【3公演演出対談】劇団ケッペキ 巡れや、繋げ連続三公演企画
劇団ケッペキでは、「巡れや、繋げ連続三公演企画」と題して、2023年9月30日(土)から10月22日(日)にかけて、『RENT』『SHOT』『きみのなかの小宇宙』という3つの作品を上演する予定です。この記事では、各作品の演出をゲストとして招いて行った対談をお伝えします。
ゲスト:Risa(『RENT』演出)、増井怜史朗(『SHOT』演出)、大田陽彦(『きみのなかの小宇宙』演出)
取材:高松憂
写真:藤井椿
編集:神山卓也
自身が演出する作品に対する印象
高松:まず、それぞれの作品の印象や、その脚本を選んだ或いはお書きになった理由などがありましたら、聞かせてもらいたいです。Risaさんからどうぞ。
Risa:『RENT』を選んだ理由……?劇団ケッペキは演劇を上演する団体でミュージカルをあまり行わないから、演劇に近いミュージカルを行いたいなぁと思って。『オペラ座の怪人』とか『ロミオとジュリエット』とかは、演劇から離れている感じがしたのと、やっぱり大学生であることを生かしたいなぁと思って。『RENT』という作品は、生きづらさとか、どう生きていくとかが核となっていて、そういったことを考える大学生によって『RENT』を上演することで、何か伝わるものがあるんじゃないかなぁと思ったからです。あとは、『RENT』が好きだからです。
大田:一番大事……
Risa:『RENT』はとても好きです。
高松:増井さんはどうでしょうか。今回、脚本を書かれた背景とか。
増井:書こうと思ったきっかけは、カメラです。いま、カメラと羊が出てきていますけど、僕の中ではカメラから始まって羊で終わった脚本です。だから、最初と最後が出てきていて、僕としてはまとまっているビラだなと思います。
大田:ビラいいよね~
Risa:ビラめっちゃええよなぁ。
高松:良いですね。
Risa:えっ、カメラってビラのどこに描かれているの?
増井:十字の部分とか横のフィルムの部分とかがカメラです。
Risa:あ~、たしかに。マジでかわいい。
増井:まあ、あとは単純に脚本を書くことが好きだからです。
高松:じゃあ次は大田さん。
大田:えっ、これって脚本の魅力を答えるんだよね?
高松:はい。
大田:そもそもの話をすると、僕がなぜ演出家をしているかというと、嫌な言い方をすれば雇われ演出で、企画した小鳥遊(『きみのなかの小宇宙』企画責任)から「暇?」って聞かれて「暇だよ」って言ったら「演出しない?」って言われて「じゃあ演出するわ」って、去年の冬から動き出してて。で、脚本は有美歩(『きみのなかの小宇宙』脚本・宣伝美術)が書くと聞いて、有美歩の脚本は一回演出したことがあって、というか僕が初めて演出をした作品が有美歩の作品で、それで脚本を読んでみて、有美歩ってたぶん4回くらい脚本を書いているんだけど、なんか書く度にふざけてるなぁというか今回が一番ふざけてるなぁって、何考えてんだこいつって、なんか有美歩が持っているクレイジーさと変わりなさと不思議さが融合されているなぁと思って、なんかすごく演出し甲斐のある作品だなぁって。まあそう感じていますが、演出のしにくさというか、そういう部分に足を引っ張られていますねぇ~。
一同:(笑い)
大田:いやぁ~、もう意味わからないのよ展開が。役者4人しかいないし、素舞台だし、そういうものに迷わされつつ、でもそういうものが演劇の面白さなんだろうなって感じながらやっています。
他の作品に対する印象
高松:ありがとうございます。では次に、お互いの脚本とかビラとか、なんでもいいんですけど、他の公演を見た印象とかはありますか?
大田:『RENT』、僕はハードルを下げたいわけではないけど、やるだけでも難しいなぁって。ケッペキってミュージカルの文化がないから、やるだけですごいなぁって。
Risa:えっ、でも『RENT』観たことあるでしょ?
大田:映画は観たことあるけど、ようやらんなって。すごくセンシティブな話題だから。どこまで扱いきれるのかなっていうことを期待しているというか、ミュージカルの文化のないケッペキがどうやるんだろうなぁって。未知数過ぎて、どういう気持ちで観に行こうかなっていう感じです。
増井:僕もケッペキでミュージカルをやるって、どうするんやろうって。ミュージカル経験者もケッペキではRisaだけ……?
