情報#01 | スペイン出産時の出生届~パスポート取得までのプロセス
スペインで出産される日本人の方のお役に立てればと思い、出生届の提出や新生児パスポート取得についてプロセスをまとめました。
(2023年9月にスペインの経営大学院 IESEに入学。在学中の2024年4月にバルセロナで出産。プロフィールはこちら。その他、海外出産・育児に関するお役立ち情報はこちら)
概要
出産前は、以下の2つの書類を準備しました
A. 戸籍謄本(アポスティーユ認証付き)
B. 婚姻証明(スペイン語)
出産後は、大きく以下3つのステップで進めていきました。
スペイン役所への出生届の提出
日本大使館/領事館*への出生届の提出
パスポート申請
*私たちは「在バルセロナ日本国総領事館」に提出したため、領事館のHPを参照しています。プロセスや必要書類は大差ないとは思いますが、「在スペイン日本国大使館」へ提出される方は、大使館のHPをご確認ください。
出産前の書類準備
A. 戸籍謄本(アポスティーユ認証付き)
Bの婚姻証明を領事館へ依頼する際の必要書類として、「戸籍謄(抄)本(発行後3ヶ月以内)」があり、戸籍自体の入手は必須です。
ただ、その後のStep1で、スペイン役所から戸籍謄本が求められるのかどうか、また、その戸籍謄本にアポスティーユ認証まで必要かどうかは、正直よくわかりません!
もしかしたら、戸籍謄本(アポスティーユ認証付き)がなくても普通の戸籍謄本で問題ないかもしれませんし、そもそも、領事館発行の婚姻証明があれば戸籍謄本は不要かもしれません。
ですが、私たちは”大は小を兼ねる”という考えのもと、念のためにアポスティーユ認証までしました。
以下の2点について、委任状を用意し、日本に住む私の両親に対応をお願いしました。
A1. 夫婦の戸籍のある市区町村への戸籍請求(郵送での依頼)
A2. アポスティーユ認証(郵送での依頼)
外務省 証明(公印確認・アポスティーユ)
委任状があれば、窓口での申請も可能ですが、私の両親が九州に住んでおり、全て郵送で対応しました。
手続きには2往復の郵便が必要なため、日数がかかる可能性があります。出産予定の約2.5か月前から準備しました。
あまり早く準備しすぎると「発行後3か月以内」の条件に該当しなくなるので注意が必要です。
私たちの場合、産後サポートのため母がスペインに来る予定があったので、アポスティーユ認証付きの戸籍謄本をハンドキャリーで持ってきてもらいました。
もし日本のご家族がスペインに来られない場合、アポスティーユ認証が終わった後、国際郵便で書類発送する期間を考慮する必要があります。
B. 婚姻証明(スペイン語)
オンライン在留届を登録後、婚姻証明(スペイン語)をオンラインで申請をしました。
窓口申請の場合、申請と受領のために領事館へ2回の来館が必要ですが、オンライン申請では1回の来館(受領のため)で済みます。そのため、来館回数が少ないオンライン申請を選びました。
オンライン申請から3営業日後、「審査が完了しましたので、申請先の在外公館までお越しください」というメールが届きました。
来館は予約制のため、電話で予約を取り、後日バルセロナ領事館へ証明書を受け取りに行きました。
<参考>
- バルセロナ領事館HP ~各種証明書
- オンライン在留届(ORRネット) :外務省が提供する在留届の電子届出システム。オンライン在留届を提出すると、パスポート・証明のオンライン申請も可能。
出産後の手続き(3ステップ)
出産後は、以下3つのステップで進めました。
Step 1. スペイン役所への出生届の提出
Step 2. 領事館への出生届の提出
Step 3. パスポート申請
Step 1. スペイン役所への出生届の提出
目的:
出生証明書(Certificación Literal de Nacimiento)の入手
提出期限:
出生24時間後〜72時間以内
提出先:
スペイン役所 (Registro Civil)
バルセロナの場合:Registre Civil de Barcelona
※私が出産した病院には、役所の出張窓口らしきものがあり、そこで提出しました (病院側での代理で手続きかもしれません)
必要書類:
パスポート(両親分)とそのコピー
NIEカード(両親分)とそのコピー
戸籍謄本*(アポスティーユ認証付き、3か月以内)
婚姻証明(スペイン語)
病院でもらう申請書類**
成果:
約2週間後、スペイン語版と英語版の出生証明書PDFが添付されたメールを受領
補足:
*アポスティーユ認証付きかどうか、発行日が3か月以内かどうか、を確認しない担当者もいるとのこと。担当者ガチャがあるようです。
**私たち夫婦はスペイン語がわからないため、私の大学のスペイン語話者の友人に手伝ってもらい申請書に記入をしました。また、役所の出張窓口に提出に行く際も同行してもらいました。(私は病室から出られなかったため、夫と友人に手続きをお願いしました)
Step 2. 領事館への出生届の提出
目的:
戸籍への反映(赤ちゃんの氏名等を夫婦の日本の戸籍に記載)
提出期限:
出生の日から3か月以内
提出先:
在バルセロナ日本国総領事館
必要書類:
出生届
出生証明書 ※スペイン役所 (Registro Civil)発行
同上抄訳
出生した病院の名称と住所がわかる資料(封筒・名刺等)
<参考>
- バルセロナ領事館HP ~出生届
成果:
約1.5ヶ月後、戸籍に反映
補足:
下書きチェック:
