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メイブリックマムとの出会い~すべては一目惚れならぬ一耳惚れから始まった

2022年12月。
仕事を終え帰宅すると
いつものようにキッチンに向かいご飯の支度をはじめた。

家事のお供はラジオと決めている。
昔から無音空間には恐怖感を覚える体質。
だがテレビは視覚に訴えてきて仕事そっちのけになるので
聞き流しができるラジオが私には合う。

午後6時台の地元ラジオ局による音楽情報番組は
男性パーソナリティの軽快な声が心地よく
仕事疲れの身を委ねられるような感覚すら覚える。

さて、ご存じの方も多いとは思うが
ラジオ局にはその月の推薦曲
(パワープレイ、ピックアップとも呼ばれる)がある。

各局で毎月審議されて決まるそうだが
推薦曲に選ばれると何十回、何百回と耳にする機会に触れるので
否が応でもその曲を覚えてしまう。

たとえそれが
無名のアーティストの作品であったとしても。


1年を締めくくる月は日ごと寒さが染みる。
そんなある日、いつものようにラジオを聴いていると
キャッチーなリズムに澄んだ男性ボーカルが乗っかった曲が
唐突に耳に飛び込んできた。
どうやら12月の推薦曲のひとつらしい。


~屈折する光が立ち込めて
影った世界でも凛と立つ 白鳥のように
優れてたい 異なってたい
二兎追うもの 一兎をも得ず
やがて僕は 醜いMonsterと化すのだ~


全くもって初耳な一曲。
だが高音が冴えるこの声、どこかで会ったような気がするのだ。
わずかなフレーズにもかかわらず私の中に
なんとも言えない戸惑いと…そして衝撃が走った。

曲を聴き終えた私はひとりのシンガーにたどり着いた。

「ヨンス、活動再開したの⁉️」 

ヨンスとは言わずと知れたSuchmosのボーカル。

都会的なセンスの光るバンドで
私を含め多くの人をしていたが魅了していたが
2021年に惜しまれつつ活動休止している。

ラジオで流れるその曲はSuchmos時代とは異なり
骨太というか、攻めてくる感があるが
まあ、ヨンスも新境地を開拓したいのだろうな。
なんて随分お気楽な気持ちで捉えていた。

そんな衝撃な曲との出会いを果たした私は
ラジオを付けるたびに耳にすることが至福と思えるようになった。
今日は朝から5回も聴けたな、ラッキー☆
耳が、そして心が喜んでいるのをしっかり感じ取っていた。

ロングバージョンでは間奏のギターソロまで流れるのだが
このギターが小気味よく高揚感と躍動感がある。
もうとにかくカッコイイ。

耳が惚れた1曲、
これ見つけた人すごいセンスあるわ!

と同時に、何度も聴いていくうちに
この声の持ち主がヨンスではないこともわかってきた。
確かに似てる、けどヨンスではない。
じゃあいったい誰なの!?


師走はその字のごとく1日1日があっという間に過ぎ去り
2022年も残すところあと10日に差し掛かろうとしていた。

【続く】


メイブリックマムとの出会いはラジオでした



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