いたずらな天使
まだ、生きています。
そして、恋をしています。
失恋してなかったみたい。
これからするかもしれないけど。
大好きなあの人に大好きって伝えられた。
それだけでも私の中では大きな進歩なの。
今まで自分から好きとか付き合ってなんて言えたことなかった。
言っても叶わないと思うから。
それでも本気で好きで、あの人の隣で笑ってるのが私じゃない他の誰かになるのは絶対に嫌で、酔いなんてとうに覚めた頭で必死に考えて心臓が飛び出そうになりながら伝えたんだ。
断られたら、フラれたら、なんて考えるだけで吐きそうで手が震えた。
それでもあの人はちゃんと向き合ってくれた。
ふたりでベッドで抱き合いながら、ゆっくりゆっくり言葉を絞り出して、ちゃんと話せた。
本命だっていわれてる人は割り切った関係でその先なんて考えてない、ただ身体の関係はあるから隠したくなかったって話してくれた。
一緒に泊まっても付き合うまではしないって宣言したとおりに、円周率なんか数えちゃって、必死に耐えて手を出さないでいてくれてる。
大事にされてるんだきっと、ちゃんと。
でも付き合うのは怖いって。
すごく嫉妬深いから付き合ったら今までどおりに、あたしの男友達の話なんかを笑って聞けなくなる、今すごく心地よくて楽しいのにそれが壊れるのが怖いんだって、泣きそうになりながら必死に考えて話してくれた。
その気持ちも痛いほどわかるのよ。
今こんなに楽しくて居心地がよくて幸せなのに先に進んだら。たくさん喧嘩するでしょう。気まずい時もあるでしょう。いつかお別れする日が来るかもしれないでしょう。それを怖がるのは私もおんなじよ。
でもね、怖がってたら何も変わらないの。
もっと深くあなたを知って、あたしを知って、もっと深い奥の奥まで愛したいの。
嫌われるのが怖い。コンプレックスも汚いところもできれば見せたくないわ。きれいなあたしだけを愛していてほしい。でもそれじゃだめなのよ。
だってあたしあなたが好きなのよ。
ずっとあなたといたいんだもの。
他の誰にも取られたくないしあなただって同じ気持ちだと思ってる。
だからこそ、怖いけど、先に進みたいの。
簡単に惚れたわけじゃないから、そう簡単に嫌いになんてならない。
完璧じゃなくていい。弱くていい。ダメダメでわがままで面倒臭いあなたも見たいの。
それでも好きでいるから。
あなたに合わせるんじゃなくてふたりいっしょに幸せになれるように寄り添っていきたいの。
酔ってるなんて言って手繋いで何時間だってお酒に頼って話して笑ってるのも好きよ。
だけどもうそんな嘘なんかつかなくたって一緒にいられるじゃないの。
好きよって言ったら好きだよって返ってくる。
あたしの額にキスをして痛いくらいに力強く抱きしめてくれるあなたがいるから、あたしはここで息をしていられるの。
あなたのせいで他の男を見れなくなって、一日中あなたの事を考えるようになって、あなたのために服を選ぶようになったの。
細かいところまでちゃんと見ていてふとした時にそれを褒めてくれるのも、本当は不器用で照れ屋で嫉妬深いのも、甘えたがりなのも、お酒が嫌いなくせにあたしに付き合って無理して飲んでるのも、時間もお金も心も体力もあたしのために使ってくれてるのも、全部全部愛おしくて嬉しくて仕方ないのよ。
もっとお金があるとかイケメンだとか身長が高いとか優しいとかそんなのどうでもいい。
今まで出会ったどんな男よりも大好きよ。
嘘つきさん。
あとひとつだけ欲しいものがあるの。
あなたの隣はあたしって決まってても、あたし以外の女を連れて行かない店がどんなにあっても、どれだけあたしの事を考えてくれててもまだ足りないの。
だって彼女じゃないんだもの。
こんなにもあたしを好いて求めてくれてるんだから、あと一歩頑張ってよ。
あたしの彼氏になってよ。
欠陥だらけで気分屋でわがままだけど。
誰よりもあなたを好きでいる自信はあるわ。
早くあなたのものにしないと他の人に取られちゃうかもよ?
ほら、こんなに可愛くてスタイルが良くて性格もいい子はいないんでしょう?
あたしを好きって男はいくらでもいるのよ。
付き合ってくれる男もたくさんいるわ。
でもあたしが好きな男はあなただけで、あなたが好きな女はあたしだけって言うんなら、付き合わない理由がどこにあるの?
男は本命の人には、行動で示すもんさ。
言い訳なんかしないさ。
わかってるよ。
だからほら、早く。
あたしが逃げちゃう前に、捕まえて。