forget me

あーあ。また来たな。
一瞬で頭の中が死にたいだらけになる。
可愛らしい花束は枯れて花瓶の水は緑に濁ったままカビた本棚の上でうなだれている。
肌が痛くて赤くて血が出て、夏なのにボロ雑巾みたいな肌を隠すような服しか着れない。
こんな思いをして今まで生きてきたのに、汚い仕事をやめて真面目に働こうとしているのに、またお金がなくなって体を売る羽目になる。
ガスは止まって、電気代が上がって、喉が締まってご飯も満足に食べれない。
なあんで生きてんだろな。
死ぬ勇気がないからだよな。
これでいいやって思う日とこんな人生もう嫌だって思う日のギャップに自分でついていけなくて、また布団に逆戻りする。
目も合わせてくれなくなったあの人からは丸一日連絡もなくて、あたしの肌がきれいじゃないことにみんなが気付いていて、あたしの希望を捨てたくせに幸せになったあの人にはまた新しい希望が宿ったみたい。
死にたいな。
生きてて何が楽しいんだろう。
明日、仕事に行ったら、終わりだ。
その先の予定なんてない。
この先に希望なんてない。
あたしはあたしが嫌いだから、どんだけ頑張ったってうまくいかなくて、やっぱりきっとずっと生きるのに向いてないんだ。
どうしようかな。
全部わかんないんだよな。
つらいな。
わがままにも甘え上手にもなれなくて、大丈夫だよって顔して笑顔を振りまいて、家に帰ったら毎日こんなことを思ってうずくまるんだ。
ずっと、ずっと眠っていたい。
鏡なんて見たくない。
あたしなんて好きじゃない。
可愛いあたしを作れない。
しんどいよもう。
何が嫌で何が好きでどうしたいのかを聞いてくれる素敵な人に囲まれたちっとも素敵じゃないあたし。
痛みを分け合える人がいるのに、笑顔を向けてくれる人がいるのに、死にたいときに電話をくれたあなたがいるのに。
それでもやっぱり死にたくなっちゃうの。
死ぬのが怖いって泣いたあの日のあたしが羨ましくなっちゃうよ。
だっていま死ぬのは怖くないんだもん。
楽になりたいの。逃げたいの。また。
死にたくなると眠くなるのはきっと脳があたしを守ろうとしてるから。
自分で自分にこんなこと考えないでって必死に止めていてくれるのかしら。
堂々巡りで正解なんてないのに何度もこんなことを思って書いて眠る日々に飽き飽きした。
死ぬのは逃げじゃなくて、この世界のどこにも逃げられなくなったから死ぬんだと思う。
あたしもそうなのかしら。
今のあたしが間違いってその通りかもね。
あたしの人生全部無駄ってのも正解かもね。
じゃあどうしたらよかったんだよ。
ヤケになるなって言うけど、相談してよって言うけど、あたしの人生はあたし以外誰も責任なんか取ってくれないってことあたしが一番良く知ってんだよ。
みんな好き放題言うだけで誰も心の底から助けようとなんかしてくれないし、興味もないのも分かってんだよ。
みんな自分の人生を生きるだけで精一杯なの。
あたしも、あの子も、あいつも。
だからせめて誰にも迷惑をかけないように、重荷にならないように、笑って仕事して酒飲んで自分を誤魔化してんの。
それすらも間違いなら、そのせいで誰の一番にもなれないあたしが出来上がってんなら、もう無理だよ。これ以上の正解なんてわかんないから。
ほんとうにさ、どうしたらよかったんだよ。
憎くて仕方ない。
この身体も人生もこんなことを考える時間も。
結局さ、死にたいんだよ。
生きれるかもって誤魔化してきただけで、その誤魔化しが今もう効かなくなったってだけで、きっとあたしはずっと前から死にたがってたんだ。
死ぬことにしか希望を持てないんだもの。
あたしがもしあたしじゃなかったら、生きてみたかったな。楽しかったんだろうな。
こんなに苦しいのに涙のひと粒も出ないあたしじゃこの話に終わりは付けられないから。
眠ってしまおう。いつ目覚めるかも分からない眠りに着こう。
起きてから、また、考えようね。


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