Risa:まあ、少しだけ。
増井:でもそんな中で誰が稽古を回しているのかって思って。
大田:そう、ほんとそれ。
増井:誰が回して、指揮をとっているのかって。だからようやってるなって。
Risa:みんなのポテンシャルが平均以上あって、それでいて熱意があるから成り立っている。ミュージカルとして成り立っている。あとなんか、演劇やってる人って歌が上手いって思った。
大田:あるよね~
Risa:なんかみんな歌が上手い。白石や平川(ともに『RENT』キャスト)が良い。
大田:でも、平川とか柳澤とか井手(ともに『RENT』キャスト)とかがミュージカルをやっている姿がマジで想像できない。
Risa:でしょ?でも、彼らと一緒にカラオケ行ったことある?マジで上手いの。だからRisa、全員カラオケで引き連れてきたの。カラオケで聞いて、あっこれだって。
大田:読めない部分があるから、ゲネがとても楽しみ。
増井:ウキウキで観に行くと思う。
Risa:楽しみにしていてください。でも未知数ではある。
大田:でもRisaは役者もやってるんだよね?いや~僕は役者やってもダメだったからぁ~。だからよくやるなって。精神的によく持ってるなって。あと仲良さそうだなって。
Risa:いや、超仲良い。
大田:でもよく3か月でつくろうと思ったね。すごいです、頑張ってください。
Risa:なんかしっくりこないけどなぁ(笑い)
高松:では『SHOT』はどうでしょう。
Risa:増井くんの書く脚本はすごく好き。
大田:『SHOT』、僕は傑作だと思ってる。
増井:それは4月に読んだもの?
大田:うん。
増井:あれからかなり修正されていて。
大田:あ~そうなんだ。
Risa:私は脚本の言葉遊びがめっちゃ好き。
大田:ちゃんと演劇の脚本を書いているなぁって。ドラマでも映画でもアニメでもできない脚本だなぁって。
Risa:たしかにあれは演劇でしかできないと思う。
大田:僕は4月の段階の脚本を読んで、この演出任されたら嫌だなって。演出しにくい作品だなって。どう考えてもト書きとかが歯ごたえがありすぎて。あまりにもハードルが高くて。だからこそ、どう上演するんだろうなって気になる。
Risa:『SHOT』って自分で書いたから思考が固定されると思うの。だから、ちがうなぁって、どうしたらよいのかなって。自分の頭の中と自分の目の前の姿が違うことに。
増井:諦めてる部分もあるかも。どうしても無理だから。
大田:それ分かる~
増井:僕が動けば早いけど、僕じゃないし。その役者がやることに意味がないといけない。だからその人ができることを探すしかないなって。
Risa:稽古場がなんかフレッシュだったよね。1回生がいるからかなぁ?
大田:いやぁ、いいよね。今年の一回生、なんか評判良いよね。
Risa:めっちゃ面白い人多いよね。
大田:僕、一回生との関わりがゼロだからさぁ。
Risa:なんかでもフレッシュでなんかよかった。ニコニコした。あと、やっぱり同期が先輩に見える。
大田:同期が先輩してるよね。間﨑(『SHOT』キャスト)がちゃんと先輩してる。
一同:(笑い)
Risa:白石とか間﨑とか。
大田:白石や間﨑はそれこそ2022年の学生演劇祭で全国大会に出場したし。
Risa:吉川くん(『SHOT』キャスト)も。
大田:そうだね。だからちょっとねぇ、増井くんがどう演出したのかを見たい。
Risa:あと、舞台も普通に楽しみ。森本(『SHOT』舞台)さんが担当してるし。
増井:舞台は今回、力を入れてます。
Risa:良い舞台って良いよね。
高松:『きみのなかの小宇宙』のイメージはどうですか?
Risa:イメージ……何だろう。
大田:うちの公演が一番よくわかんない?
Risa:わかんないかも。
大田:人数も一番少ないし。
増井:映像と混ぜる?
Risa:あっ、でもなんか案山子(『きみのなかの小宇宙』映像)の映像楽しみかも。
大田:そもそもこの公演が、案山子が映像を使った公演を立てたいっていうもので。
Risa:過去の作品だったら『うまれてないからまだしねない』みたいな?
