室(つまり、我々)から2分程度のフィードバックや質疑を行います。薄っぺらいコメントをしないように、講師サイドもドキドキです。

発表(提案)したのは全部で6グループ。じっくり紹介したいのですが、ここではポイントだけご紹介します。
本当は、ロジカルな分析過程が秀逸なので紹介したいのですが・・・泣く泣く省略です。

(注)
以下、青山学院大学や立教大学の名前が頻出しますが、これは入試広報事務室が誘導したものではありません。(本当です。)
データの調査やイメージ分析をする中で、学生たちからごく自然に、ライバル校として出てきました。
両大学が、それだけ多くの女性から支持されている・・・と捉えていただければと思います。


発表する学生の様子

①「ほぼ全学部でキラキラ留学ができる! 明治大学」

ターゲット:一都三県在住の高校1・2年生女子。留学に関心。
切り口:多様な留学プログラムを学生目線で紹介。ライバルである青山学院大学や立教大学は国際的なイメージがあるので、明治大学の魅力的な留学プログラムを押し出す作戦。

実際の発表スライド①

②「明治のイメージ戦略提案」

ターゲット:キャンパスライフとキャリアに関心がある関東の女子高生
切り口:「おしゃれさ」×「キャリア支援」の両立を目指し、イメージ刷新のための施策を打つ。

③「明治大学女子志願者を獲得せよ!」

ターゲット:地方の女子高生
切り口:青山学院大学や立教大学とターゲットをずらし、地方にアプローチ。「体験授業」「キャンパスツアー」などを活用。

実際の発表スライド②

④「デジタルオープンキャンパス」

ターゲット:青山学院大学や立教大学を目指す女子高生
切り口:明治大学のポジショニングを分析。「ほどよいキラキラ感」「居心地の良さ」といった要素を訴求する。

⑤「私たちのキャンパスライフ、のぞいてみませんか?」

ターゲット:MARCH志望の女子高生。モチベーションアップのためにSNSで大学について調べている。
切り口:ペルソナを明確に設定し、訴求ポイントやWeb・SNS戦略を総合的に提案。

⑥「明治大学女子志願者獲得に向けて」

ターゲット:青山学院大学や立教大学を目指す女子高生
切り口:学部構成に着目。両大学には無く、人数規模も大きい「商学部」を中心としてPRする施策。

発表の様子

いずれのグループの提案も、データに基づいており、しっかりとしたストーリーが読み取れました。

繰り返しますが、ワークは2時間弱。初めて会話するメンバーも多いグループで取り組んだ課題です。手前味噌になりますが、自慢させてください。明治大学の学生は優秀です。

もちろん、これまでの授業回で、各企業の講師の皆様がマーケティングの知識や思考技術をインプットして下さったからこそ、短時間で質の高いアウトプットに繋がったのだと思います。
学生の発表資料には、実際にマーケティングで利用されるフレームワークなどがふんだんに用いられていました。

この場を借りて、今回ご協力いただいた「株式会社博報堂DYメディアパートナーズ」「TOPPAN株式会社」「株式会社オプト」の皆様に感謝申し上げます。


関連するプログラム、記事など

MeijiNOW

今回の授業の様子は、明大生に関する情報を発信するポータルサイト「MeijiNOW」にも掲載されています。

授業や研究室紹介のほか、受験体験記や留学体験記など、さまざまな記事を発信しているので、ぜひ覗いてみてください。

マーケティングに関する模擬講義(夢ナビ)

今回の記事で「マーケティング」に興味を持っていただいた方向けに、ネットでご覧いただける模擬講義をご紹介します。

マーケティングは「販売を不要にする価値づくり」|商学部・加藤 拓巳 先生
◆ 世界の見え方が変わるのは国際マーケティング論から!|商学部・鈴木 仁里 先生

夢ナビ

商学部・マーケティングコース

今回の「実践キャリア支援講座」は情報コミュニケーション学部の授業でしたが、商学部にはマーケティングを専門的に学べる「マーケティングコース」が設置されています。


明治大学では、学生が主体的に参加するアクティブ・ラーニング型の授業を多数展開しています。また、学生が取り上げてくれたように、実は留学をはじめとするグローバルな教育も充実しています。

一流の教授陣によるアカデミックな学びや、企業などとも連携した実践的な学び、更には世界に飛び出すグローバルな学びまで・・・。

明治大学でチャレンジに満ちた4年間を送ってみるのはいかがでしょうか?


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