ジャスコ
この間書いた「向日町」と同じような話がもう一つある。京都駅を挟んで反対側、JR湖西線が滋賀に入って最初の駅が「大津京」駅だ。ここは2008年まで「西大津」駅だった。至近には京阪の「皇子山」(おうじやま)駅もあって、そちらも2018年に「京阪大津京」に変わった。
この大津京駅のすぐそばには「イオンスタイル大津京」があるが(現在建て替えのため休業中)、かつての名は「ジャスコシティ西大津」だった。ジャスコ。イオンというと母音とn音の組み合わせで、柔らかかつ都会的でおしゃれな雰囲気がある。一方、「ジャスコ」は有声摩擦音からはじまり、無声音ふたつで締める。小売業としての力強さと、どこか親しみを持てる少し抜けた雰囲気を併せ持っている。口に出したくなる店名である。ジャスコ。ここにも家族で時折訪れていた。つまり、「西大津のジャスコ」も私にとって「向日町のサティ」と同じ存在だった。しかしここも2016年の改装を期に今の店名になった。「西大津のジャスコ」は、(公式には)もはやどこにもなかった。
しかしその後、私は意外なところから「公式ジャスコ」と出会うことになった。クイズ番組「東大王」に2019年から新たな東大生メンバーとして出演開始した、当時文学部4回生、林輝幸さん。彼は、初出演の回で、ある問題の答えだった「ツイスト(ダンスの種類)」が思い出せず、咄嗟に頭に浮かんだ「地元のスーパーの名前」の「ジャスコ」と解答した。そのインパクトは、司会のヒロミ氏をもってして彼を「ジャスコ」と名づけせしめるに十分だった。この誤答については本人も相当悔しい思いをしていたそうだが、その少し後に開設したTwitterアカウントは@jusco_hayashi、ヘッダーはジャスコの写真と、もはやすっかり受け入れてしまっているようだった。(そのあたりのことはこちらをご参照ください↓)
それから、ジャスコといえば林さんのことをまず思い出すようになった。語感のよさも幸いしてかこの愛称は視聴者に浸透し、林さん自身も思い入れがあるそうである。Wikipediaの「ジャスコ」(スーパーの)の記事では、関連項目として林さんの記事が挙げられている。いまや林さんは日本に存在する唯一の「公式ジャスコ」といっていいだろう。世界から消え去り、忘れられていくばかりの「ジャスコ」という名の記憶を、しばらくは林さんが繋いでくれそうな気がする。
あるイベントを観覧した際、林さんと直接お話する機会があった。すでに私以外にもたくさんのファンに声をかけられていたにもかかわらず、優しく対応していただいた。気取らない、気さくな方で、テレビやYouTubeでの柔らかな印象そのままだった。この素朴な感じもまた、「イオン」よりは「ジャスコ」を感じさせた。ただそのあだ名を持つというだけではなく、私たちが「ジャスコ」に感じていた親しみを思わせ、林さんはもはや「ジャスコの擬人化」と言っていいかもしれない。かつてジャスコを訪れていた一人として、そういう人になりたいな、と思う。でも、やっぱりイオンにも憧れちゃう。
[追伸]
真面目に説明すると、林さんはQuizKnock所属を経て、「Q星群」代表として活動しておられます。クイズと麻雀が強い、とてもすごい方です。
(この記事は林さんのお誕生日の7/2に出すつもりで忘れてました。お誕生日おめでとうございます!)
Youtubeチャンネル ↓
林さんの出ているQuizKnockの好きな動画も置いておきます。両サムネで存在感を放っているのが林さんです。