【メイブリックマム】ホールワンマン直前!才能が冴えるフォーラス路上ライブ
「休みの日は街に出ない」
平日仕事で街中にいる私は
休日にまで人混みの中を歩きたいとは思わない。
よほどのことがない限り
バスの定期券は私と一緒の週休2日制だ。
そんな頑ななポリシーを持った私が
まさかの土曜日に金沢駅周辺を闊歩している。
2023年2月18日。
人混みを嫌う私をここに誘い出したのは
言うまでもなく「彼ら」だ。
ついにリアルなメイブリックマムに会える日が来た。
あの日、キッチンに立つ私の心を鷲づかみにした
歌声を生で聴ける時がキターーー❗
ああどうしよう。
今からもうドキドキする。
はやる気持ちを落ち着かせるため
駅西商業施設クロスゲート内のスタバへと逃げ込む。
そこでコーヒーとスイーツをいただき
優雅に心を整える…つもりが
開始時間を勘違いしていたことに気づき
スイーツをコーヒーで流し込み
駅構内を西から東へ突っ走る。
この姿のどこが整ってるんだっつーの。
お昼12時。
滑り込んだ金沢フォーラス前の特設ステージには
わらわらと人が集まっている。
ステージはめちゃめちゃ近い。
さらに雛壇もないので目線も同じ。
緊張がさらに高まる。
今からここで始まるんだー!!
同じ空間を味わえるだけでも至福。
けれども…
若くもない私があの輪に入ったら浮きそうだなあ。
そこから先への一歩が出ず、私は遠慮がちに
やや離れた場所から彼らを見ることにした。
まもなくパーカー姿の大史くんとギターを抱えたONくんが登場。
ステージにはキーボードもある。
大史くんはキーボード横に置かれたカホン(※)に腰かけた。
今回はアコースティックライブなので
リードギター武瑠&ベースのタイゾーの演奏はない。
寒空の下にギターの演奏がはじまり、それに続いて
大史くんの澄んだ歌声が場内に響き渡った。
その第一曲目に私は動揺を隠せなかった。
~長く甘い口づけを交わす
深く果てしなくあなたを知りたい~
ちょっと待って。
ねえ大史くん。
なぜ私がオリジナルラブ好きなことを知っているの⁉️
(…知らんがな)
オープニングはメイブリックマムの曲ではなく
オリジナルラブの名曲「接吻」。
オリジナルラブといえば
20代前半の私が心底傾倒していたアーティスト。
CDだって何枚も持ってるしライブにも行ったことがある。
ジャズ要素たっぷりのお洒落なサウンドと
田島貴男の気だるい独特な歌声があの頃の私を魅了していた。
そんな、君たちが生まれる10年も前の曲を歌うなんて
完全に想定外なんですけどー!!!
もうダメだ。。。
いきなりノックアウトされた私は
遠巻きで見ていることに耐えられなくなり
じりじりとステージへ近づいていった。
若い人が多いと敬遠していたオーディエンスだったが
よく見渡すと彼らの親世代とおぼしき人たちも多いことに気付く。
心の中でホッと一息つき、その輪に交じって
高校生アーティストのライブを楽しませてもらうことにした。
オリジナルラブの後は玉置浩二の「メロディー」
伸びのある大史くんの歌声が駅前に冴えわたる。
とても18歳とは思えない完成度の高さにただ聴き入るばかり。。。
なんで歌声だけでこんなに人の心を揺さぶれるんですか???
その後はメドレー。
「Just The Two of Us」からはじまり
丸の内サディスティック、夜に駆ける、白日、
そして今夜はブギーバック(小沢健二!!)といった
新旧織り交ぜた老いも若きも楽しめるテンポのいい選曲。
いろんな曲が混じっているのにもかかわらず
まるで1つの歌のように違和感なく、
むしろ心地よく感じたのは私だけでしょうか。
カバー曲でたっぷり聴かせた後はお待ちかねの
メイブリックマムオリジナルソングだ!!
まずはメイブを知ったきっかけでもあるMonster。
何度もラジオで耳にした
ギターとベースが利いたオリジナルとは異なり
パーカッションとアコースティックギターのシンプルスタイル。
なのにノリがよく、力強いナンバーに仕上がっていて
違ったバージョンで聴けるのもライブならではの醍醐味!!
あっという間のラストはMyName。
ONくんのキーボードが時には切なく、時にはテンポよく響き
その上に大史くんの歌声が乗る。
なんで座っているのにこんなに伸びの良い声が出せるのだろう?
現役高校生だなんて嘘なんじゃない!?
2人の圧巻のパフォーマンスを目の当たりにしていろんな感情が交差する。
そりゃ観光客がつい足を止めるのも当然だよねー。
そして何より
ONくんの守備範囲に広さに驚かされた。
メイブではドラム担当の彼。
可愛いルックスからは想像できないパワフルな演奏で
見る人を驚かせているが
今日は彼のマルチプレイヤーぶりをまざまざと見せつけられた。
しかもどれを演奏していてもとにかく楽しそうなのだ。
大史くんにしろ、ONくんにしろ
音楽をやるために生まれてきたのではないか!?
そう思った人は私だけではないだろう。
ライブが終わるとリードギターの武瑠くんが
無口でホールワンマンのフライヤーを配っていた。
「無口で」というところがいかにも彼らしい。
(なおタイゾーくんはこの日不参加でした)
18歳のモンスターバンドとの初対面は
アコースティックといった「静」の印象を覆す
とても熱のこもった30分だった。
街中の雑踏をすり抜け、足を運んだだけの価値がある。
リアルだからこそ伝わる音や歌声の響き、熱量、
周囲の応援、場の一体感…
これはラジオやYouTubeといった媒体では到底伝わらない。
だとしたら
4人揃ってバンドスタイルで行ったらどうなるのだろう?
想像するだけでワクワクが止まらない。
期待はますます大きくなるばかりだ。
ホールワンマンライブまであと2週間。
2月の風はまだ冷たく頬をかすめるが
3月を迎える頃にはきっと温かさも含んでいるだろう。
今年の春の訪れをぜひとも最高のライブで迎えたいな。
そんな想いを胸に金沢駅を後にする。
帰路のバスに揺られながら私はただただ
心地よい余韻に浸っていた。
※カホン…木の箱に丸い穴が一つ開いたペルー発祥の打楽器
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