#04 矢作先生と量子力学との出会い
二度目の施術の際に約束した二つの約束が 実現したが、相変わらず山口は一向に部屋を 出て行く素振りもなく、彼女と衝突するたび に、自分の体力と気力が奪われていくという 繰り返しで、どんどん私の方が疲弊し、抵抗する力を失っていった。
昼間仕事をしている私と昼間何もしておら ず、充分睡眠をとっている山口との深夜、明け方まで続く、戦いの結果は明らかだった。本当にも底なし沼に足を取られ、もがけば もがくほど沈んでいく、そんな感じだった。
こうして、1K7畳、狭い狭い一室での苦悩の共同生活が進んでいった。
そんな中、私の唯一の支えとなったのが、 皮肉にも山口からの紹介で始めた矢作先生との月2回の電話セッション。
矢作先生に相談することは、仕事のちょっとした話を聞いてもらうぐらいで、もともと他人に腹を割って、不安や悩みを相談するこ とができない人間で、しかも常に狭い一室には山口が居て、彼女が居座っていて出て行かず困っていることを先生に伝えることすらで きずにいた。
せっかくの貴重なセッションもほんの2、 30分で終わる始末だったが、矢作先生と話 をするだけで、不思議と心が軽くなるのを感じていた。
矢作先生のセッション中に出た言葉で、当 時はよくわかっていなかったが、今となって は人生の指針になっていて、脳裏に刻まれて いるものがいくつかある。
・否定せず、すべてのことを受容する。
・起こった出来事にフォーカスしない。(物事に一喜一憂しない)
・不安や悩みは自らがかってに作り出してい るだけ。
・直観ではなく『衝動』に従って行動する。
・思考を手放す。
・意識が現実を創る。
・リキミを捨てる。頑張らなくてよい。
・人は変わると決めた瞬間から変われる。
・どうにもならないことはどうでもいいこと。
・私の人生、他人事(のように客観視する)。
・自分を信用するのではなく、自分の人生を 信頼する。
・100 か0か(半信半疑はない)
これら脳裏に深く刻み込まれているのは、 矢作先生の言葉が、泥沼から脱出していく段階で、自分を救ってくれたありがたい言葉であったのと同時に、ずぶずぶと泥沼の奥底へ と落ちて行く原因になったとても重い重石の ような言葉だったからだ。
そして、あと2つ
・大西さんはキングになる。
・大西さんが人生で経験したことを後に人に 伝える時が来る。
だった。
この「人生で経験を人に伝える」は、今まさにスピリチュアルライフコーチをしている ことかなぁ思える。
もしかしたら、この本を 書いていることも、そうなのかもしれない。
しかし、未だに「キングになる」は、どう いう事かわかっていない。
キングって「王 様?」だよな?日本で王様?
でも楽しみだ。
セッションを受けていた当時、矢作先生は バイブレーション(今思うと『波動』)を感じ 取ったり、すべてではないが、時折、人の 『青写真』が見えると言っていて、それに基 づいてアドバイスをもらっていた。だから、 何となく先生には、すべて見えているように感じとれる感があった。
私に対して『量子力学』を口にすることはなかったが、山口の口から矢作先生のセッションは量子力学をもと にしていると聞かされていた。
また、その頃から量子力学や精神世界に関するウェブサイトやブログを見始め、矢作先生のアドバイスとリンクする記事を目にしたり、自分自身が今までとはまるで違う、いや 『真逆』の概念に興味を持ち始めていた。
私のセッションと相反して、山口は私が、仕事をしているタイミングで受けていて、彼女は自身のセッション中でも、私のことをいろいろ聞き、勝手にアドバイスをもらってい た 。
セ ッション後には、矢作先生がこう言って いたというアドバイスを私に伝え、また、山口はこれまで矢作先生だけでなく、石川先生との出会いも含め、自分が目に見えない意識の世界とかなり精通していて、矢作先生からも特別な存在、リーダーとして扱われていると思い込ませるよう巧みに言動を使っていた。
私に対しても富川さんや他の人たちにも特別視させることに長けていた。
矢作先生からのアドバイスを自分の都合のよい解釈に捉えたり、私をコントロールする言葉に変換して使っていたのだと後になって わかってきたが、私は最初、頭では山口の言葉を否定しながらも、いつの間にか私が矢作先生に聞けずにいる部分を代わりに聞いて伝えてくれているという錯覚に陥ってしまって いた。
そして、いつしか矢作先生の言葉「否定せず、すべてのことを受容する。」が在り方の軸となり、以降の山口の無理難題にも反論する ことなく、自身の意志で物事を進めることがなくなっていった。