【政府系金融機関】日本政策金融公庫の業務内容・強みと弱み・年収を解説
今回は日本政策金融公庫の業務内容・強みと弱み・平均年収等について解説します。
日本政策金融公庫への就職・転職を目指している方はご参考ください。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日付で設立された財務省所管の金融機関です。日本に5つある政策金融機関の一つです。
日本政策金融公庫の業務内容
日本政策金融公庫の業務内容を見ていきましょう。
【日本政策金融公庫の業務内容】
・国民一般向け業務
・農林水産業者向け業務
・中小企業者向け業務
・危機対応等円滑化業務
・特定事業等促進円滑化業務
国民一般向け業務
国民一般向け業務では、小規模事業者や創業企業に対して、融資を行います。
日本企業のほとんどは小規模事業者と言われており、総数として305万企業、割合として国内企業の85%を占めています。
民間銀行が融資できないような小規模事業者に対しても積極的に支援することで、中小企業の金融インフラとしての側面もあります。
また、新型コロナウィルス感染症によって資金繰りに困った企業に対しても、実質無利子・無担保の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」などで支援しています。さすが公的金融機関ですね。
農林水産業者向け業務
農林水産業者向け業務では、農林水産業者への融資、経営改善支援を行います。
農業では、天候や家畜伝染病の影響を大きく受けるため、突発的に収入が大きく減少することは珍しくありません。
日本政策金融公庫では、そうした被害を受けた農業者が経営を維持継続できるよう、農林漁業セーフティネット資金の融資等の支援を行っています。
また、農・林・水産経営のコンサルティングやビジネスマッチングを行っており、農林水産業者の業績向上を二人三脚で進めていく業務も担っています。
中小企業者向け業務
中小企業者向け業務では、中小企業に対して融資、信用保険、証券化支援を行います。
融資、信用保険では、中小企業の資金インフラとしてお金の貸し付けや借入の保証先となることで、事業資金の供給の円滑化を図っています。
また、中小企業者向け業務を通して証券化の支援を行った企業の約2割は株式公開を実施しており、日本を代表する企業の資金調達支援にも貢献しています。
■中小企業事業との取引を経て株式を公開した企業
危機対応等円滑化業務
危機対応等円滑化業務では、金融市場の混乱や大規模災害が発生した際に、財務大臣等が指定する金融機関に対して一定の信用を供与を行います。
具体的な業務は次の通りです。
【貸付け】
公庫が財政融資資金の借入等により調達した資金を指定金融機関に対し貸し付けるもの
【損害担保 】
指定金融機関が行う貸付け等に損失が発生した場合において、公庫が行って割合の補填を行うもの
【利子補給】
公庫による信用供与を受けて指定金融機関が行なった貸付け等について、公庫が指定金融機関に対し利子補給金を支給するもの
特定事業等促進円滑化業務
特定事業等促進円滑化業務では、特定事業促進、事業再編、そして開発供給等の促進を行います。
ややこしい名前が並んでいますが、様々な産業の経済活動を支援する業務です。
日本政策金融公庫の強み
日本政策金融公庫の強みと弱みを見ていきましょう。
強みから見ていきます。
政府系金融機関としての信用力
日本政策金融公庫の強みとして、政府系金融機関としての信用力があります。
どんなに赤字でも潰れない銀行であり、融資先企業も安心してお金を借りることができます。
まず真っ先に融資をお願いする先として浮かぶ銀行であり、国内で最も信用力の高い金融機関と言えます。
積極的なリスクテイク
積極的なリスクテイクの姿勢も日本政策金融公庫の強みです。
日本政策金融公庫は、民間企業では融資できないような創業間もない企業や零細企業にも、積極的に融資を行っています。
企業の大小・業種・業態を問わずに積極的に融資する姿勢が認識されているので、真っ先に相談される金融機関として周知されています。
日本政策金融公庫の弱み
融資の金利水準
日本政策金融公庫の弱みとして、融資の金利水準が挙げられます。
民間銀行ほどの柔軟性を持ち合わせていないため、融資ビジネスで民間銀行より劣ってしまうケースがあります。
IT化への対応
IT化への対応も日本政策金融公庫の弱みです。
社内のITシステムや営業ツールに関しては民間銀行よりかなり劣っており、アプリへの対応もできていません。
金融業界全体がDXやIT化への対応を急いでいる中で、ITシステム刷新へ消極的な印象があります。
日本政策金融公庫の平均年収
日本政策金融公庫の平均年収を見ていきます。
今回は、日本政策金融公庫が公表している有価証券報告書と口コミサイトに記載されている平均年収を参考にしています。
有価証券報告書でみる平均年収
日本政策金融公庫は、有価証券報告書にて社員の平均年収を公表しています。
日本政策金融公庫の平均年収は876万円です。金融機関として高水準と言えます。
年齢別の平均年収
年収・賞与ついて
初任給・福利厚生
【日本政策金融公庫の初任給】
総合職/地域総合職:191,300円
【生活関連制度】
借上住宅(独身用・世帯用)、資格取得支援制度
【休暇関連制度】
特別休暇、リフレッシュ休暇、産休・介護休暇
【資産関連制度】
各種社会保険完備
学歴フィルター
日本政策金融公庫には、外資系投資銀行や財閥系デベロッパーほどではないですが、確かに学歴フィルターが存在します。
実際に採用実績のある大学を見ていきましょう。
【国公立】東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学、東北大学、九州大学、北海道大学、一橋大学、神戸大学、広島大学、筑波大学、東京農工大学、横浜国立大学
【私立】
慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、学習院大学、同志社大学、関西大学、関西学院大学、立命館大学
もちろん、上記のような有名大以外の採用実績はあるものの、ボリューム層は難関大であるという認識は必要でしょう。
学歴フィルターは存在しますが、超高学歴でないといけないわけでもなさそうです。
日本政策金融公庫への転職
日本政策金融公庫への転職を目指す方に向けて、同社の中途採用情報をまとめております。
募集職種(中途採用)
日本政策金融公庫では、中途採用での募集職種を公表していません。
しかし、正規雇用労働者の中途採用比率を確認すると、入行者に占める中途社員の割合は毎年15%前後であるため、積極的に中途採用を募集していることがわかります。
有利になる資格
日本政策金融公庫へ転職するにあたって有利になる資格は次の通りです。
資格名 有利になる理由
銀行業務検定 銀行業務に必要な知識、技能を証明できるから
・証券外務員 金融業務を行う上で必携の資格だから
・証券アナリスト(CMA) 実務レベルの金融知識を証明できるから
・米国証券アナリスト(CFA) 実務レベルの金融知識と英語力を証明できるから
・CFP 高いレベルの個人金融に関する知識を実務力を証明できるから
・PB 富裕層営業に必要な知識を証明できるから
上記の資格は日本政策金融公庫に転職する上で有利になるので、積極的に挑戦しましょう。
まとめ
ここまで日本政策金融公庫の業務内容・強みと弱み・平均年収などをお伝えしました。
公的金融機関である同行は、民間とは異なった体質でフェアな融資ができるなど、やりがいのある業務が多いです。銀行キャリアを歩むには、ベストな選択肢だと言えるでしょう。
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