見出し画像

そろそろ『ピンク』を許そうと思う

ずっと『ピンク』が嫌いだった。

小学生の頃から黒が好きで、自分のタンスには母が呆れるほど黒い服ばかり入っていた。
色みのあるものでも、濃い青色とか。

実家は田舎なので、スーパーに併設された洋服売り場か、商店街にある高齢層向けのブティックくらいしかなかったから、洋服に興味が持てなかった、というのもある。

画像2

中学高校でファッションに興味を持ち始めても、やっぱり環境は変わらなかった。
それもあって、母が使わなくなったミシンで見様見真似で洋服を作るようになったのはその頃からだ。

それでも、選ぶ生地は黒か青か、濃い赤色。たまに緑。ピンクは絶対に選ばなかった。

ミシンを持って上京して、それまで抑圧されていた私は衣装道楽に走った。

ゴスロリ、パンク、ナチュラル、和服。

学生〜新米社会人のお金のない時期は、リサイクルショップで買ったり、相棒のミシンで作ったりして楽しんでいた。
ヲタクらしく、コスプレもするようになった。

ここでようやく、黒以外を着れるようになった。
この頃から白を着ていても平気になった。
明るい色でも着たいと思えるようになった。

それでも『ピンク』は選べなかった。

ロリィタファッションを着るようになって、ようやく白ベースにピンクの花柄を選べるようになったし、作ったりもした。
何度か頑張って着たりもしたけれど、あまりにも似合わなくて、すぐ着なくなった。

画像1

『ピンク』がやっぱり許せなかった。

ピンクは可愛い色だ。
優しくて、柔らかくて、儚くて。

自分とは全然違う。

ピンクを選べる人は、素直にすごいと思っていた。
だって、可愛くて素敵なその色を選んでも、ちゃんと着こなせるんだから。

自分には無理。

顔が濃いのもあるけど、自分はそんなに可愛くない。
優しくない。柔らかくない。
自分の顔は、好きじゃない。

雑誌の通りにメイクをしても、舞台メイクかと思うくらいに濃くなってしまう。
薄くメイクしても「しっかりメイクしてるね」って言われるから嫌だった。
上京してすぐ外国人に間違われたのを、いまだに根に持っているくらいだ。

でも最近。ようやく。

『ピンク』を許せそうな気がして、昨日、ピンク色のトップスを買った。

画像3

白地にピンクの柄じゃなくて、ピンクの生地で無地のものだ。
明確にはラベンダーだけど、私的にはかなりのピンク寄りである。

好きになるとかじゃなく、許す。
許容する、の許す。

自分の顔を、好きなことやってきて、自信がついてきた顔が「悪くないな」と思えるようになったからだと思う。

基本的に自分に自信がない。

なんでも出来たし、やってきたけど、やってみたら出来ちゃっただけで、誇れるようなことは何もなかった。

でも。

デザイナーとして独立、フリーランスになって10年経った。
今年で11年生。

やりたかったこと・好きなことでお金を稼いで、それを同じようにやりたいと思う人に教えられる立場になって、ようやく、ああ、私は自信を持っていいのだ、と思えるようになったから。

やっと自分を許せるようになった。
「悪くないな」と思えるようになった。

だから、そろそろ『ピンク』を許そうと思う。

いいなと思ったら応援しよう!