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台風クラブ 『初期の台風クラブ』

NEWFOLKが熱くなって、どれくらいだろう。
私がこの素晴らしいレーベルのことを最初に知ったのは、確か台風クラブの『初期の台風クラブ』ってアルバムだったと思う。

それまではTwo Door Cinema Clubに代表されるようなダンスロックっぽいのが主流だったけど、Suchimosが登場した辺りから昔の音楽を再構築したようなバンドが増えた。

台風クラブが全国の音楽ファンから注目を浴びたのはSuchimosの『THE KIDS』と同じ年、満を持して『初期の台風クラブ』をリリースしてからだ。

京都で結成した彼らのルーツは、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかニートビーツとかTHE HIGH-LOWSみたいな骨太のロックンロールらしい。インタビューを見ると、参加したイベントには毛皮のマリーズとかTHE BAWDIESの名前もある。
私の少し上の世代だが、メロコアにはあまり触れていない様子。
台風クラブが結成された2013年には、ロックンロールは主流から外れた物好きのジャンルになっていたと思う。少なくとも私の周りはそうだった。

そんな中、地道にライブの動員を重ねて、来たるシティポップリバイバルの流れで、台風クラブのようなオールディなロックも評価される時代が来たのだと私は感じた。



1.台風銀座
スカスカのローファイなサウンドに、うだつの上がらない歌詞ってのはアルバム通しての共通事項だけど、この曲は反則的にイントロがカッコいい。
何かベースの音が他の曲に比べてデカくないか? そこがまたたまらない。

2.ついのすみか
1曲目が荒さも感じるのに対して、こちらはよりポップな方向性の曲。トロピカルなサウンドに女性ボーカルのコーラスが入っているけど、爽やかとは縁遠い。モテない男の夏休みのようにも聴こえて、胸がキュッとする。

3.ずる休み
古き良き70's邦ロック。録音方法を変えたらGSの名盤に入っててもいいよなって思う。
面白いのが、途中リズムが変わってガレージ感が増すので、すごくワクワクさせてくれる。

4.台風クラブが作る、シティポップ。
結果的にへなちょこな感じがして力が抜けた感じがする。
ちょっとヒップホップな感じもある。

5.相棒
中村一義の『金字塔』にこんな曲なかったっけ? 彼もまた、日本語ロックを目指した偉大なミュージシャンだし、台風クラブが影響受けてても違和感ないよね。
間奏のギターソロがカッコいい。

6.春は昔
これでもかってくらいスッカスカのロックンロールに暇人のフラストレーション。
気だるげなメロディがオシャレなのが憎い。そのせいで、踊れそうなリズムに重さがある。
軽いようで重い。
ストロークスの『Is This it』の影響を感じる。通ってるのかな。きっと通ってるよね。

7.42号線
金がない若者の精一杯の青春をロックンロールに乗せている。ミッシェルの『GT400』みたいに「どっか行っちまえばいい」と言っているようでカッコいい。

8.処暑
先ほどとは打ってかわって、ゆったりしたナンバー。諦めたような歌詞が潔く、あっけらかんとしたメロディも力が抜けて心地いい。
と思いきやコーラスがカッコよくて、フェスの夕方にやってほしいナンバー。

9.飛・び・た・い
とにかくギターが印象的。カッティングもアルペジオもグッと来る。
ノスタルジックに浸りたくなるようなロマンチックなメロディなのに、へなちょこ歌詞とボーカルだなんて。マジで冴えない男のアンセムだよ。

10.まつりのあと
私調べによると、個性的なミュージシャンは締めの曲に尖った曲を持ってくることが多い。
台風クラブの最後の曲は、彼らっぽいエモって感じ。
これ聴きながら、夜中のコンビニで一人缶酎ハイを飲みたい。
そしたら多分泣くと思う。特に辛いことがあった時にはヤバい。
メロディと歌詞が、ビンビン琴線に突き刺さる。こういうロックンロールはマジ反則。嫌いな人いないんじゃないの? しらんけど。


まだ一回もLive行ってないから、今年行きたいな。

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