フレッド・ムーア|天才アニメーターとディズニーアニメーションの進化
これまでこのnoteで1930年代後半から1980年までのディズニーアニメーションの重鎮だったアニメーター、ナイン・オールド・メンの紹介をしてきました。
しかし彼らの他にも、当時ディズニーのアニメーションスタイルに重要な貢献をした天才アニメーターがもう一人いるんです。
それがこの人、フレッド・ムーアです。
フレッドはアニメーションキャラクターをまっすぐな足、曲がった足、蹴り出し、そして歩き方の高低を非常にシンプルかつ明確に描く技術を持っていました。
彼のおかげでディズニーアニメーションキャラクターはより感触、見栄えが良くなり、生き生きとして本物のように見えるようになったのです。
彼がアニメーション化した代表的な作品と担当したキャラクターを紹介します。
・短編シリー・シンフォニー・シリーズの「三匹の子ぶた」
・短編ミッキー・マウス「ミッキーの巨人退治」
・短編ミッキー・マウス「ミッキーの猟は楽し」
・長編「ピノキオ」のランプウィック(ロバになってしまう少年)
・長編「ファンタジア」のケンタウロス
・長編「ダンボ」のティモシー
・長編「ラテン・アメリカの旅」のドナルド、ホセ・キャリオカ
・長編「三人の騎士」のドナルド、ホセ・キャリオカ
・長編「イカボードとトード氏」の「スリーピー・ホローの伝説」のカトリーナ
・長編「ピーター・パン」のマーメイド、ロスト・ボーイズ
フレッドの出世作は短編シリー・シンフォニー・シリーズの「三匹のこぶた」です。
ウォルトは「三匹のこぶた」を「ついに私達は全体像の中で真の個性を達成した」と大絶賛。
映画も大ヒットし、アカデミー短編アニメーション賞を受賞しました。
「三匹のこぶた」以降、フレッドは多くの作品でアニメーション監督を任されるようになります。
長編「白雪姫」では七人の小人の監督アニメーターを務めました。
また彼はミッキー・マウスのアニメーターでもあり、ミッキーの外見を優雅なものへと進化させたディズニーレジェンドでもあるのです。
1938年の「ミッキーの巨人退治」でマウスの硬い円形のホーディを表情豊かな洋ナシの形にし、頭を大きくし、見た目の魅力と表現力を高める可愛い子どものようなポーズを与えました。
翌年の「ミッキーのクッキー・パーティー」と「ミッキーの猟は楽し」でミッキーの目を白く入れた外見デザインへと再考します。
1941年の「ファンタジア」の「魔法使いの弟子」でフレッド自身は「魔法使いの弟子」のアニメーションに一切手をかけていませんが、アニメーションの監督を務めました。
当時のアニメーション制作においてナイン・オールド・メンと共にフレッドも欠かせない、一緒に語られるべきアニメーターでした。
しかし彼は「ピーター・パン」の制作中、1952年11月25日に交通事故で亡くなってしまいます。
天才アーティストはなぜこんなにも早く逝ってしまうのでしょうか。
もっと他にもたくさんフレッドが描いたキャラクターを見たかったと悔やむばかりです。
■引用元
■参考文献 Special Thanks!!
・生命の幻想 ディズニーアニメーション Frank Thomas and Ollie Johnston 6章 アピールとダイナミック p.118-128
・フレッド・ムーアのアート: ジェニー・レリューが自身のアートがディズニーに与えた影響について語る Lucas Seastrom
・50 most influential disney animators fred moore Grayson Ponti
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