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旅と美術館 その1

私が参加しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」での3月の募集テーマが「旅と美術館」だそうで、ちょうど今月に熱海に出かけましたという記事を投稿しました。が、このテーマにこれだけで終わるわけにはいかない思い入れがありますので、3月最終日のこの時間にちょいちょいと書いてみました。

今回「その1」として「出張の合間に出かけた美術館」について触れます。
私は会社員で、過去に14年ほど国内出張ばかりしていました。今は内勤業務に移り、週末の都内美術館巡りができるようになりましたが、出張生活当時は曜日関係なく出かけていましたので、都内の展覧会は見逃しているものばかり。心に余裕がなかったし、今ほど美術館巡りに強い思いがなかったというのもあります。
そんな状況の中でも「ここには行っておきたい」と考えて、何とか時間を作って出かけた美術館がいくつかあります。「出張の合間に」というと何だか仕事をサボって出かけた!?と思われそうですが、仕事をきちんと済ませた上で、出張先でオフタイムを作ったということで、やましいことをしていたわけではありません(キッパリ)

ひとつ目は島根県安来市の「足立美術館」
私が知ったのは「アメリカの雑誌が選ぶ《日本一美しい庭園》に10年連続で選ばれている」という情報でした。どんなところだろう、と思っていたところへ中国地方を担当することになり、隙アラバ・・・とタイミングを見ていました。
今はどうなったのだろう、と調べたら「20年連続で選ばれました」とHPに記載あり、ご健在なようで何よりです。
庭園はやはり素晴らしく、お手入れの様子だけを収めたDVDが販売されていたのが印象的でした。美術館の窓から見える庭園の景色、「生の掛け軸」でしたかね。
そして横山大観の壮大なコレクション! たまたま「近代日本画で高く評価されていて高い値段がつくのは横山大観、次に東山魁夷」「横山大観の絵なら1000万円は下らない」とも聞いていたのが印象に残っており、いつかじっくりみてみようと思っていたところへ一気にたくさん見ることになったのです。
(あくまで10年以上前の市民の会話です、事実と異なっていたらスミマセン)
いわば私と横山大観さんとの出会いの場のひとつとなったのが足立美術館です。
そして「事業で成功した方が設立した美術館」に触れた最初かもしれません。
創業者の方の伝記本も買った覚えが。どこかにまだあったはず。

ふたつめは岡山県倉敷市の「大原美術館」
足立美術館に出かけたのに感動して、中国地方を担当しているうちにと出かけたのが大原美術館でした。西洋の作品も、日本の作品も両方みられるのが楽しみで出かけた記憶があります。西洋はモネの「睡蓮」だったかな、それ以外にも有名な画家のものが多かった記憶が。倉敷の美観地区にあり、アクセスもよく、建物も素敵だった思い出があります。

三つ目は同じく岡山県の「林原美術館」
こちらは大原美術館とは異なり、ゴリゴリの(笑)東洋美術専門。確か「中国地区を担当しているうちに、後楽園のひとつでもみておきたい」と岡山城や後楽園を見物した流れで、近くにあったから立ち寄ったのだと思います。
少なくとも足立美術館や大原美術館とは異なり、「目指して行った」のではなく「たまたま立ち寄った」のですが、これが自分の好みに(ツボに)ハマり、閉館時刻に退出しながら「いや〜よかった!すごかった!」と感動して、後日お茶の師匠に報告をした覚えがあります。確か見たあとしばらくして林原が倒産したようなタイミングだったように思います。

四つ目は山梨県の「山梨県立美術館」
山梨県を担当していた時に、思いがけず早く仕事が終わり、なぜかその時「美術館ないかな」とこれまた思いつきで出かけました。何も下調べせずに行ったもので
出向く途中にタクシーの運転手さんに「ミレーの絵があるよ」と教えてもらったのです。「ミレーって、《種をまく人》ですか?」「そうそう!購入したときは、あまりに高額で物議をかもしてね。こんな田舎に見にくる人がいるのか?税金の無駄じゃないか、って。でも今となっては、あなたみたいに遠くから見に来てくれる人もいるから、結果的にはよかったよね」という会話は今でも覚えています。
まさか美術の教科書に出てくる絵に山梨県で出会えるとは驚きでした。

こうして書きながら他にも「そういえば福岡の博物館で金印見たっけな」などとも思い出しました。
もう出張のない仕事になってしまいましたが、もしチャンスがあれば「出先に美術館ないかな」と検索するであろう自分がいます。そして一度きりではなく、時間をおいてまた出会い直しに行くのもいいかもしれません。人生という旅の中で出会った美術館たちは心にストックされて、これからも積み上がっていくことでしょう。






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