素読みルール説明には何が足りないのか? :ゲーム説明書の文章力アップ術(ゲームのルールの伝言ゲーム)
こちらはアナログゲームマガジンの連載「ゲームのルールの伝言ゲーム」の22回目、途中から有料となります。文字数は約4,700字です。
はじめに
「ゲーム説明書の文章力アップ術」と題して、テクニカルライティングについて語る3回目です。
今回は、いわゆる「素読み」についての話です。
ゲーム会とルール説明
私事ですが、ゲーム会の主催を再開しました。世間がコロナに過敏でなくなってきましたし、自分が積極的に遊びたくなったためです。
参加人数は多くなくてOKで、4人いれば決行です。というのも、ゲームの持参・ルール説明は控えつつ、楽しみたい人も多いです。そのため、人数が多くなるほどに、主催自身がゲームに参加するための卓分けなどの調整が難しくなるのです。
ルール説明書を読み解くということは、コツが要ることが多いです。加えて、ルール説明、通称「インスト」についても、次の2点の理由からハードルが高いと感じる方が多いです。
他人の知らないゲームについて、相手に合わせて説明し、不備なく理解してもらうことは大変そう
聞き手が、一定レベル以上の説明を求めていることが多い
1についてはこんな記事もある=コツが要ります。
2についてです。
一言で言うと、「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視。説明者が遊んだことのないゲームであっても、事前に説明書をある程度読んで理解した上で話すことが前提となっています。
ほとんど読んでこない状態で説明書を読み聞かせる、通称「(素)読みインスト」は不評です。スムーズに説明できず、時にルール間違いが起こるため、参加者全員の時間と機会ロスになりかねません。
私もゲーム会でうまくルール説明できず、悲しい思いをしたことがあります。それをバネに、前もって読んできて自信が一定以上あるゲームしか持参しないことにしています。
それでも、並のボードゲーマーさんよりは積極的にインストする方です(その代わり、和訳やサマリー作りは頑張りません)。
原則、素読みインストはしません。丸暗記はできないので、時折説明書を参照しつつ説明します。
自発的にルール説明してくれる方はすごいんです。
しかし素読みにチャレンジした
素読みアンチのはずの自分が、先月(2022年12月)、自分で素読みする体験をしました。
『ウェザーマシン』という長時間ゲームです。
理由は以下の二つです。
この、ラセルダ氏作のゲームは、説明書を読むのも内容を理解するのも大変です。事前に読んでおく気がなかなか起きないだろうと思ったから
マナーを守り、同卓者一人の素読み同意を得ていたため
積みゲーになるのを回避するため、こうして頑張りました。
しかし、無策でやってみたわけではありません。メギス氏作の、ありがたい「インスト台詞」を読み上げました。
適宜説明書も見ながらであり、説明に2時間かかりました。ちゃんと遊べました、ありがたい限りです。
やってみて分かったことがあります。ルールを全く理解せずに使うことには適していません。読み手が分からないまま、聞き手に伝えるのは難しいのです。自分が浅はかでした。
ボドゲーマというサイトに多く載せられている、「読むだけでルール説明になる」というルール説明文でも同様でしょう。
ルール説明書が分かりやすい部類で良かった。
説明書と、「読むだけインスト」、何が違う?
ということで本題です。
この、口頭で読み上げるためのルール説明用の文章と、黙読することの多い説明書の間に、どんな違いがあるのでしょうか。
いつも通り、表にまとめてみました。
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