日本の更年期市場の製品やサービスから見えてきた課題
海外のフェムテック事情を調べる際に参考にしているFemtechCollectiveによると、更年期市場のカテゴリーは、オンライン医療・デバイス・非処方薬・デジタルソリューション・セクシャルウェルネスに分かれている。
そこで、日本の更年期市場において、昨今フェムテック・フェムケアと呼ばれるサービスを紹介するので参考にしてほしい。
①オンライン診療:TRULY
更年期世代の女性たちにヒアリングをしていると、「とにかく病院に行きたくない」という意見が多い。特に婦人科に対する抵抗感が強く、一つの解決策として「オンライン診療」は抵抗感を下げる選択肢となりえる。
「更年期」に特化したオンライン診療のプレーヤー「TRULY」。メディア等でも有名な宋美玄先生プロデュースでもあり、法人プランも展開。2021年9月に資金調達を実施し、今後も注目しているプレーヤーの1社。
②ホルモン検査キット:canvas
健康診断や人間ドックで一緒にホルモン検査をすることもできるが、コロナ禍において、自宅で好きなときに検査したいというニーズは高い。
東洋経済の「すごいベンチャー100」にも選ばれた、自宅でできるホルモン検査サービス「canvas」は、ネットで問診に回答し、自宅に届いたキットで自己採血。ポスト投函で検査センターに返送することで、ホルモン値の結果や医師のレポートが後日マイページに届くというもの。
妊娠と更年期に関する2種類を展開しており、ホルモン検査がより身近になることを期待したい。
③サプリメント:エクエル、Meエクオールサプリメント、Rimenba
薬剤師の知り合いが、更年期障害の原因がホルモンであればホルモン補充療法だが、そこまでの検査をされていない方も多いのではないかと話していたこともあり、サプリメントは今後も増えてきそうと推測。
④骨盤底筋:ペリノス、ハルノア、ジョコネ、yoniCARE
更年期障害でよく言われるのが「尿漏れ」。最近はUNIQLOやGUで吸水ショーツが発売されているが、骨盤底筋トレーニングが尿漏れには有効と言われていることもあり、国内でもさまざまな製品が発売。
⑤デジタルソリューション:よりそる
50代前後の男性に更年期障害について話すと、「妻が更年期障害と言っている」「たぶん妻が更年期障害だと思う」という言葉を耳にする。
更年期障害は、身近な方(パートナーなど)が気づくことも多いが、女性からすると「パートナーには言われたくない」という意見も多い。
パートナーと上手にコミュニケーションがとれるよう、更年期に特化したオンラインプログラムを展開している「よりそる」。
LINEのスタンプも可愛らしく、体調の不調を伝えやすいのかもしれない。
⑥デリケートゾーンケア:明日わたしは柿の木にのぼる、iroha、ピュビケア、ハイジニーナセラム
更年期になると、膣の乾燥が原因で痛みなどが発生する方もいる。デリケートゾーンケアは、インターネット等でも多くの製品があり、薬局などでも購入できる製品もあるため、今後ますます市場は広がりそう。
⑦漢方など:命の母A
漢方で生理痛が軽減した経験から、「漢方の力は偉大」と痛感しており、自律神経を整える意味でも、「まずは漢方から」というニーズは大きいと感じる。
薬局で気軽に買えるものから、病院で処方されるものまでさまざま。すでにさまざまな製品があるので、今後どのように顧客にアプローチしていくのか見守りたい。
まとめ:10月18日世界メノポーズデーに向けて
日本の更年期障害を解決する製品やサービスを見てきたが、海外と比較し、サービスの選択肢がまだまだ限られていると感じる。
ひとつの要因として、個人の症状の大小はあるが、悩んでいてもそれが普通と我慢している人が多く、なかなか表に声が出てこない。
声が出てこないから、製品やサービスが限られている。
10月18日は世界メノポーズデー。これを機会に更年期障害に悩んでいる女性たちが、もっと外に向けて発信できれば、日本の更年期障害の課題を解決するサービスが増えてくるかもと期待している。