めぐるピープル05「11-1 Studio」
こんにちは。めぐるスイッチ・まつもんです。地域で活動する人たちを紹介していく連載記事「めぐるピープル」。今回は板橋区南町11-1にある「11-1studio(じゅういちのいちスタジオ)」です。
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カフェと工房が共存する新しい空間
広いガラスからさしこむ太陽光が、木肌の空間を美しく照らします。コーヒーの香りを感じて席につくと「ヴィーン!」と響くドリルの音。シェアキッチン形式のカフェと、シェア工房スペースが併設されたふしぎでオシャレなこの場所は、板橋区の最南端にある「11-1studio」です。
一級建築士である砂越陽介さんが、祖父の工房を改築し、自身の建築事務所を兼ねて設立した”エリア型ものづくり工房”です。聞き慣れない言葉ですが、どんな工房なのでしょう?
そこだけで完結できない開かれた工房
この工房のユニークさは、イベント「プロジェクトシリーズ」によく表れています。現在、ロケットストーブの製作を進めるこの連続ワークショップでは、まず作り方を調べ、仕上げ方を考え、材料はどうするか、すべてゼロから始めます。「僕自身、つくったことがない物だから教えられないんです」と笑う砂越さん。材料調達では必要に応じて近隣の工房や材料店を回り、そこで材料の購入や、専門的な加工することも考えているそうです。
一方で、おしゃれなカフェスペースには工作に関心がない人も訪れます。そこで誰かの工作に興味をもち、自分もやってみようと感化される人も。「自然と交流できるカフェを入り口に、道具はあるけど完結していない工房。それが、”エリア型ものづくり工房”の特徴です」と紹介してくれました。
訪れる人をゆるくつなぐコミュニティ
建築家の砂越さんにとって11-1studioを運営するやりがいは何でしょうか。尋ねてみると、建築の仕事は利用者の生活をイメージできる力が重要で、いろんな方に出会い、多様な生き方を実感できることだそうです。
そして、もう一つ。「今までお客さんだった方が実はエスニック料理が得意で、その特技を生かして普段コーヒーで出店してる店主と、今度いっしょに出店することになりました。店主と客の関係性を超えたこのコラボレーション、面白いですよね。こうした可能性の広がりに大きなやりがいを感じています」と嬉しそうに話してくれました。
11-1studioが目指すのは、常連さんだけが集まるようなコミュニティではなく、つながっているけれど流動的で、オープンな居心地の良さがあるコミュニティだと語る砂越さん。そんな彼が、1人の店長さんではなく、地域に根付く若い建築家さんであることに、まだまだ広がりそうな未来へ期待感を覚えずにはいられません。
公式サイト: 11-1 studio
写真提供:11-1 studio、小川重雄(クレジット入りの写真)、蔦野裕(プロフィール写真)
取材日: 2021.9.6(記者・まつもん)
活動種別:地域交流、文化・芸術
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