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ベン・ホロヴィッツ 「Who you are」 日経BP
シリコンバレーの VC として名高いアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者である、ベン・ホロヴィッツ氏による、"The Hard Things about Hard Things" に続く書籍が登場しました。その名も "Who you are" (フー・ユー・アー)。
本書はレビュー用に日経BP様からご恵贈いただきました。いつもありがとうございます
原題は "What you do is Who you are" つまり「なにをするかが、あなたが何者であるかだ」という、直球のタイトルなのですが、日本語ではそれが前作同様縮約されて「Who you are」になっています。
これだと「あなたは何者であるのか?」と問いかける側面も出ているのが、非常によいと思います。というのも、本書のテーマはまさに「あなたは何者か?」「何をするのか?」を問いかけているからです。
今回のテーマは会社組織や、人間のグループにおける文化の作り方です。たとえシリコンバレーの、似たようなプロダクトをつくっている会社であっても、その文化や組織の慣性は異なります。そうした組織文化をどのようにして醸成するのかを、リーダーの視点で描き出しています。
前作、"Hard Things" はホロヴィッツ氏自身の起業にまつわる地獄のようなプレッシャーとの戦いを正直に描いたものでしたが、今回は歴史上の逸話や監獄のような意外な環境に題材をとっているという違いもあります。
ホロヴィッツ氏がどうしてこうした題材のとりかたを選んだのか最初は不思議に思いますが、すぐにその真意はなっとくできるでしょう。
それはビジネスの環境がよいとき、悪い時、変化が激しいときといったように、どんな状況においても変わることがないものが組織の文化であり、状況に対して我々を柔軟に着地させるものでもあるからです。
わたしももう少し深く読み込むところですが、数々の難局をくぐり抜けてきた一線の人物による指導者論、チーム論、文化論には、学ぶところが多そうです。
困難な世界に直面しているからこそ読みたい一冊。外に出かけずに読むのはいかがでしょう。