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「あがき抜いたその先」4年 貝出悠

「あがき抜いたその先」
政治経済学部政治学科 4年 貝出悠(松本山雅FC U-18)

こんにちは。
今回部員ブログを担当させていただきます。
政治経済学部政治学科4年の貝出悠です。

まず初めに、明治大学体育会サッカー部に関わる全ての皆様へ、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

最後の部員ブログということもあり、少し長くなってしまいましたが、ぜひ読んでいただけたら幸いです。

時が経つのは早いもので、引退まで残り一ヶ月余りとなった。
ふとこれまでのことが蘇ってくる。

自分は一般生であるため、練習生からのスタート。
定められた練習生期間などはなく、いつ「明日からもう来なくていいよ」と言われるかもわからない。
毎日、一分一秒が勝負で、言わばサバイバルのような状況であった。
入部したいという気持ち一心で、空いた時間を見つけてはグラウンドでボールを蹴り、走り込みをした1年の春の日々を今でも鮮明に覚えている。

そんな期間を約3ヶ月過ごし、最終ランテストに合格し入部を認められた。
ランテスト当日、そこにはスポーツ推薦でもない無名の自分のために叫んで応援してくれる先輩の姿があって、一緒になって走ってくれて、合格した時に自分のことのように喜んでくれた同期がいた。あの瞬間の言葉では表せないような感動、高ぶった感情は一生忘れることはないだろう。

あれから約3年半、一般生の条件の一つである「365日チームにポジティブな影響を与え続けられるか」というのを追い求めてきた。
しかし、周りに対して自分が影響を与えるということは決して容易なことではなく、現実問題とても難しいことであった。

入部する前よりも入部してからの方が大変になるんだぞ。
そう言っていただいた言葉はその通りだった。
影響を与える以前に自分の心がブレているようでは話にならない。自分のプレーがうまくいかなくて納得できなくても、後輩にポジションを奪われようが、自分だけ試合に出場できなかろうが、淡々とやり続けなければならない。弱音を吐いている暇さえそこにはない。自分の立ち位置がどうであろうと、いかなる状況でも常にTOPを目指し続ける。
それこそ明治のサッカー部の部員としてあるべき姿だし、変えてはいけないものの一つである。

そうはいうものの、正直しんどいことも多く悩んでばかりだった上に、自分の大好きなサッカーがどこか遠くに感じてしまう瞬間もあった。

自分が一般生としてこの部にいる意義や価値はなんなのか、別に自分じゃなくても良いのではないかと思ってしまうこともあった。そんな自問自答を繰り返し、自分が一般生として入部したからこそできることは何か、模索に模索を重ねた。

しかし、何をしてもどこか中途半端で、あれもこれも違うと自分の中で答えが一向に出ずモヤモヤが治まることはなかった。

ただ入部をして、ただの一部員では、自分が一般生として期待を込めて入部を認めてくださった気持ちを裏切ることになってしまうと、そこの狭間をずっと彷徨っていた。

ある時、作曲家の佐藤直紀さんの言葉を耳にした。
「あがいて、あがいて、あがき抜く」
「個性は出そうと思って出るものではない。
とことんあがき続ける中でにじみ出てくるものが、個性になるのではないか。」

自分が一般生でどうこうと頭の中でごちゃごちゃ考えていたが、とりあえず目の前のものに真剣にあがいてみよう。自分の考えはただの机上の空論にすぎなかったわけで、とりあえず考える前にやってみよう。そう思わせられる言葉だった。

一般生として個性を出し影響を与えようとしているうちは、まだ甘かったのかもしれない。やってやってやり抜いてみた先に、初めて個性であったり自分なりの自分としての影響力であったりというのが滲み出てくるのかもしれない。

「もがいて、あがいて、滲み出てくる、自分らしさのようなもの」
それこそ、価値ある個性であり、本物の個性なのではないだろうかと。

何かの問題に直面した時に、そこから逃げずに考え抜くことができる人、もがける人足掻ける人が、周りからの信頼や評価を高め続けていける人であると再認識させられた。

そして、この足掻ける環境というのが決して当たり前のことではなく、明治大学体育会サッカー部というこだわりを持った唯一無二の組織だからこそできることであり、そこに在籍している自分は幸せ者であると思うと共に、大変感謝している。

この先。

自分はサッカーではなく、ビジネスの世界で勝負する。そう決めた。
サッカーを始めた頃からプロになることだけを夢にずっとここまでやってきた。
これまでサッカーを続ける中で時には犠牲にしなきゃいけないものもたくさんあった。

しかし、自分はプロにはなれなかった。その事実は変わらない。
その現実からは絶対に逃げてはいけないような気がした。この先の自分のためにも。

プロを諦めたなんて自分の口から言った瞬間、これまで小さい頃から頑張ってきた自分をどこか否定して裏切っている気がしてならなかった。だから意地でも、ビジネスの世界も面白いし、そっちでも新たな目標ができたからビジネスの世界へ行くと口にした。面白さもあり目標ができたのは事実だが、自分が大好きで初めて、ここまでやってきて生活の中心であったサッカーで、この先に進めるのであればそんな幸せなことはないはずだ。

しかし、現実を受け入れるしかない。

そこの現実から目を背ければ、それこそこれまでの自分を否定しており、いかにも自分がダメかのようにうつる。

自分を曝け出して、全力で目指しても届かなかった。
だから、気持ちよく次のステージに行ける。そういうものだと思う。

プロを目指す今までの過程は、本当に価値のあるものだったと今になると思う。目指す過程で様々なことを学ぶことができたし、目指していた時間が無駄だなんて決して思わない。プロを目指した自分がいたからこそ自分は今ここにいるし、こんな宝物みたいな出会いや思い出がたくさんできたのだと思う。

ビジネスの世界に行くことは決して過去の自分を裏切ることではなく、新たな自分の再挑戦であると今は思っている。
同期が多くプロサッカー選手になり日本を背負う存在になっていく中で、自分も負けるつもりはない。ステージは違うが、自分もビジネスのプロとして第一線で活躍していきたいと思っている。もちろんビジネスの世界もそう甘くないことは未熟ながらにわかっているつもりだ。覚悟を持って飛び込みたいと思う。

残り一ヶ月余りを本気でやり切ることが、きっと、夢を持ち、サッカーに打ち込んでいた小さい頃の自分にも胸を張って、ビジネスの道へ進むと報告することができる気がする。

最後に一番忘れてはいけないのは、夢を見られるサッカーの環境を常に作り続けて、影に日向にサポートし続けてくれた家族、日頃より熱いご指導をいただいているスタッフ・指導者の方々、楽しい時だけではなく苦しい時も励まし合って一緒に乗り越えてきてくれた仲間、挙げていけばキリはないが、これまで自分と関わってきた全ての方に、心から感謝している。

自分を成長させてくれたサッカー、明治大学体育会サッカー部、様々な方々に対しての感謝と恩返しのためにも残された時間を必死に取り組んでいく。

長く、拙い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

次の4年生の部員ブログは、藤本颯真です。
主務として、常に部のことを気にかけてくれる、とても頼れる漢です。
そんな一面もありますが、普段は最高なキャラをしており、場を盛り上げる天才で、彼の右に出る者はいません。
そんな颯真の気持ちのこもった最後のブログをぜひご覧ください!

貝出悠(4年=松本山雅FC U-18)
政治経済学部政治学科。DF。

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