存在自体がファンタジー! 美輪明宏さん講演会
「一度は生で見てみたい」人って、いませんか? 私にとってそんな一人だった美輪明宏さんの講演会へ行った時のお話です。
会場はホテルニューオータニ。生で拝見する美輪さんは、やはり存在自体がファンタジーでした。思っていたより小柄でびっくり。オーラが大きいから、大きく見えるのでしょうか。
登場するや否や「ただいまご紹介に預かりました仲間由紀恵です」とボケをかまし、会場を軽く暖めてスタート。いいことがあれば、悪いことがある「正負の法則」や、「修道女のよう」だという現在の生活について語られます。
「人と付き合うときも、サラサラでいい」と美輪さん。
「『君子の交わりは淡さこと水の如し、小人の交わりは甘きこと醴の如し』という言葉もあるように、ベタベタと濃い付き合いを求めるのは小人であって、そんなものする必要ない。相手との間に適度な距離があった方が、何事もうまくいくんです。『水臭いじゃないの〜。もっと仲良くしましょうよ』と言われたって放っておけばいいの」
美輪さんも昔は打ち上げに参加したり、ホームパーティーを開催したりしたそうですが、そうやって距離が縮まると必要以上にずかずかと入り込んでくる人がいて(庭の木に登ってゆさゆさ揺すってみたり……)、見たくもない側面を見ることが増えたため、「そういう付き合いは一切やめた」とのことでした。
そして話は、タメ口が当たり前になっている社会への警鐘や、日本の妖怪文化の独自性について、色気とエロの違いなど……。
「精神の栄養は文化です」という言葉が響きました。
「その人が普段見聞きしているもの、触れているものは、常に存在から滲み出ているんです」
日常がいかに大切か。素行や存在感に暮らしぶりがすべてが現れてしまうから、普段から慎ましく、美しく生きましょう、と。とりあえず、月に一度は美術館に足を運ぼうと思いました。最近、なかなか遠ざかっていたので……。
美輪さん、お話の合間にちょいちょいボケを挟んでくるので、会場はしばしば笑いに包まれて和やかなムード。こんなに笑える講演会だと思っていませんでした。
そして、私が最も心に残った言葉は「心は温かく、頭は冷たく」。
心は慈愛に満ちて、頭の中は常に冷静沈着に。このバランスが保てるようになれば、この世で最強になれるといいます。
私たちは皆、生きながら心の修行をしているんですね。
心の修行=菩薩行。ですから、私たちはすでに菩薩なのです。
「私も、悩みや苦しみはたくさんあります。でも、それをどう乗り越えていくか、ということだけ。大事なのは悩むのではなく、考えること。極楽で100年修行するより、この世で一日生きる方が修行になるんですよ」
講演後、壇上にあった蓮の花と記念撮影。美輪さんがいなくなったせいか、全体的に萎れてる感が否めません。
(そもそも朝、葉っぱに元気がなかったそうですが、リハーサルで美輪さんが壇上に上がったら元気になったんですって。半端ないわ、やっぱり)
生きている間に、美輪さんとお話することが新たな夢に加わりました。