出生届を提出する前に、領事館にメールで下書きを送り、事前チェックを受ける必要がありました。領事館にメール送付後、2回ほど電話で確認依頼をしましたが、すぐに対応してもらえず、修正のやり取りも含めて下書きチェック完了までに2-3週間かかりました。
役所への戸籍反映の確認:
日本国内で出生届を提出する場合は、戸籍反映は1週間程度で完了しますが、海外で出生届を提出する場合は、戸籍反映にかなり時間がかかります。私たちは早くパスポートを作成したかったため、出生届提出から3週間後、夫婦の戸籍のある役所の戸籍課に電話して進捗を確認しました。しかし「うちの役所には、まだ出生届の情報が届いていない」と言われました。海外から日本の市町村区に書類が届くのにも相当な日数がかかることがわかりました。
その後、こまめに役所へ電話で問い合わせ、戸籍反映後すぐに戸籍謄本を郵送してもらえるよう、担当者と調整し、事前に「戸籍謄本の郵送依頼」の手続きと発行手数料の支払いをさせてもらいました。戸籍反映後のものを迅速に郵送してもらうことができました。
原本の国際郵送とスキャン受領:
日本に住む妹に戸籍謄本を受け取ってもらい、それを国際郵便でスペインまで送ってもらいました。
またStep3のオンライン申請を先に進められるよう、発送前に、戸籍のスキャンをメールで送ってもらいました。
Step 3. パスポート申請
目的:
パスポートの取得
提出期限:
特になし
提出先:
在バルセロナ日本国総領事館
必要書類:
旅券新規申請書
戸籍謄本 (6か月以内)
写真
<参考>
- バルセロナ領事館HP ~旅券
成果:
約3週間後、審査完了の連絡があり、来館予約をしてパスポートを受領
補足:
オンラインで申請しました。
窓口申請の場合、パスポート規格に合わせて赤ちゃんの写真を取るのが難しいため、写真館でプロに写真を撮ってもらった方が良いと先輩ママからアドバイスをもらっていました。
しかし、オンライン申請では、スマホに専用アプリをダウンロードし、アプリ上でで写真が取れたので写真館に行く必要がありませんでした。
娘を白いシーツの上に寝かせ、アプリ上の顔サイズの補助線に合わせて”数撃ちゃ当たる”の精神で何枚も写真を撮り、目がちゃんと開いた写真を採用しました。
リードタイム
最短で動き、かつ領事館/役所に何度もフォローの電話をした場合でも、パスポート受領までに約13週間かかりました。
※2024/3/24から仕様変更に伴いパスポート交付の必要日数が増加する見込み。詳細は下記の補足をご覧ください
”最短で動き”というのは、具体的には、「Step1で出生証明書を受領した翌日に領事館へ下書きチェック依頼」したり、「原本が手元に届く前に、スキャンした戸籍を使いパスポートのオンライン申請を実施」などです。
もしかしたらゴールデンウイークを挟んだこともあり通常よりも時間がかかった部分があるかもしれませんが、頑張った結果のリードタイムが約13週です。改めて、時間がかかるプロセスだなと感じました。
ご参考に、各ステップ毎の詳細のリードタイムを共有します。
Step1. スペイン役所への出生届の提出
出生後2日目に提出
出生後2週目に出生証明書を受領
Step2. 領事館への出生届の提出
出生後2週目にメールにて下書きチェック依頼
出生後5週目に下書きチェック完了
出生後5週目に出生届を提出
出生後10週目に反映後の戸籍受領 ※日本に住む妹が受領
出生後11週目に戸籍原本を国際郵便で受取
Step3. パスポート申請
出生後10週目にオンラインでパスポート申請
出生後13週目に審査完了通知受領
出生後13週目に領事館にてパスポート受領
補足:
2025/3/24からパスポート仕様変更に伴い、さらにリードタイムがかかるようです。
パスポートなしでの国内移動/日本帰国
パスポートができるまで、こんなに時間がかかるなら、その間、どこにもいけないのか?と心配になる方もいるかもしれません。しかし、赤ちゃんのパスポートができるまで、飛行機に乗れないかというと、必ずしもそうではありません。
スペイン国内移動
パスポートができる前に、飛行機でマドリードまで行く予定がありました。その際は、スペイン役所で発行された出生証明書を使用して搭乗しました。
イベリア航空HPにある「国内線を利用する14歳未満の子供はパスポートを所持する必要はないが、他の方法で身分を証明する必要がある」という記載を読み、パスポート発券時期が読めないときに航空券を購入していました。
しかし、実際にパスポートが間に合いそうにないことがわかり、フライト当日に娘だけ搭乗拒否されたらどうしようと不安になってきました。
そこで、事前にイベリア航空に「身分証明の方法は、出生証明書で問題ありませんか?」と問い合わせをしました。「出生証明書で搭乗できる」との回答を得ることができ、そのおかげで、当日は安心して搭乗手続きを行うことができました。
航空会社によってルールが異なる可能性があるため、国内移動のご予定がある場合、ご自身でご確認ください
日本への帰国
バルセロナ領事館のHPによると、日本への緊急の帰国に関して、出生届が受理されていれば、「帰国のための渡航書」を発給してもらえるようです。
※私たちは日本へ帰国しなかったため利用していません
番外編:おもしろい動画発見!
スペインはお役所での手続きが大変な国です。
担当者によって言うことが違い、必要書類に正解がありません。。
たまたま発見した、このYouTube「スペイン人あるある~申請手続きをするとき」が、本当にあるあるで面白かったので共有します。
手続きには全く関係ないので、お時間のある人のみご覧ください!
#スペイン #バルセロナ #海外出産 #海外子育て #パスポート #出生届