（第４回）瞑想と妄想のはざま

何事も続かない私だが、時折チャレンジブームがやってくる。
今は、寝る前の瞑想である。
瞑想の効果は、皆どこかで一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
呼吸を整え、頭の中のごちゃごちゃしたことがリセットされることで、心の落ち着き、眠りの質や脳の働きが向上、ポジティブ思考への変化など、多くのメリットを得られると言われている。

スティーブ・ジョブズや、ビル・ゲイツ、マドンナにビートルズ、日本ではイチローなど、世界的な成功者も多くが瞑想を実践しているというのは有名な話。

「どうりで彼・彼女らの生み出すものは時代が過ぎ去っても色褪せないはずだ・・・あ。ここでひとつ瞑想をモノにした日にゃ、私も世界を股にかけて活躍するんじゃなかろうか？」
などと都合のいいことを考え、早くも習得をした気になってホクホクしている。

しかし、瞑想における”無になる”、これがなかなか難しい。
私のような雑念と煩悩に満ち溢れたタイプとしては、この上もなく高いハードルと言えよう。

それでもある日、「今日こそ本気で瞑想をしよう！」と挑んだことがあった。
気合を入れて”無”をひたすら意識しようと心がけた。

無。

・・・・無。

・・・・・む。

・・・・・ムムッ。

敢えなく、Ｊ・カビラが登場し終了を迎えたのだった。

またある日は仕事の外出で電車に乗る前に、気合いを入れて集中力を高めようじゃないかと家で瞑想を3分だけ行ったこともある。
スマホのタイマーはスタートボタンが反応しておらず、あろうことかそのまま10分ほど寝ていたという具合だ。

電車は２本逃した。
さすが、長年苦楽を共にしてきた雑念＆煩悩コンビである。

そうして今日もまた、瞑想と妄想の合間をさまよい続けている。