小江戸さわらに遺る和菓子屋跡「岡埜栄泉(千葉県香取市佐原)」
最近は、美容室終わりに佐原駅〜街並みを散歩するのが定番になってきた。とくに目的はないが、ふらりと歩き昭和建築を眺めるのがとくに好きなのだ。
小野川沿いから少し路地を入っていくと、銀座通りと呼ばれる細い通りに「岡埜栄泉」というだいぶ古い和菓子屋さんの建物がある。
看板を見ると、なんと電話番号が一桁。Googleマップで2012年をさかのぼっても外観は変わらないので、もう廃業してから相当の年数が経っていると思われる。
上を見上げれば柄入りのすりガラス、木枠の窓、曲がり角に建つ立地など、とにかくエモいポイントだらだった。
岡埜栄泉って、もともとは江戸時代の浅草から始まった和菓子屋で、明治時代にのれん分けしたらしい。親族や弟子など5つの店に分かれたが、今残るのはそのうち上野で始まったお店のみとのこと。
この佐原の店は支店か何かだったのだろうか。古すぎて全然情報がない。
東京の店をちょこちょこ調べたところ、商標登録をしなかったことから、全国で岡埜栄泉を名乗る店が続出したのこともあったそうで、この佐原の店もひょっとしたら…?
ともあれ、古くから住む地元の人に今度聞いてみようと思う。
佐原駅周辺の古い建物は、次々に廃業して取り壊しになっている。呉服の山田屋、志田ストアーも今解体してる。
解体現場を眺めてたら、ずーっと住んでる高齢のご婦人が話しかけてきて、「千葉銀行が移転してからこの通りは寂れてしまって、志田ストアーにも人が流れなくなった。駅前のスーパーがなくなってとても不便。昔が本当に懐かしい」とおっしゃっていた。
清見屋、十字屋といったデパートの全盛期を知っていたら、そんな思いもこぼれるだろう。それに私が高校生のころはこのあたりの店はまだ現役だったので、なんというか時の流れを肌身で感じてる。
それでもレトロだからというだけで残すエネルギーもないのだろう。現実的には資金や人手、残すだけの理由、モチベーションがたくさん必要になるわけで。そう思うと、仕方ないよなと。
だからね、レトロな建物は今のうちに見れるだけ見ておきたいね。後悔のないように。「懐かしい」が大好きな日本人は、今のうちに佐原に集まろう。