大田:うん。それは視野の中にあるけど、そこはなんか、僕はひねくれている人間だから、所謂演劇映像の使い方だけだとつまんないなぁって思うから。多分案山子くんが得意なこともあるだろうから。実際の映像を流すというよりも、モノを動かすというか、プロジェク トを作るというか。案山子くんの映像が大事だから。なんかそっちかな。
増井:映像はもう決まってる?
大田:まだ全然決まっていない。ユニットの企画段階で出したのは、映像を全編MEのようにずっとバックグラウンドで流そうっていうことを話していたけど、どうなるかはまだ。
Risa:なんか雰囲気かわいくない?
大田:それは有美歩がかわいいから。ビラもかわいいし、すごく作品の感性が有美歩らしい。
Risa:かわいいっていうのもあるけど、きれいっていうのもある。
大田:中身はたぶんかわいくないよ。下衆い。
Risa:下衆いんだぁ~
大田:これまでの有美歩のほっこりというかかわいいというか、そういう作品とはなんか一線を画している。作品の構成自体は今までと似ているきがするんだけど、でもなんか苦みというか灰汁というか、そういうものが全面に出ていて。すごく皮肉っぽいんだよね。少しざらついているんだよね。SFチックというよりかは、ひとひねりしてある感じがする。すごくカオスなの。登場人物や構造がカオス。映像との結びつきも。オチとしては、ほんのちょっぴりかわいいというか。まあ、それをどう両立するかだよね。
増井:……ビラのキャラクターは、目玉焼きカレー?
大田:目玉焼きにソースがかかっている。
Risa:ソースなんだ。めっちゃかわいい。クラゲっていう感じがする。
大田:いろんなモチーフが入れられている。
Risa:えっ、名刺ビラかわいい。
大田:いろんなモチーフがあって、いろんな人やモノが出てきて、いろんな人がいろんなモノを、いろんな感じで思っていて、なんかそれがざっくりと伝わればいいなぁって。
増井:たしかに名刺ビラかわいい。
大田:作品は、名刺ビラほどまっすぐはかわいくはないかな。でもまあ、脚本はすごく面白いなぁって思う。あとは、役者が4人しかいないっていう不利な、基本的には不利なんだけど、その少なさみたいなものを上手く出せればなぁって。皆さん役者経験のある方々なんで。だから、まあ、骨を折りながら。
Risa:ファイト!
演出をしていて大変だったところ
高松:それぞれ今回演出や企画をやっていて、ここが一番大変だったというのがあれば。Risaさんから。
Risa:それはマジで著作権なんだけど。
大田:リアルだなぁ~
Risa:著作権が一番大変だった。なんか、ギリギリまでやれるかわかんなかったし、信用して良いのかも分からなかったけど、でも本当にしっかりしている。契約書がA4で15枚もあって。で、脚本も、終わったら全部返却。だから全部コピーした。
増井:何枚分くらい?
Risa:楽譜が370枚程度あって。
増井:一人分?
Risa:うん。
大田:えぐ!
Risa:全部で43曲とか。でも、演出する上で一番大変なのは、人が多いことかな。どこをどう動かして、どう誰を目立たせたいかとか。でも、止まってほしいわけではないし。歌っている人をどう目立たせるかということと、いかにセリフっぽく歌わせるかとか。歌じゃない部分のセリフがみんな下手だった。歌とセリフが交互にある場面のセリフ部分をどう喋ってよいか分からなくなる。
増井:それはミュージカル調に喋るというわけではなく?
Risa:ミュージカル調に喋るんだけど、割と『RENT』という作品の内容が会話劇に近い。『RENT』という脚本自体がオペラの脚本を基に書いたんだけど、書く上で、若者に人気な現代チックな作品にしたいっていう思いで書かれた作品だから。本当に伴奏もバンドだし、結構アップテンポ。だから、ヒップホップ系ミュージカルっていう感じ。
大田:お堅くない?
Risa:そう、ほんとヒップホップ。現代チック。それで、すごくダブルミーニングが多いかな。伝わりずらい部分をどう伝えるかが難しいかな。でも、めちゃくちゃ楽しい。推しポイントは楽しい。観に来た人を楽しませる。絶対に何か刺さる曲はある。いろんな人間が出てくるんだけど、全員にスポットが当たる。一人一人がどういう人生を歩んでいて、どういう人生を歩んでいるのかっていうことが大事。全員を立たせる。そして、観客自身にも立ってほしい。
高松:増井さんはどうですか?
