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君の隣。

数時間。
私の人生の中のまる3日間さえもない。
そんな時間でなにがわかるの。

それでも私には分かっていた。

やさしいこころと、その笑顔と、
すこし強引だけど、
あたたかい温もりが。

幻想だと思った。
夢の中にいるんだと思った。

自分で自分のほっぺたをつねってみたのは
この時が最初で最後だった。

ずっと忘れたくないのに、
忘れてしまうのは悲しくて、

忘れてしまえば楽なのに、
忘れるなんてできなくて。

同じ気持ちだったらいいのにな、って
こんなにも思う。


それでも
ただの重たい女に成り下がるのはごめんで、
強くて爽やかで軽やかでいたい。

だからもう追いかけるのはやめたんだ。

カッコつけてるだけって分かってる。

わたしは元気だよ、
毎日ハッピーなんだよって。

強がってる。


そんなくせして、
ずっと忘れられない君の隣に、
1ミリの希望を抱いて生きてしまう。
そんな私の脳みそをだれかぶっ壊してくれ。

あの時の思いが変わらなくても、
私は嘘をかぶって過ごすことができた。

その嘘の皮を脱ぐこともできたかもしれない。

でも大切すぎて、大切すぎて、
ほんの少しだけ触れるその手が
なによりも愛おしくて。

これ以上近づいたら壊してしまう気がして。

はじめて出会った日みたいに、
はじめて触れたみたいに、
その瞬間を初々しく感じたんだ。

今この瞬間を大切に覚えていようと誓った。

止まらないトキに流されて、
次のデートの約束だってままならない。

ただ「またね。」って手を振った。

出会わなければよかった。
こんなに忘れられないものがあるなんて、
知らなかったから。

苦しみと、切なさと、
会えない時間の長さには、
何も敵わないはずなのに、

君に会えた日には、その全てが
無かったことに変わってしまうみたいだね。

「またね」って離れたその距離が
また近づくその日まで。



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