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新体操と私。

もし神様がもう一度時を戻してくださるのならば
もう一度新体操を楽しみたいと思う。
好きな種目はリボン(帯状布)とボール。

リボンは言うまでもなくその曲線美。
リボンの曲線の美しさに合わせて自らの体をしならせる。

美しさに積極的に翻弄されに行くかのように
身体をしならせる。
そんな時間が好きだった。
美と一体化する、そんな感覚を味わえるあの時間。
経験者であれば、6メートルあるリボンをあのように美しくひらめかせるのが
どれだけ練習が必要かを知っている。
ただただ、美しいものを見たくてひたすらに練習を重ねる。

その美しさの中に身をゆだねられる。
そのためだけに、生きていられる。
幸せな時間だった。

その対極にあるボール。
ボールは自身の体の曲線の美しさの輪郭を表すための手具。
自分の体を這わせ、
身体の周辺を探らせ
まるで陶器のようにつやめくしっとりとした重さのあるようなその手具を
表現として使う。
「つやめくしっとりとした重さのあるようなその手具」
は実は陶器でできている。

…というのは冗談で実際は良く弾むボールである。
そのよく弾むボールを陶器であるかのように、重さがあるかのように自分の体に沿わせていく。
左手の指先から胸元をとおって右手の指へ。
艶めくボールを這わせていく。

そして時々見ている人の期待を裏切るために弾ませて見せる。
その絶妙なバランスが好き。

こうして、思いだしてみてもとても幸せな体験だ。
こんな体験に出会わせてくれた人生にありがとう。

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ふじためぐる
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