見出し画像

【更年期通信#15】50歳以上の女性の健康や寿命に関する海外フェムテック企業7選

日本の女性のうち、50歳以上の割合は半分を占める中、50歳以上の女性の健康に関するビジネスが注目されている。

年齢を重ねると、慢性的な疾患や病気のリスクが懸念され、女性特有のがんや骨粗鬆症などに注意する必要があるが、これらの課題に対処するフェムテック(Femtech) × エイジテック(Agetech)のピッチコンテストが米国で開催された。

ITの進化により、健康管理アプリやウェアラブルデバイスが発達し、個人の健康状態を把握したり、疾患の早期発見に役立てることができるようになった。また、オンラインコミュニティやソーシャルメディアは、社会的孤独を軽減するのに使える可能性がある。

筆者は、ビジネスのヒントのために、50歳以上のオンラインコミュニティに参加しているが、SNSに投稿すると、たくさんアドバイスをくださる「Giveの精神」が、他のコミュニティよりも強い気がする。

そんな50歳以上の女性たちの健康に関わるピッチコンテスト「Innovating for Women's Health Pitch Competition」で受賞したスタートアップの概要を紹介したい。


1.Aila Health

・自己免疫疾患患者向けのテレヘルス。
・自己免疫疾患とは、体の免疫システムが間違って自分自身の細胞を攻撃し、組織や器官に炎症や損傷を与える疾患
・医師やヘルスコーチ、個別栄養指導、患者教育、モニタリングデバイスへのアクセスが可能
・治療成績の改善と、ケアの目標の設定ができる
・慢性疾患患者の健康歴、遺伝子適応、ライフスタイル、環境に基づいた個別化されたケア管理が可能であり、医療提供者と患者は、データに基づく判断を行うことができる

2.ROSY

・医師と心理学者によって、科学的根拠に基づいたオンラインセクシャルウェルネスプラットフォーム
・パーソナライズされたウェルネスプランや医療提供者へのアクセスを提供
・Silver、Gold、Platinumといったメンバーシップオプションを提供しており、コンテンツやサービスへのアクセスレベルが異なる

3.Deeplook Medical

・革新的なソフトウェアによる医療用画像に焦点を当てた企業
・データ駆動型画像が、治療経路全体で正確で効率的かつ個別化されたケアを実現することを目指している
・DL Preciseは、FDA承認済みのソフトウェアで、複数の画像(超音波、マンモグラフィー、CT、MRI)を使い、乳がんの測定を自動化。前例のない精度で行うことが可能
・最新の画像表示技術、革新的なAIプラットフォーム、クラウド対応画像ビューアを備えた医療用画像の企業と連携している

4.Perry

https://heyperry.com/

・更年期女性向けの専門家コミュニティ
・同じライフステージにいる、同じような考えを持った女性たちとつながるためのプラットフォームを提供
・ユーザーがトピックを探索し、投稿を作成できるコミュニティ
・更年期障害の専門家へのアクセスを提供
・ユーザーが記事、最新の研究、製品レビューなどを閲覧できるオウンドメディアを提供

5.ELITONE

・女性の尿失禁を治療するための非埋込型筋肉刺激装置を提供
・FDA取得。2022年のFemtech Fes!にも出展
・家庭用デバイスで、ケーゲル体操を毎日行うのは大変だが、ELITONEは服の下に20分間装着するだけで、骨盤底筋を鍛えることができる

6.Brilliantly

・乳がんと向き合いながら、生活を送ることを支援する企業
・主力製品はBrilliantly Warmは、全身に安全で自然な感覚の温かさを提供
・1日わずか20分間、衣服の下に着用できる着用型温めデバイス
・乳房インプラント再建による冷たさの感覚で、気が散る患者がターゲット

7.MyUTI

・UTI(尿路感染症)は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の一部または全部が細菌に感染した状態で、頻尿や排尿時の痛みが発生
・MyUTIでは、自宅でのUTI検査を提供
・世界クラスのCLIA認定ラボによって実施され、尿路疾患やがん遺伝子スクリーニングの範囲にわたる分子診断検査を実施

まとめ:規制への対応やプライバシー保護が課題

日本は世界で最も高齢化が進んでいるとも言われており、50歳以上の女性の健康市場は、高齢化社会の進行とともに拡大していくと予想される。
特に更年期後の女性の健康に対する関心が高まり、予防医療、健康増進、病気の早期発見・管理に対するニーズに応えるための、健康管理アプリ、ウェアラブルデバイス、遠隔医療サービスなどのデジタルヘルス市場は、確実なビジネスチャンスとも言える。

具体的には、特定の女性の健康課題に対応するための製品やサービス、例えば更年期障害対策、骨粗しょう症予防、心身の健康を維持するためのアプリが考えられるが、まだまだ発展途上であり、大きな成長ポテンシャルがある。

しかし、特に日本はヘルスケアの規制が厳しく、規制への適応やユーザーのテクノロジー利用スキル、プライバシー保護といった課題もある。

適切な専門家(医療従事者や弁護士など)と連携することや、50歳以上の女性が使いやすい直感的なインターフェースの設計、分かりやすい説明書の提供、ヘルプデスクの設置。そして、ユーザーに対してデータがどのように使用・保護されるかを明確に説明できるような環境を整える必要があるのではないだろうか。