増井:脚本も書いているから、みんなが僕に答えを求めてしまう。
Risa:あ~そうか。正解を持っているもんね。
増井:だから最初、脚本家としての増井は終わりましたって、これからは演出の増井ですって言ったんだけど、なんか僕から出る言葉が多すぎて、気付いたら役者からのプランが少なくなっちゃって。みんなすごく考えてくれてはいるんだけど。
高松:大田さんはどうですか?
大田:悩みしかない。それは公演としての悩みなのか演出家としての悩みなのかという部分があって。それなりに演出をやっていて、自分の中に足りないものであるとか、演出手段の癖とかを感じながらやっている。作品の悩みで言えば、意味のない部分が多いというか、実際的にストーリーに関係ない部分がすごく多いというか。有美歩が意図的にそうしているというか。その他愛のなさみたいなものを出したい。ネタバレをすると、短いシーンが続くんだけど、その展開がえぐいのよ。とにかく展開がぶっ飛んでる。それで「なんでこのシーン書いたの?」って聞いてみると「意味はないよ、面白そうだから」って答えるの。脚本の書き方が役者に読ませたいセリフを書くっていうやり方でやっているから、有美歩の伝えたい雰囲気というか、そういうもの部分でどのように伝えるかっていうところを考えてる。 だから今回やってみているのは、役者の中でいろんな演技パターンをやってみようってや っているのだけど、それがなんか上手くいかないなっていうか。演技っていろいろやるよねって。所謂演劇的な演技には限界があるなって。僕らってアマチュアだから、観客を演技だけで満足させるのってなかなか難しいよねって。ちょっと違うところの手数を増やしてみようとか。例えば、全くの棒読みで読んでみようとか。棒読みで読んでみて、ほんの少しの変化でこの脚本の面白さって出るよねとか。あえて全く脱力してみようとか。そのシーンご とに、フィットし得る演技以外の演技を模索しながらやっているから、多分ものすごく時間がかかっているし、なんかしんどいだろうなって思う。僕の演出としての実験という意味合いが強いかな。
Risa:でもなんか楽しそうだね。
大田:普通にやるのは面白くないの。よくありすぎる展開を普通にやるのは凡庸すぎるの。だから、よくあるシーンをどうしたら皮肉っているように見えるのかって。中途半端な演技 が一番つまらないから、それを行き過ぎるのか、もっと手前でとどまるのか、そういうことを吟味しているかな。僕たちは本番が遅いから、今後も実験していく感じかな。
演出をしていて楽しかったこと
高松:では反対に、これが面白かったとか、そういうことはどうですか?Risaさんからどうぞ。
Risa:毎日稽古に行くのが楽しい。私は役者もやっているから、家で頑張る時間はしんどいけど、稽古行くのが楽しい。やっぱり、音楽って楽しい。音楽って歌うことや踊ることがあって。『RENT』の曲って、びっくりするほど全て好きになるの。歌うことって発散になる。……楽しい~しかいってないけど。
大田:でもなんかいいよね。なんか、Risaのやりたいことが伝わってくる気がする。
Risa:あと、熱量が高いと思う。一幕の最後の曲が、バカ騒ぎする曲なんだけど、大発散する。だから、どう落ち着かせるかは考えるんだけど、やっている本人たちが一番キラキラしているから、そこが一番好き。役者が命を輝かせて立っている舞台が好き。あと、みんなが思ったことを言える稽古場だなって思っていて。私は、人の顔を見たときに不満気な気持ちを感じることができるから「不安なら言ってみな~」とかって声かけをしたりして。でもみんなちゃんと一緒に考えてくれるから。作品の内容があまりにもセンシティブだから、その分みんな考えてくれるから。納得できる答えを見つけ出せるから、イェーイってなる。みんな作品についてすごく考えてくれる。そこが楽しいかなって思う。
高松:増井さんはいかがですか?
増井:調子こいてんのって言われるかもしれないですが、僕はどうやら身体能力が高いらしいんですね。
一同:(笑い)
増井:だから、僕がやった動きにみんなが驚いてくれる……っていうのは冗談なんだけど。僕、一度体調を崩した時、稽古にも集中できなくて役者だけで脚本解釈会を開いてもらうことにして、僕は隣で横になっていたんだけど、その時に自分が書いた脚本にあーだこーだ言っているし、それは役者だけじゃなくて部署スタッフの人達もあーだこーだ言うし、それで、おーってなった。
Risa:それ聞くのめっちゃ楽しそうじゃない?
