親知らず
自分が痛いのはすぐ泣くけれど
他人の痛い話はニヤニヤ笑う
そんな娘に今度親知らずを抜かなければならなくなったと話す
予想通り楽しそうに笑ってくれる
なんでおやしらずっていうの?
娘が尋ねる
おとなになって、ひとりでくらすようになって、おやがしらないうちにはえてくるから
と答える
じゃあ、おとなになっても、ずっとこのおうちですんでたらはえてこないってこと?
体験したことのない恐怖を想像し、一筋の希望の光に縋りつくような問いかけ
きっと大人になったら、一人で暮らしてみたいと思うはず
そのときのさみしさを少し感じながら、私は苦笑した