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自治体職員のためのAI×データ活用研修 ~生成AIで加速するEBPM~
目黒区では、データに基づく政策立案(EBPM)の推進と職員のデータ活用能力向上を目的として、毎年データ活用研修を実施しています。
今年で3回目となる本研修では、江戸川区をはじめとし、板橋区、墨田区、品川区の職員の方々にもご参加いただき、自治体の枠を越えた学びの場となりました。
★今回の研修は、目黒区と江戸川区がタッグを組んで開発している、「TIDE」(Tokyo Innovative Data Education)のプロトタイプとして実践した内容となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738562615-kqJGj6H1LOlhvaiRPE5oTAUV.jpg?width=1200)
1.データ活用を念頭に置いた課題設定
今回の研修では、「目黒区の住民を他自治体に移住させるにはどうすればよいか?」という挑戦的なテーマに取組みました。
目黒区の職員、他自治体の職員はともに、統計データをいかに客観的に分析し、整理することができるかがカギとなりました。
この課題設定により、参加者は自治体間の特徴や強みを比較分析し、実践的な政策立案のプロセスを体験することができました。
2.データ活用における個人情報への配慮
研修では、個人情報を含まない集計データや統計データを活用し、プライバシーに十分配慮しながら分析を進めました。
これにより、実際の政策立案でも活用可能な、客観性の高い分析手法を検討・実践することができました。
3.生成AIの効果的な活用
今回の研修の特徴は、生成AIを積極的に活用したことです。
特に効果が大きかったのは、次の2点です。
課題分析の効率化: 生成AIを用いてロジックツリーを作成することで、複雑な課題を構造化し、より体系的な分析が可能となりました。
資料作成の効率化: 発表資料の作成においても生成AIを活用することで、資料作成にかかる時間を大幅に削減。その結果、参加者はより多くの時間を本質的な議論や課題の検討に充てることができました。
余談ですが、私のグループでは、他自治体のツールを拝借し「典型的な目黒区の女性を描いて!」とAIに画像を生成してもらい、移住者のペルソナイメージを共有するのに役立てました。
イメージイラストをもとに、「こういう人が移住を決める要因ってなんだろうか?」と議論をしていきました。生成AIを使って、自分の中にあるイメージをほかの人と共有する呼び水に使ってみるというのは非常に面白かったです。
4.苦労した点
実は今回の研修、もともとは2日間のプログラムで構成されていました。
他自治体の方も参加しやすいように、研修内容を1日のみに凝縮した結果、次々と課題・タスクをこなす大変忙しい研修となり、参加者の方々は大変だったと思います。
データ分析基盤・BIツールを活用して課題を読み解きながら、不足するデータを集め、それをもとに議論をし、さらに最後の発表資料を作るのをほぼ同時並行で実施していくので、頭も手もフル回転。
最後の方は、エネルギー切れで終わった後のチョコレートがおいしかったです。
ただ、参加者の皆さんは大変意欲の高い参加メンバーが集まっており、アウトプットも非常に面白い発表ばかりで非常に充実した研修となりました。
私も初日は参加者として研修に参加しましたが、ほかの班の発表を見ながらこんな観点もあったか!あんなデータみたんだ!と発見がいっぱいでした。
ただし、生成AIでロジックツリーを作成すると、かなり「普通」で「一般的」なワードが抽出されることが多いため、新しい発見や切り口などを見つけるためにはプロンプトを工夫する必要があると思いました。
5.まとめ
本研修を通じて、参加者はBIツールや生成AIを活用しながら、実践的なデータ分析手法とEBPMの考え方を学ぶことができました。
生成AIの活用により、作業の効率化が図られ、より深い議論や検討が可能となったことは、今後の実務においても大きな示唆を与えるものとなりました。
今後も、「TIDE」プログラム開発のためにも研修内容を発展させながら、より効果的なデータ活用・EBPM推進に向けた取組みを続けていきます。
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