今日の書き散らし

渋谷のコインランドリー。ガラガラと回る乾燥機の熱気の側でタバコを吸うあの時の夕暮れのオレンジをよく覚えている。
お金がなくて何時間も歩いて帰ったあの日の自由が丘あたりの緑も、雑踏の中で見上げた渋谷MODIも、初めてこの目で認識した日のQFRONTも、夏の渋谷はとくに。好きだったんだろうな。
雪の日の深夜にコンビニまでこっそりはしゃぎながら歩いた道や、通ったことのない道を探して歩いた夕暮れも思い出すともう懐かしい。
ひとりだった。でも東京の街は好きだった。
寂しかったけど今より景色が美しいと思えていた。人の笑顔より朝焼けを見つめていた。
どっちがいいんだろう。
この街のどこにもあたしの記憶に残る景色はないような気がする。こんなにも好きな人たちがたくさん生きている街なのに。どこにも。
人と関わらなければ自分は成長しないと気づいた。だからあの4年間より今ここで生きた2年の方が目まぐるしかった。
あたしはどこにいるべきだろうか。
どこまでもたゆたう海月になりたい。
ふわりと浮き流れる雲になりたい。
飛行機になっていつまでも飛んでいたい。
そうして色んなものをただ眺めていたい。
そんな気分の日もある。
生きているから。