【新規事業通信】372人が参加したイベント幹事長をやってみて学んだ、大規模イベント開催に重要な10のこと
2023年2月25日(土)、経済産業省主催「始動Next Innovator」のアルムナイ主催イベント「始動アルムナイミートアップ」が開催された。
ひょんなことから、幹事長(リーダー)をやることになり、2ヶ月間準備に追われた。今後に繋げる意味でも、イベント開催ノウハウを「横展開」していきたいと感じ、ゼロからイベントを作りあげる流れやポイントを記載したので参考にしてほしい。
0.始動Next Innovatorとは?
「始動 Next Innovator」は、「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」の一環として、次世代のイノベーションの担い手を育成することを目的に2015年度に立ち上がった。過去7年間で886名の多種多様なイントレプレナー・アントレプレナーが巣立ち、さまざまな場面で活躍。5期までの卒業生が興したスタートアップの時価総額は約700億円と、着実な成果に繋がっている。
今回は、886名の卒業生のうち、372名がリアル・オンラインで参加。始動アルムナイ主導の大規模イベントは、はじめてだったと思う。
1.日程・場所を決める
イベント開催において、まず重要なのは日程・場所。ここが明確にならないと、仲間を集めるにも、都合が良いかわからない。特にリアルイベントやハイブリットイベントの場合、場所も重要になってくる。
いくつか日程候補日を出して検討することが必要。
2.仲間を集める(だれをバスに乗せるか)
日程・場所を決めることと同様もしくはそれ以上に重要なのは、イベントの幹事団(仲間)を集めること。もっと言うと「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」第3章のタイトルにもなっている「だれをバスに乗せるか」。
まだ企画が固まっていない段階(目的地が定まっていない)では、イベントの軌道修正も十分にあり得るため、「この人なら幹事を任せられる」と思える人に声をかけて、仲間になってもらうことが必要。
その際に重要なのは、個別に声をかけること。
「イベント幹事やりたい人いますか?」と、大人数のチャットやFacebookグループで声をかけても、まず集まらないと思った方がいい。
3.環境を整える(チャット・Slack・Googleフォルダ)
イベント開催で必要な3大ファシリティは、チャット・Slack ・共有フォルダの3つ。情報をオープンにする意味では、Slackがおすすめだが、Slack以外にもDiscordやChatworkなど、さまざまなツールがあるため、幹事団の使い慣れているツールを使用する。
幹事団の心理的安全性を確保する意味でも、自己紹介のチャンネルを作成して、一緒にイベントを作りあげる幹事団(メンバー)の人柄を知ることは重要。
4.目標やKPIを決めて、タスクを割り振る(幹事長はフリーに)
イベント開催の達成したい目標や、参加者数のKPIを設定する。
幹事団の人数が10名以上になる場合は、少人数のチームを決めて、タスクを割り振る。
その際に、幹事長(リーダー)は基本的にタスクを持たないこと。あくまで調整であったり、タスクを割り振らないと全体が回らなくなるため注意したい。
5.情報はオープンに
可能な限り、情報はオープンにすること。Slackだとその点が確保されやすい。特にチームで動いている場合、他のチームも状況も把握できるので、情報はオープンにしたい。
6.定期的な進捗確認(テキスト・Zoom)とスケジュール徹底(WBS・ガントチャート)
どうしてもテキストベースでの議論となりがちだが、定期的なZoom等での進捗確認は必須である。
テキストベースのみで議論していると、リスクが潜在化して、取り返しのつかないことになりかねない。
WBSやガントチャートで、タスクやスケジュールを管理しつつ、全体で進捗確認が必要な場合は、オンライン会議の開催も定期的に行うとよい。
7.参加者への個別フォロー
イベント参加対象者の数にもよるが、「申込したつもりでした」と思っている方も多いので、参加対象者への個別フォローも必要なタスク。
イベント直前のリマインドについても、連絡事項を多く盛り込みがちだが、可能な限りシンプルにする。
8.イベント当日の幹事長もフリーに
これもやってしまいがちだが、イベント当日の幹事長やチームリーダーは、可能な限りタスクを割り振らないこと。トラブルが起きたときに対応できない。自分が前面に立ちたい気持ちを抑えて、幹事団やチームメンバーに割り振ろう。
9.最後はイベントを楽しむ
イベントの幹事団が楽しくないと、参加者も楽しくない。最後はイベントを楽しめるよう、余裕を持って準備をしよう。
「仕事は段取り8割」とも言われるが、イベントは「段取り10割」と言っても過言ではない。と言いつつ、筆者自身はいつもイベント中は手一杯になってしまい、必死になっているのが現状なので、反省している。
10.事後アンケートは早めに依頼して、おまけをつける
イベントやりっぱなしは、非常にもったいない。参加者もイベント直後はイベントの余韻が残っているが、時間が経つと忘れてしまうもの。早めの事後アンケート依頼が重要なのと、回収率を上げる工夫(おまけ)を用意しよう。
筆者自身、かなり多くのイベントを開催してきたが、事後アンケートのおまけがあるとないとでは、回収率に歴然の差があることを痛感している。
次に繋げる意味でも、イベントで疲れている中、もうひと踏ん張りでアンケートを依頼することを忘れずにやろう。
<まとめ>目立ちたい人は、幹事長には向かない
筆者は意外に思われるが、全くお酒も飲まないし、名刺交換も苦手。イベントに参加しても自分から話しかけられないが、イベント運営はかなりの数をこなしてきた。
イベントを運営する中で感じているのは、「自分は目立ちたい」と言う人が幹事長(リーダー)になると、裏で取りまとめる人がいない限り、イベント自体は破綻する。結局のところ、イベント運営はいかに裏側で緻密に設計するか、見えない努力の積み重ねなのだ。
そして、今回のイベントにおいて、何より大事なことは、イベント幹事団を引き受けて、一緒にイベントを作ってくれた幹事団のメンバー・参加してくださった始動アルムナイの熱気がすごかったこと。
この場を借りて心から感謝したい。
今回のnoteが、少しでもイベント開催におけるノウハウの共有になれば幸いです。