里見十九郎という男『ハイスクール・オーラバスター』シリーズ
できることなら背後からドロップキックしてやりたい。
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きっかけはシリーズ2冊目の『セイレーンの聖母』だった。
たまたま本屋さんで手に取って、冒頭を読んで即購入したのだった。
シリーズ1冊目があることは知らなくて、後から読んだ。
「里見十九郎」って名前はするりと入ってきて、違和感はなかったな。
珍しい名前なのにね。
オーラバはさ、諒ちゃんも亮介ちゃんも希沙良も、忍さまも、冴子ちゃんも亜衣ちゃんも、みんな大好き。
だけど、私の心を一番掴んだのは十九郎だった。
スッと伸びる青い炎のようなひとだと思った。
冷静に見えるのに、情熱的で、とても厄介なひと。
大切なものを守るためなら手段を選ばないところがあって、周りの人を傷つけても、そのことで自分が深く傷ついても、突き進んでいく。
頑固者!頑固者!頑固者!!!
甘えるのが絶望的に下手くそすぎる。
自分を助けないように理論構築するのやめて。
独りになろうとしないで。
(分かっててやめない、そんな自分をまた嗤うんでしょう)
地団駄踏んで、苛立ちのままに蹴りたくなってた。
澄ました顔してないで、「痛い」って、「助けて」って言えよ。
でもこれくらいじゃ言わないのも分かってて、悔しかった。
そもそもが私は「本の外」なわけで、こっちがどんなに泣いても喚いても届きやしないのだった。
完結が2021年だから、つい最近で。
ずーーーっと、「なにやってんだ十九郎」時代が長くて。
だからもう、蹴りたいが定着しちゃってる。条件反射。
(ドロップキックが無理でも、膝裏狙って倒したい)
もう蹴らなくていいんだけど。
生温かく見守ればいいんだけど。
つい、ね。蹴りたくなっちゃうんだよな。
(蹴らないよ)
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十九郎は、高校生にあるまじき言動が多いひとなんだけど、もともとの性格や能力、環境が相まって、ものすごく早く精神的に自立した感じがする。
置いてけぼりにしてきた子どもの部分が、相当あると思うんだよ。
だから、
西城に、不器用な態度を見せるのが好き。
希沙良に、呆れられながらツッコミを入れられるところが好き。
もっと油断して、カッコ悪いところを見せるがいいよ!
あなたがいい感じに幸せなら、私は嬉しい。
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里見十九郎という男は、私にとってずっと特別で。
時間がかかってもシリーズ完結してもらえて、本当に有難いと思っている。
若木さんのnoteや同人誌で、なにげない日常を書いてもらえるのが喜び。