日本のFemtechを取り巻く動きについて話したら、女性の社会進出にFemtechが必須であると感じた
世界でコワーキングスペースを展開する会社から、入居者向けのFemtech講演をする機会をいただいた。参加者は「Femtechという言葉は知っているけどよくわからない方」向けとのことで、海外の話しはもちろんだが、日本のFemtechを取り巻く背景も知ってほしいと思った。
実際にお話しした内容+αと、いただいた感想を共有する。
政治の動き
①経済産業省 フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金
昨年度は20社が選定された、フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金。選定企業の中で、特に注目したいのは、妊婦と胎児の遠隔健康管理を手がける「メロディ・インターナショナル」
KDDI Laboが出している「スタートアップス」でも紹介されているが、世界8カ国に進出し、2021年7月には中東地域に強い商社と連携。中東・UAE・ドバイへの足掛かりを作っている。
②岸田政権 女性の更年期支援策検討へ
経済産業省の調査では、生理や妊娠・不妊以上に、更年期障害が働く女性に与える影響が大きいという調査結果も出ており、今後この動きがどのように広がるのか、非常に注目している。
メディアの動き
①#自分のカラダだから #みんなの更年期
3月8日は国際女性デーだったこともあり、特にNHKは生理や更年期に関する番組を多く放映。
TVは幅広い年齢層が観ているため、こういった番組が放映されることで、「この前TVで見た」「更年期はお医者さまでも判断が難しいんだね」などと声をかけてもらえるようになった。
②anan特別編集 私たちのフェムケア2022
「フェムケア」のタイトルではあるが、2022年3月に1冊まるごと「フェムケア」特集のムック本がマガジンハウスから発売。筆者も購入したが、生理・女性ホルモン・妊娠・出産など幅広く特集されている。
大企業のフェムテック領域進出
①住友生命 アプリで妊活・介護支援 保険料競争を転換
健康増進型保険「Vitality」を展開し、2022年3月に開催された「女性からだ会議」で大賞を受賞した住友生命。
最近は、少額短期保険会社が続々と産後うつや女性特有疾患の保険を発売していることもあり、保険(周辺)とFemtechの相性はよいと感じている。
②イオン フェムテック専門店
イオンレイクタウン(埼玉県越谷市)に、実際にFemtech製品を手に取って購入できる専門店がオープン。
これまで、フェルマータ(東京・大阪)や大丸梅田michi kake(大阪)など都心部には、Femtech製品を手にとり購入できるお店はあったが、なかなか都心に行けない方には朗報。
ルナルナの調査結果でも、フェムテック迷子が多数存在しているという結果もあり、実際に触って店員と相談しながら購入できるのは、Femtech市場が拡大するうえで重要かもしれない。
福利厚生の導入
①メルカリ 卵子凍結
米国フォーチュン誌が毎年発表する米国上位500社のうち、約17%の企業が福利厚生に卵子凍結を導入するなど、米国では卵子凍結の福利厚生が転職時の企業選びに影響している。
日本でも卵子凍結の理解が徐々に広がっている中、2021年5月にメルカリで試験導入。優秀な人材をひきつける、ひとつの方法として福利厚生の不妊治療という選択肢があげられる。
②エムティーアイ オンライン診療を活用した婦人科受診
ルナルナを手がけるエムティーアイ・カラダメディカ・丸紅が共同開発した「オンライン更年期外来プログラム」
これまで低用量ピル服用の支援プログラムはあったら、2021年10月から、更年期向けの受診から漢方送付までのオンライン診療を実証開始。
このプログラムで、低用量ピルから漢方まで幅広い領域をカバーしている。
海外では、女性の健康全般をカバーするFemtech企業が増えており、日本でもそのような流れがきそうと推測。
参加者の感想の一部
いただいた感想を読むと、Femtechが女性の社会進出を手助けする部分に興味がある方もいらした。
女性の社会進出やジェンダー平等などが、Femtechを取り巻く背景と考えている。今後はそういった部分も深堀りしていきたい。