Sincerely Yours-真心 を込めて-」
No.1招待状
「ねぇ。芽依も誰かを好きなってみなよ。
誰かを好きになるってステキな事だよ」
と、話すのは友人のさつき。
さつきが好きな子は耳が聞こえない
男の子。
「あんなに真剣な顔で勉強している、さつき
を見た事なかったなぁ」と芽依は想う。
そんな、芽依は今は音楽を勉強している。
まだまだ少ないけど、オリジナルソングも
ある。
さつきにはまだ、話していないが気になる
男の子は居る。しかも、芽依と同じように
音楽を頑張っている。どんな風に声を掛けたら
良いか悩んでいる。
芽依の自宅の郵便ポストに1枚の手書きのチラ
シが入っていた。気になって見てみたら有志で
作った音楽イベント「Sincerely Yours」→
「真心を込めて」大切な人への想いを歌に
込めてみませんか?との事。
光が差し込んだ気がした。「どうしよう」と
「オリジナルソングがそこまで曲数が」等
色々考えてしまったが「ええい。当たって
砕けろ」の想いで参加を決意する。
No.2オーディション
幼少期の頃の芽依も歌う事が大好きだった。
今もあの頃と変わっていない。
「芽依の歌で誰かを救うんだぁ」て両親に聞くと
そんな事を言っていたらしい。
...変わらないなぁ。私。今もあの頃も
私の歌が誰かの心に届いて欲しい。
そう。思って曲を作って路上で歌ってきた。
路上デビューした時は当然、誰も止まってく
れる筈もなく、でも心は希望で溢れていた。
有志イベントのオーディションの日になる。
沢山の人が参加されていた。
「みんな、上手だなぁ」て聴いていたら
芽依の順番が回ってきた。「うわぁ」て
一杯一杯になったまま、歌ってきた。
「1週間後に合否をお知らせします」
と、あっという間に終わった...。
あって振り返ったら、芽依が気になってる
男の子がオーディションに参加していた。
カバー曲。ドリカムの「サンキュ.」
ステキな声だった。
「私に向けて歌ってくれてる」そう、思って
聴いていた芽依。
「真剣に聴いてくれて、ありがとう。嬉しかっ
たよ」男の子が声を掛けてくれた。
男の子の名前は愛流(あいる)
No.3変わりたい私
オーディションの日に愛流の声を聴いて
心に秘めてた曲を完成させようと決めた
タイトルは「Change」
この曲はさつきにプレゼントする為に
書いていた。でも、芽依の中で何かが
変わった。「私自身が変わりたい」
「さつきの為にも私の為にも歌いたい」
そう思い始めていた。
ギターを持って、仕上げに掛かる頃
イベントの合格通知が届いていた。
イベント前日、芽依は路上ライブへ。
この日に限って賑わいがある。
さつきが友人達を呼んできてくれた。
「ありがとう。心を込めて歌うね」と
優しい表情で歌い始めた。
芽依が歌ってる姿を見ていた男の子が
いた。愛流が観に来ていた。気付かずに
楽しく、笑顔で歌っていた。
No.4歌う-真心を込めて-
有志イベント当日、めっちゃ良い笑顔で
会場へ向かう芽依。横でその様子を見て
いるさつきが...。
「緊張しないの?芽依」と心配そうな顔。
「大丈夫だよ。大好きな歌が歌えるんだもの」
と応える芽依。
「そっかぁ」とさつき。
会場は賑わいを見せていて、出演者が順番に
歌っている。芽依の番が。
「こんにちは」と笑顔で舞台へ。
カバー曲を含め3曲歌い、会場を盛り上げる。
「最後に聴いてもらいたい歌があるんです。この
曲を書こうと思ったキッカケは自分の側にいて
くれた友達に、私が今一番大好きな男の子に聴いてもらいたいんです」と「Change」
完成させたばかりの曲を弾き語り、歌い始める
盛り上がっていた会場が芽依の歌声に聞き入って
いる。芽依が一番聴いて欲しい歌詞が
Change Change 次のステージへ
Change Change心踊る方へ
Change Change選ぶのは君さ
大丈夫だよ どうせ未来の君は
笑ってるから Believe in myself
芽依が優しい表情で歌い終わると
会場が涙で溢れていた。横で見ていた
さつき、次、順番だった愛流も泣いていた。
会場から拍手の波が「ありがとう」の言葉が
鳴り止まない。芽依は本当に喜んだ。
会場捌けて、大きく手を広げて待ってくれて
いたさつきとハグし合う。愛流も暖かく見守る。