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夜の散歩
夕飯を食べていた時に
「近所にペット探偵さんがあるよ」
という話題になった。
ペット探偵さんは飼い猫や飼い犬が家から脱走して行方が分からなくなった時に依頼する、ペット専門の探偵さんだ。
おちびが
「えー!?どこに?どこに?」
と興奮した様子で夫に聞く。
「最初に発見したのはお母さんなんだよ」
ちょっとドヤ顔で言ってしまうところがカッコつかないが、それは本当のことである。地図アプリを目的なく拡大して色んなところを見ていたら近所に『ペット探偵』と書いてあった。
近所とはいえ行く用事のない道で、チラとも見ようと思ったこともない。
「よし、行ってみようか」
軽い散歩の気分で三人でペット探偵(と、思われる場所)めがけて歩く。
おちびはまだ外が暗いというだけで怖いと感じるらしい。その純粋さが尊い。
少し歩けば目標地点に到着する。私も歩いたことのない道を夫が
「こっち。この辺」
と口元に人差し指をあてて静かにするよう身振りで伝えながら案内してくれる。夕食時間帯で人通りがなく街灯もなく、人感センサーが急にビカッと光っておちびと私がびっくりする。
ひっそり静まった家々。なんの看板も出ていない。
悪意はないものの、住んでいる人たちからすれば怪しいことこの上ないので目的を果たした私たちはUターンする。
家に向かいながら「うちはペット飼ってないからご用がないもんねえ」と話しながら歩いていると
「あ!月!」
おちびが空を指さして声をあげる。
雲に隠れそうな月。ちら、ちら、と光をこぼれさせている。
「満月かなあ、そろそろでしょ?」
夫が言う。
後で調べたら満月の一日前だったようだ。しかも、今年最大のスーパームーン。
今夜も見れそうだったら行きたいな。