五島美術館 「近代の日本画展」
一言でいえば、テーマも内容もボリューム感も私にとってドンピシャでした。
会期は2023年6月18日までです。
テーマはそのままズバリ「近代の日本画」取り上げられているのは明治・大正・昭和時代の作品。目録を見て自分の生まれ育った昭和に「時代」が付くのねぇと妙な感慨にふける。平成・令和生まれの方々からしたら昭和は一つ二つ時代を遡るので、自分からしたら明治生まれの方をイメージするような感覚なのかな。
内容は「近代の日本画家といえば」頭に浮かべる画家さんたちが勢揃い。例えば
横山大観、下村観山、川合玉堂、上村松園、鏑木清方、松岡映丘、安田靫彦、前田青邨、竹内栖鳳、橋本関雪…第二展示室は棟方志功特集でした。良い意味で教科書的というのか、とはいえ今まで知らなかった名前ももちろんありました。お気に入りの画家さんの作品を眺めつつ、新たな出会いにも恵まれる感じです。
ボリューム感としては 約40点ということですが、見終わったあとお腹いっぱいになりつつも、もうちょっと見たいかも?腹8-9分目な印象です。五島美術館には茶道具を見に行くことが多いのと、この前の展覧会が書を中心にしていてよくわからない物が多かったせいか、それよりも気楽に楽しく鑑賞できました。
印象に残ったものをいくつか徒然なるままに。
まずは大好きな上村松園「月下佳人」「上臈の図」松園さんの絵は綺麗な女性ばかりでうっとりしつつも、心洗われるような、背筋が伸びるような気持ちになります。大和撫子たるものこんな女性でありたいなぁというお手本でもあります。
横山大観の「観音」も美しい女性。大観さんといえば「生々流転」や瀟湘八景、富士山といった風景画に出会うことが多い中で、今回展示されている「観音」と「達磨」は大観さんの描く人物。(どうやらこの展覧会のフォーカスは「人物表現」だったらしい、見終わってから知った)観音の中で使われている濃青が、西洋画で描かれるマリア像の青にも通じる気がします。ついでに「達磨」は、安田靱彦さんの「達磨」も展示されていて、比べてみるのも面白いです。
面白いところでは棟方志功さんの装丁した『五島慶太の追想』なる本が展示されていて、五島さんの思い出話を棟方さんが語っている部分もあり、この美術館ならではだなと思いました。この本は非売品で200冊しか作られていないのだとか。
棟方志功さんといえば版画の作品の印象が強いのですが、筆で描いた絵も素敵です。それを見出した五島さん、恐るべし。
番外編(というかれっきとした展示)として「硯と墨」が展示されています。
硯といえば、日本美術の展覧会ではよく硯箱が展示されていたり、小学校の書道で使った記憶のある硯が思い浮かぶかもしれませんが、そんなチマチマした(失礼!)ものではない、まぁどでかい硯がドーン!ちょっと価値観変わるかも?
墨も最初は何のこっちゃ?と思いつつ見ていましたが、表面に刻まれた絵に気付いたり、種類がいろいろあることや、400-500年前のものですよ、と知ると貴重な物が伝わって見せてもらえることのありがたさを感じました。
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