増井:こんなにみんなが色々考えてくれるんだなって。今回座組が44人で。これだけの人数が動いているってすごいことだなって思って。だからすご くうれしくて。
Risa:かっこいい。
大田:すごく脚本書きたい~
Risa:増井くんは良い脚本を書くから良いよね。
大田:全然関係ないけど、卒団公演の脚本を増井くんと有美歩で書いてくれないかなって。
Risa:そうだよね。そう思う。
大田:そういう野望を抱いている。
Risa:共作が良い。
大田:有美歩っぽさと増井っぽさが出ていてほしい。
一同:(笑い)
Risa:でも、これは本気。
大田:タイトル決めるの難しそう。
Risa:いい感じにまとめてもらって。
大田:全然違う色が出ると思う。
高松:大田さんはいかがでしょう?
大田:それこそなんか、作品内でどう動くか、どう考えるかという筋の通ったルールがあるといいなあって。ルール作りをしようって思うんだけど、とりあえず動いてみてって言って、なんかやってみて、これなんかルールになりそうだよねっていうものを広げていきたいなって思っているのだけど、なんか上手くいかないなって。最後の方のセリフに、4人いるのだけど、2人しかしゃべらなくて、残りの2人が余っているから、なんか、セリフのパスをし合いたいなって思って、じゃあどうやって4人から1人のセリフを言わせるルールを作れますかっていうのを今日やってきた。一人を中心にルールがまわりまわっているのだけど、例えば2回肩を叩かれたらセリフを言いましょうとか、それで今日のまとまりとしては、かごめかごめやってましょうとか、演出の中にランダムを入れるとか。いろいろルールを入れてみるとか。ぼんやりと演技をすることが嫌だから。普通の演技をしたくないから。どういう思考に基づいて演技をしているのかとかを考えたい。そのしっくりくるルールにたまたまぶつかったりすると、よっしゃ~と思う。全然見つからないし構図も見えないけど、しぶとくルール作りをしていこうと思う。普通に演出するのは、最後の間に合わせというか。その守りの演出を避けて、いかに攻めるかを考えるんだけど。でも守っちゃうんだよね。時間との闘いかな。これからが本番だね。芸術創造館は広いから、それをパンパンに詰めてやりたいと思う。
最後に一言
高松:では、最後に意気込みを一言。Risaさんから。
Risa:全人類見に来てください。人類じゃなくてもいい。カエルとか。一人でも多くの人に 作品を伝えたい。『RENT』を届けたい。
大田:作品に対する愛がすごく伝わってくる。
Risa:『RENT』を見た人が、救われたり、生きる糧にしたりしてほしい。だから、全人類観に来てほしい。観に来られなくてもどこかで『RENT』という作品を知ってほしい。
高松:では増井さん、お願いします。
増井:……そうやなぁ。全員に来て欲しいのは来てほしいけど、どうしても観に来られない方もいるからね。観に来た方に、こんなこと考える人がいるんだって思ってもらうというか。観に来てくれた方の中で、数人でも「あ~こんなこと考える人がいるんだ~」って思ってもらって、楽しんでもらえたらいいなぁって思う。ビラはすごくかわいらしいけど、伝えたいことはビラには載っていないので、やっぱり観に来てもらうしかないんだろうなぁって。観てもらわなければ始まらないので。
Risa:だから全人類観に来てほしいでしょ?
増井:もちろん、だけどテーマを届けられる人は限られてしまうから、その中でも届けられる人に届けると言う覚悟は持ってます。
高松:では大田さん、お願いします。
大田:なんか、直接的な意気込みではないのだけど、今回の公演会場ってちゃんとしているし、大阪だし、役者4人しかいないし、単純にめちゃくちゃでかいジャケットを羽織っている感じなんだけど、それが滑稽に見えたらいいなぁって。背伸びはするんだけど、滑稽に見えたらなぁって。とりあえずもう、僕としては妥協したことのない作品を目指したい、残り1か月。妥協したらいくらでも妥協できるから、なるべく妥協をしないということを残 りやりたいなぁって。夏の3公演ってどれも面白くなるんじゃないかなって。多分ケッペキにしかできないことなので、その熱量だけでも伝わればよいかなって。
Risa:毛色も全然違うし。
大田:今後のケッペキに繋がればなぁって。
高松:ということで、皆さんも3公演が非常に楽しみになったような気がします。というわけで、本日はありがとうございました。